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第2章:新たな出会い
ジーエフの今後について
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いつもの真っ暗な空間に浮かぶ机と椅子。人数に合わせたかのように椅子は四脚置かれていた。
「お疲れ様なのにゃ!」
廻をサポートしてくれている神の使いのニャルバンが両手を振りながら出迎えてくれた。
「飲み物を持ってくるから座って待ってるにゃ!」
まずは廻が腰掛けて、その右にアルバス、左にロンド。空いた正面にニャルバンが飲み物を並べ終わると腰掛けた。
グラスに踊る透明な水と浮かぶ氷、グラスから音がなる度に涼し気な雰囲気になっていく。
ジーエフが荒野のど真ん中に出来たこともあり、経営者の部屋でも宿屋の食堂でも、基本的には冷たい飲み物が出されている。
「それじゃあ、『ジーエフを盛り上げる為にはどうしたらいいかを考える会』を始めます!」
「名前とかどうでもいいが、実際どうするつもりなんだ?」
「アルバスさんは本当に酷い!」
バッサリ切って捨てるアルバスに憤慨する廻だが、完全無視を決め込んでいるアルバスの視線はニャルバンへと向いていた。
「ここはいっそのこと階層を増やすことも検討するべきだと思うのにゃ」
「でも、それではレア度1と2が現れるだけの長いダンジョンになってしまいませんか? 一度そのようなイメージが付くと、先を見据えたら愚策だと思いますが……」
「宣伝効果はあるが、一か八かになっちまうってわけだ」
「…………みんな、酷い」
一人いじける廻にロンドが声を掛けようとしたのだが、それを遮るかのようにアルバスが意見を口にする。
「手持ちのモンスターも増えているんだろ? だったら、確かに階層を増やすのはありかもしれないな」
「僕はレア度3を手に入れるまでは止めたほうがいいと思います。最下層まで行って、結局レア度2なのかと落胆されてしまいますよ」
アルバスの意見も正しいし、ロンドの意見も正しかった。
手元にあるモンスターは名前を付けた一軍に加えて、進化の為に育てている二軍と、それ以外の三軍に分けている。
一軍をボスに配置して、余った一軍と二軍をランダムに配置、余ったレア度で三軍を配置する予定だったのだが、実際のところ二軍ですら余っている状況が生まれているのだ。
ならば階層を増やすのが得策かといえば、そうではない。
ロンドが言うようにダラダラと長いだけのダンジョンになってしまえば、最下層のモンスターによってその満足度が大きく変わってしまう。
レアアイテムを期待できるレア度の高いモンスターならばやる気が出るものの、レア度の低いモンスターならばこんなものかと落胆してしまうだけでなく、マイナスの噂が広がる可能性だってあるのだ。
「ねえニャルバーン。レアガチャ券を手に入れられる特典って何かないの? 今のところ、経験値の実だったり見た目を豪華にするアイテムしか貰えてないんだけどー」
「僕は分からないのにゃ。神様はそのことを教えてくれなかったのにゃ」
「あんの神様、大事なことは全然教えてくれないんだから!」
「……神様ってどんな奴なんだろうな?」
「……本当ですね」
話が脱線しかかったのだが、アルバスが気を取り直して修正を図る。
「まあだが、ないものをねだっても仕方がない。現状、選択肢は二つだ。階層を増やすか、現状を維持してレア度3を手に入れるまで粘るか」
そこまで話が進むと、三人の視線が廻に集まった。結局のところ、決定権を持っているのは廻なのだ。
「うーん、メリットデメリットがあるのは当然なんだよね。よりメリットが大きくて、デメリットが小さいものとなると……」
腕組みをしながら考えを巡らせる廻。どちらを選んでも前進することに変わりはないのだが、よりベストな選択が何なのかを考える。
そして長い逡巡の末に出した結果は──
「階層を増やしましょう」
「それはどうしてなのにゃ?」
疑問を口にしたのはニャルバンだ。
「デメリットに関しては正直どうでもよくなったわ。考えるだけ無駄だし。それよりもメリットが大きい方を選ぼうと思ったの」
「階層を増やすとどういったメリットがあるんですか?」
次にロンドが疑問を口にする。
「私達に必要なのはレア度3以上のモンスターであり、一番確実性の高い方法がライを進化させること。そうなると、階層が深い方がモンスターを多く配置することもできてレベル上げをしやすいのよ」
「そうなればライの進化も近づくってことか」
「それに、先を見据えると他のモンスターに関しても同じ条件が当てはまるから、階層を増やす方がメリットが大きいと考えました」
「……よし、それで行こう」
廻の思惑を聞いたアルバスの言葉を受けて、四人は即座にどうするべきかを話し合い始めた。
「まずはモンスターの配置になりますよね」
「何か考えはあるのか?」
「とりあえず一〇階層までってことで考えると、当然一軍はボスに配置するんですけど、進化に必要な二軍をどうするかなんですよね」
「どういうことにゃ?」
