異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

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第2章:新たな出会い

突然の……

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 廻が復帰した後、次に話し合われたのはランダムについてである。
 こちらは残す一軍と二軍でほとんどが占められるのだが、その組み合わせが悩みのタネとなった。

「一階層から二階層までは冒険者を油断させるっていうメグル様の意見をそのまま充てるとして、その下ですよね」
「やはり下層に行くにしたがって一軍と二軍を配置するべきだろうな」
「そうなると、上層は歯ごたえが無くなるのにゃ」
「上層にも一匹は一軍や二軍を配置した方がいいかもしれないわね」

 そんな感じで話し合いが続くこと二時間──経営者の部屋マスタールームに電子音が鳴り響いた。

「新しい冒険者!」
「いや、小娘はとりあえず配置を考えてろ」
「私も手伝いに──」
「そうですね。僕とアルバス様は戻ろうと思います」
「わ、私も外に──」
「二人とも、行ってらっしゃいなのにゃ!」
「外の空気を──」
「ほらほら、メグルは座るのにゃ」

 廻の意見を誰も聞くことなく、アルバスとロンドは経営者の部屋を後にする。
 残された廻は右手を前に突き出したまま固まってしまっていた。

「……私、経営者なのにいいいいぃぃ」
「メグルはメグルなのにゃ。それとも、やっぱり敬った方がいいのにゃ?」
「…………それはヤダ」
「だったらこのまま頑張るのにゃ!」
「………………はーい」

 頬を膨らませたままの廻であったが、ニャルバンの言葉に少しだけ気持ちを浮上させ、ランダムの配置について考え始めるのだった。

 ※※※※

 一人でジーエフに訪れたその冒険者は、名前をジギル・グリュッフェルといった。
 日差しを浴びる度に反射する美しい銀髪が腰までスラリと伸び、女性としては長身になるだろうジギルはとある人物の名前を耳にしたことでジーエフを訪れている。その人物の名前は──アルバス・フェロー。
 元冒険者ランキング一位にも上り詰めたことのあるアルバスを気にしている理由、それはジギルもその当時冒険者ランキングを争っていたから。
 それが突如として姿をくらましてしまい、アルバスとパーティを組んでいた冒険者に話を聞いても有耶無耶にされてしまう。
 そのままもやもやとした感情だけが残っていたのだが、アルバスがジーエフという新しいダンジョンで換金所の管理人として働いているという情報を耳にすると、居ても立ってもいられなくなったのだ。

「──……ここね」

 ジギルはまだまだみすぼらしいジーエフの門構えを気にすることなく奥へと進んでいく。
 普通の冒険者ならば宿屋に向かうのだが、ジギルの目的はアルバスなので換金所へと真っ直ぐに向かう。
 押し開けられた扉の先には──誰もいなかった。
 アルバスはおろか、窓口にすら誰も立っていない。

「……噂は、噂だったのね」

 そう呟きを落として踵を返した──その時だった。

「んっ? なんでジギルがこんなところにいるんだ?」
「…………えっ?」

 振り返った先に、ジギルが探していた人物であるアルバスが出会った頃と同じ口調で声を掛けてきたのだ。
 沈痛な表情から一転して笑顔を浮かべそうになったジギルだが、その表情はまたすぐに暗く沈んでしまう。
 ジギルは見てしまった。噂でしか聞いていなかったが、本当のことだったのだと理解してしまった。

「……あなた、本当に左腕を失ったのね」
「これか? 見りゃあ分かるだろう。それよりも、なんでお前が──ぶわあっ!」

 こちらの質問に答えてくれないジギルに対して、アルバスが重ねて質問しようとすると、突如としてジギルがアルバスに抱きついてきた。

「ちょ、おま! 何してんだよ!」
「何って、抱きしめているんだ。何なら服まで脱いでこの場で愛を育むというのも──」
「アホか! ガキがいるんだから大概にしろ!」
「何だと?」

 アルバスの隣には一緒に経営者の部屋を出たロンドもいるのだが、ジギルの視界には全く入っていなかった。

「何だ少年、私のサインが欲しいのか? そうかそうか、すぐにやるからさっさとこの場から去ってくれないか? でないと私がアルバスと愛を育むことができな──」
「だからお前はアホなのか! やるわけないだろ!」
「いやんっ!」
「げ、げんこつを食らって変な声を出すな!」

