異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

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オレノオキニイリ

出発

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 出発は明日の早朝となり、二杉達はジーエフに泊まりである。
 エルーカは最後の最後まで二杉に確認を取っており、二杉が何度も頷いていたので本当なのだと諦め顔だった。
 駆け出し冒険者だけでダンジョンに潜るというのは危険を伴う行為だ。それはカナタ達が全滅しかけたことが証明している。
 それでも二杉がエルーカと潜らせたいと言ったのにはアルバスとの会話がカギになっていた。

 廻達が宿屋に戻る前、ジーンを交えた三人はオレノオキニイリのダンジョンについて話をしていた。
 その中でアルバスがロンドにダンジョンを潜らせてほしいとお願いしていたのだ。
 何故このようなお願いをしたのか、それはロンドの成長を確かめたいと思ったからだった。
 ジーエフではモンスターの配置も分かっており、戦い慣れているモンスターしかいないので成長を確認することが難しい。さらに各階層の道順まで把握してしまっている。
 その点、違う都市であれば道順も都度確認する必要があり、未知のモンスターと出会うことができる。
 アルバスの思惑はこの通りなのだが、そこに乗っかってきたのが二杉なのだ。

 エルーカは新人冒険者ではあるのだが、ジーンの目に留まり二杉が直接声を掛けた冒険者である。本人は自分なんて、とよく言っているのだが潜在能力は高いとジーンは見ている。
 だからこそ自信を付けるためにも同じ新人冒険者であるロンドと一緒にダンジョンへ潜ってほしかった。
 ロンドの実力は二人とも知らないのだが、アルバスが言うくらいなら実力者なのだろうという判断を下している。
 ロンドとエルーカ、ダンジョン攻略まではできないまでも下層まで行くことができればきっと自信に繋がるはずだと二杉達は見ていた。

「……はぁ」

 親の心子知らずとはよく言ったもので、エルーカとしては危険なことは極力避けたいと考えいるのでジーンのようなランキング上位の実力者としかダンジョンには潜りたくないと思っている。
 それなら何故冒険者になったのかと思う人は多いのだが、それはエルーカが単純に冒険者という職業に憧れを抱いていたからだ。
 自由に生きることができて、全てを自分で決めることができる。
 二杉とジーンから声を掛けてもらえたことでオレノオキニイリに移住を決めたのは自分だ。まさに自由を謳歌していると言っていいだろう。
 だが、冒険者になって数日で経営者に声を掛けられるような人生は予想していなかったこともあり、今は内心で多大な後悔を抱いていた。

「……ロ、ロンドさんの背中を追いかけていれば大丈夫。それで、ロンドさんが危険だと判断したら取って返して戻ればいいんだ」

 エルーカは何度もオレノオキニイリのダンジョンに潜っているので経験値で言えばエルーカの方が高いのだが、まだ一度も攻略に成功したことがない。
 それもソロではなく中堅冒険者とパーティを組んで潜っているのだが、それでも何故だか攻略できないでいる。
 だからだろう、同じ新人冒険者と二人で潜って攻略できるはずがないと思ってしまうのも致し方ない。
 往生際が悪いといえばそれまでなのだが、エルーカはオレノオキニイリのダンジョンへ潜った時に生きて戻ってくる方法だけを考え続けていた。

 ※※※※

 翌朝、食堂に集まったのは二杉達とオレノオキニイリに向かう廻、ロンド、アークスの三人、そしてアルバスだった。
 この後にはジレラ夫妻が宿屋を手伝いにやってくることになっているのだが、その前には出発する予定となっている。

「食事が終わったら転移装置に向かうぞ」
「ふああああぁぁ……それはいいんですけど、どうしてこんな朝早くに向かうんですか? もっとゆっくりでもいいと思うんですけど」

 二杉の言葉にあくびをしながら返事をしているのは廻である。

「早く行って色々と案内したいからな。それに、その方が早く戻れるわけだし手伝いをする者達からすると助かるんじゃないのか?」
「うーん……まあ、そうなるわよね」

 早く行こうが遅く行こうが、変わるのは帰ってくる時間だけである。ならば二杉が言う通りに早く行ってたくさんの場所を見て回り早く帰るのもいいかもしれない。
 手伝いにやってくるみんなに不安があるわけではないが、鍛冶屋を閉めている日数が廻にとっては心配の種だったことも納得する材料となっていた。

「小娘がいなくても問題は起こさせないから安心しろ」
「アルバスさんがいたら誰も問題は起こせないだろうって安心してますよ」
「俺は小娘がオレノオキニイリで問題を起こさないかが心配だがな」
「毎回一言多いんですよ! なんでさっきので止めないんですか!」
「これが俺の本音だからな」
「ぐぬぬっ! もういいです! 問題なんて起こしませんよ!」

 廻とアルバスお決まりのやり取りが朝から決まると、食事もちょうど終わったので全員が立ち上がり移動を始める。

「気をつけて下さいね」
「ありがとうございます、ニーナさん。私達が留守の間、よろしくお願いします」
「アルバスさんもいますし、みんなが手伝ってくれますから大丈夫ですよ。安心していってらっしゃい」
「はい! いってきます!」

 微笑みながら手を振ってくれたニーナに手を振り返して、最後に廻が宿屋を後にした。

 ※※※※

 転移装置まで移動した廻達はアルバスを残して小屋の中へと移動する。

「アルバスさんもよろしくお願いします」
「お前は自分のことを心配しろよー」
「……」
「……な、なんだよ」
「……いえ、なんでもありません。気をつけます!」

 素直にそう言ってくる廻に調子を崩されたアルバスは頭を掻きながらさっさと行けと手をしっしと振ってくる。

「うふふ、照れてるんですか?」
「んなわけないだろうが! さっさと行けよ!」
「はーい! それじゃあ行きましょう、二杉さん!」
「……あ、あぁ、そうだな」

 呆気に取られていた二杉は廻の一声に気を取り戻して何とか返事を返す。

「それじゃあ閉めるぞ」

 二杉の言葉にジーンが小屋の入口へ移動してドアをゆっくりと閉めていく。
 アルバスは最後までドアが閉まるのを見送ってから小屋の前を離れていった。

「ワクワクしますね!」
「転移装置なんて初めてですよ」
「俺も初めてだな」
「俺達もここに来る時に初めて使ったんだからな、当然だろう」
「少しだけ気分が悪くなると思いますので気をつけて下さいね」
「……はぁ」

 エルーカだけが溜息を漏らす中、廻達は転移装置を使ってオレノオキニイリへと転移した。
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