首を傾げるニャルバンだったが、合点がいったのかアルバスが説明を引き継いだ。
「その場の人気を優先するか、先を見据えるかだな」
「そうなんです」
「人気を優先するなら単純に人気の出る配置を取ればいい。これは簡単だが、先を見据えた配置になれば進化に必要な二軍をボスに配置してレベル上げを優先するってことだな」
「両方を取ればいいのにゃ!」
「「できるかっ!」」
「そ、そこまで怒鳴らなくてもいいのにゃ……」
ニャルバンが言うように両方取れれば一番いいのだが、それは現状難しい選択である。
そもそもレア度が低いジーエフにおいて、人気を取ること自体難しいのだから、ここは先を見据えた配置を優先するべきだろう。
「先を見据えましょう」
「それが妥当だな」
「分かりました」
優先されるべき二軍はライガーとゴーストナイトである。そして昇華が進んでいるスライムとゴブリン。計八匹はボスに確定として、残る二階層分をどうするかを考える。
「レア度2は他にもいるんだろう?」
「はい。ミミックと……ハイゾンビ、ですね」
「じゃあそいつらにし──」
「ハイゾンビは嫌です!」
アルバスの言葉を遮るように廻が否定を口にした。
「なんで? レア度2なんだろう?」
「そうですけど、だって、ゾンビですよ? 気持ち悪いじゃないですか! 女性の冒険者が来なくなったらどうするんですか!」
「そ、そんな理由……」
「ロンド君まで! ゾンビがいるなんて考えたら、私だったら嫌ですよ!」
体を抱きしめてブルブルと震えだす廻。
日本にいた頃は様々な国や文化に触れてきた廻なのだが、お化けだけはどうしても苦手だったこともありゾンビにも忌避感を抱いていた。
「冒険者はそんなこと気にしないぞ? むしろ、女の方が突っ込んでいくイメージがあるがな」
「まさか! あり得ませんよ!」
「ですが実際問題としてゾンビなどの死霊系モンスターがいると助かりますよ?」
「……どういうこと?」
ロンドの言葉に半眼で睨みながら廻が問い掛ける。
「ダンジョンの雰囲気も引き締まりますし、何より倒すのが面倒です」
「それってマイナスじゃない?」
「アホか。ダンジョンから見れば倒しにくいモンスター程、優秀なモンスターはいないだろうが」
「人気が出ません!」
「先を見据えるんじゃないのかにゃ?」
「ニャ、ニャルバンまで私の敵なのね!」
最終的に机に突っ伏してしまった廻を見て、三人は顔を見合わせると盛大に溜息を吐き出して手で顔を覆ってしまった。
「……みんな、本当に酷いよぅ」
誰にも聞こえない小さな声で呟きを漏らした廻だったが、多数決が優先されてハイゾンビもボスに配置されることが決まった。
「お疲れ様なのにゃ!」
廻をサポートしてくれている神の使いのニャルバンが両手を振りながら出迎えてくれた。
「飲み物を持ってくるから座って待ってるにゃ!」
まずは廻が腰掛けて、その右にアルバス、左にロンド。空いた正面にニャルバンが飲み物を並べ終わると腰掛けた。
グラスに踊る透明な水と浮かぶ氷、グラスから音がなる度に涼し気な雰囲気になっていく。
ジーエフが荒野のど真ん中に出来たこともあり、経営者の部屋でも宿屋の食堂でも、基本的には冷たい飲み物が出されている。
「それじゃあ、『ジーエフを盛り上げる為にはどうしたらいいかを考える会』を始めます!」
「名前とかどうでもいいが、実際どうするつもりなんだ?」
「アルバスさんは本当に酷い!」
バッサリ切って捨てるアルバスに憤慨する廻だが、完全無視を決め込んでいるアルバスの視線はニャルバンへと向いていた。
「ここはいっそのこと階層を増やすことも検討するべきだと思うのにゃ」
「でも、それではレア度1と2が現れるだけの長いダンジョンになってしまいませんか? 一度そのようなイメージが付くと、先を見据えたら愚策だと思いますが……」
「宣伝効果はあるが、一か八かになっちまうってわけだ」
「…………みんな、酷い」
一人いじける廻にロンドが声を掛けようとしたのだが、それを遮るかのようにアルバスが意見を口にする。
「手持ちのモンスターも増えているんだろ? だったら、確かに階層を増やすのはありかもしれないな」
「僕はレア度3を手に入れるまでは止めたほうがいいと思います。最下層まで行って、結局レア度2なのかと落胆されてしまいますよ」
アルバスの意見も正しいし、ロンドの意見も正しかった。
手元にあるモンスターは名前を付けた一軍に加えて、進化の為に育てている二軍と、それ以外の三軍に分けている。
一軍をボスに配置して、余った一軍と二軍をランダムに配置、余ったレア度で三軍を配置する予定だったのだが、実際のところ二軍ですら余っている状況が生まれているのだ。
ならば階層を増やすのが得策かといえば、そうではない。
ロンドが言うようにダラダラと長いだけのダンジョンになってしまえば、最下層のモンスターによってその満足度が大きく変わってしまう。
レアアイテムを期待できるレア度の高いモンスターならばやる気が出るものの、レア度の低いモンスターならばこんなものかと落胆してしまうだけでなく、マイナスの噂が広がる可能性だってあるのだ。