 アルバスがジギルの脳天にげんこつを落としたのだが、何故かジギルの表情は恍惚を浮かべている。
 ロンドはその様子を見て後退ろうしたのだが、アルバスに背後を取られてしまい逃げられなくなった。

「……えっと、アルバス様? この方は僕がいなくなるのを望んでいるんですが……」
「……今はダメだ。というかいてくれ、頼む!」

 小声でのやり取りを見たジギルはササッと詰め寄りアルバスに耳打ちをする。

「……なんだ? 少年趣味でも芽生えたのか?」
「……てめえ、マジで何をしに来たんだよ!」

 ついにキレてしまったアルバスをよそに、ジギルは何食わぬ顔で理由を口にした。

「何をしにって、あなたに会いに来たのよ」
「あん? 意味が分からん。こんな俺に会ってどうするつもりなんだ?」

 隻腕の自分に、という意味合いを込めてジギルに問い掛けたアルバスだったのだが、それに対しての回答に目を見開いてしまった。

「当然、パーティへの勧誘に決まってるじゃないの」
「……お前、俺を怒らせたいのか?」
「私は本気よ」
「隻腕の俺を、パーティから見捨てられた俺を、てめえのパーティにだと?」
「正確には、私とあなたの二人だけよ」
「……はあ?」

 ジギルはアルバスと一、二を争っていた実力者である。当然パーティメンバーも同様に実力者揃いのはずなのだが。

「あいつらは振ってやったわ」
「おま、何を考えてるんだよ!」
「だってあいつら、あなたが冒険者を辞めたって聞いた時、ものすごく喜んだのよ!」
「いや、ライバルが減るんだから当然だろう!」
「私にとってはあり得ないことなの! あなたは私にとって一番のライバルなの! それに……その、好……」
「あん? なんだって?」
「な、なんでもないわよ!」

 いきなり小声になったジギルに怪訝な表情を向けるアルバスだったが、話が逸れたと思ったのか特に追求することはなかった。

「だからってパーティを抜けることはないだろう。俺みたいに捨てられたなら別だがなぁ」
「問題はそこなのよ!」

 突然大声を上げたジギルに驚きつつも、その言葉を待っていたのだが──

「……ど、どうした?」
「いえ……少年はいつ離れてくれるのかと思って」
「えっ! ぼ、僕ですか!」
「こいつは俺の弟子だからな。最後まで聞いていくぞ」
「えぇっ! ちょっと、アルバス様!」
「弟子? ……ふううぅぅぅぅん?」

 ジギルの瞳の奥に何やら燃えたぎる嫉妬の炎を見た気がしたロンドは全力で逃げ出そうとしたのだが、それをアルバスの右手が許してくれなかった。
 素早く首根っこを掴まれてジギルの目の前で宙吊りにされてしまう。

「アルバス様! 酷いですよ!」
「じゃあ逃げるな、いいな!」
「は、はいいいいぃぃっ!」

 手を離されたロンドは着地するとすぐさまアルバスの後ろに移動してしまう。
 ジギルの視線に耐えることができなかったのだ。

「お前、小僧で遊んで楽しいか?」
「別に楽しくなんかないわよ? だって、本当に羨ましかったんだもの」
「もういいわ。それで、問題って何なんだ?」

 話が脱線しているのを元に戻して、ジギルの真意を聞く態勢を整える。

「私のパーティも、あなたのパーティも、人を簡単に見捨て過ぎるのよ。そんなパーティに長いこといたいなんて思うわけないじゃないの」
「……そりゃあ、そうだな」

 思うところがあったのか、アルバスは言葉に詰まりながらも同意を示した。

「あなたのパーティで一番の功労者は誰だったの? 仲間が傷ついたら見捨てるのが普通なの? ライバルが力を落としたならそれに手を叩いて喜ぶのが普通なの? 私はそうは思わないわ!」
「……」
「功労者が誰とか関係なくみんなが仲間なのよ! その仲間が傷ついたなら誰であっても助けるべきなの! ライバルが力を落としたなら私達はそれ以上に強くなろうと意気込むべきだわ!」
「……」
「だから私はあなたを助けに来たの。また冒険者のトップにアルバス・フェローの名前を刻ませる為に!」

 自分の意見を言い切ったジギルは右手を差し出して同意を求めてきた。
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