「ねえニャルバーン。レアガチャ券を手に入れられる特典って何かないの? 今のところ、経験値の実だったり見た目を豪華にするアイテムしか貰えてないんだけどー」
「僕は分からないのにゃ。神様はそのことを教えてくれなかったのにゃ」
「あんの神様、大事なことは全然教えてくれないんだから!」
「……神様ってどんな奴なんだろうな?」
「……本当ですね」
話が脱線しかかったのだが、アルバスが気を取り直して修正を図る。
「まあだが、ないものをねだっても仕方がない。現状、選択肢は二つだ。階層を増やすか、現状を維持してレア度3を手に入れるまで粘るか」
そこまで話が進むと、三人の視線が廻に集まった。結局のところ、決定権を持っているのは廻なのだ。
「うーん、メリットデメリットがあるのは当然なんだよね。よりメリットが大きくて、デメリットが小さいものとなると……」
腕組みをしながら考えを巡らせる廻。どちらを選んでも前進することに変わりはないのだが、よりベストな選択が何なのかを考える。
そして長い逡巡の末に出した結果は──
「階層を増やしましょう」
「それはどうしてなのにゃ?」
疑問を口にしたのはニャルバンだ。
「デメリットに関しては正直どうでもよくなったわ。考えるだけ無駄だし。それよりもメリットが大きい方を選ぼうと思ったの」
「階層を増やすとどういったメリットがあるんですか?」
次にロンドが疑問を口にする。
「私達に必要なのはレア度3以上のモンスターであり、一番確実性の高い方法がライを進化させること。そうなると、階層が深い方がモンスターを多く配置することもできてレベル上げをしやすいのよ」
「そうなればライの進化も近づくってことか」
「それに、先を見据えると他のモンスターに関しても同じ条件が当てはまるから、階層を増やす方がメリットが大きいと考えました」
「……よし、それで行こう」
廻の思惑を聞いたアルバスの言葉を受けて、四人は即座にどうするべきかを話し合い始めた。
「まずはモンスターの配置になりますよね」
「何か考えはあるのか?」
「とりあえず一〇階層までってことで考えると、当然一軍はボスに配置するんですけど、進化に必要な二軍をどうするかなんですよね」
「どういうことにゃ?」
首を傾げるニャルバンだったが、合点がいったのかアルバスが説明を引き継いだ。
「その場の人気を優先するか、先を見据えるかだな」
「そうなんです」
「人気を優先するなら単純に人気の出る配置を取ればいい。これは簡単だが、先を見据えた配置になれば進化に必要な二軍をボスに配置してレベル上げを優先するってことだな」
「両方を取ればいいのにゃ!」
「「できるかっ!」」
「そ、そこまで怒鳴らなくてもいいのにゃ……」
ニャルバンが言うように両方取れれば一番いいのだが、それは現状難しい選択である。
そもそもレア度が低いジーエフにおいて、人気を取ること自体難しいのだから、ここは先を見据えた配置を優先するべきだろう。
「先を見据えましょう」
「それが妥当だな」
「分かりました」
優先されるべき二軍はライガーとゴーストナイトである。そして昇華が進んでいるスライムとゴブリン。計八匹はボスに確定として、残る二階層分をどうするかを考える。
「レア度2は他にもいるんだろう?」
「はい。ミミックと……ハイゾンビ、ですね」
「じゃあそいつらにし──」
「ハイゾンビは嫌です!」
アルバスの言葉を遮るように廻が否定を口にした。
「なんで? レア度2なんだろう?」
「そうですけど、だって、ゾンビですよ? 気持ち悪いじゃないですか! 女性の冒険者が来なくなったらどうするんですか!」
「そ、そんな理由……」
「ロンド君まで! ゾンビがいるなんて考えたら、私だったら嫌ですよ!」
体を抱きしめてブルブルと震えだす廻。
日本にいた頃は様々な国や文化に触れてきた廻なのだが、お化けだけはどうしても苦手だったこともありゾンビにも忌避感を抱いていた。
「冒険者はそんなこと気にしないぞ? むしろ、女の方が突っ込んでいくイメージがあるがな」
「まさか! あり得ませんよ!」
「ですが実際問題としてゾンビなどの死霊系モンスターがいると助かりますよ?」
「……どういうこと?」
ロンドの言葉に半眼で睨みながら廻が問い掛ける。
「ダンジョンの雰囲気も引き締まりますし、何より倒すのが面倒です」
「それってマイナスじゃない?」
「アホか。ダンジョンから見れば倒しにくいモンスター程、優秀なモンスターはいないだろうが」
「人気が出ません!」
「先を見据えるんじゃないのかにゃ?」
「ニャ、ニャルバンまで私の敵なのね!」
最終的に机に突っ伏してしまった廻を見て、三人は顔を見合わせると盛大に溜息を吐き出して手で顔を覆ってしまった。
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誰にも聞こえない小さな声で呟きを漏らした廻だったが、多数決が優先されてハイゾンビもボスに配置されることが決まった。
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