異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

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オレノオキニイリ

オレノオキニイリ

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 ジーンの言葉通りに廻はわずかな転移酔いを感じていた。
 しかし、それ以上に別の都市へ来れたことに舞い上がっていた。

「早く外に出ましょう!」
「焦るな。ここもジーエフと同じ感じで小屋なんだ、すぐに開くから待っていろ」
「開けたらいいじゃないですか」
「……そうだな、三葉はそういう奴だったな」

 首を傾げる廻だったが、扉が開かれるとその理由が明らかとなった。

「おかえりなさいませ、フタスギ様」
「遅くなったな」
「いえいえ、一日二日は空けると思っていましたから、むしろ一日で早いと思ったくらいです」
「それでも控えてくれているんだから、さすがはラスティンだな」

 執事然としたラスティンはニーナと同い年かそれ以上といった感じの風貌をしている。

「そちらの方々がジーエフの皆様ですね」
「あぁ。そっちの少女が経営者の三葉廻だ」
「さようでございますか。私はラスティンと申します。以後お見知りおきを、ミツバ様」
「よろしくお願いします、ラスティンさん」

 ペコリと頭を下げた廻を見てわずかだが驚きの表情を浮かべたラスティンだったが、すぐに引き締まりいつもの調子に戻っていた。

「それでは、まずはフタスギ様のお屋敷にご案内いたします」
「そのまま屋敷に泊まってもらうから、空いている部屋の掃除も頼む」
「かしこまりました。では、行きましょう」

 優雅な動きは洗練されており、歳を感じさせない見事なものだった。
 廻とロンドは驚きと共に自分には無理だとすぐに理解していた。

 オレノオキニイリを一言でいうと職人の都市である。
 作業着に似た服装の人や汗を掻くからだろうか布を首や頭に巻き付けている人もいる。
 この世界では魔法で鍛冶や建築が行われるので屈強な人ばかり、ということもなくいたって普通の体型をした人も多く見受けられた。

「煙突とか、あまりないんですね」
「煙突? ……あぁ、もしかして三葉はこの世界の鍛冶について知らないのか?」
「どういうことですか?」
「三葉はおそらく、鉄を火で熱し溶かして、鎚で打ったりすることを思い浮かべただろう」
「そうじゃないんですか?」

 首を傾げる廻に対して口を開いたのはラスティンだ。

「やはりミツバ様もフタスギ様と同じで別の世界から来られたのですね」
「……ラスティンさんは信じてくれるんですね」
「フタスギ様の話を聞いていれば、信じるに値すると判断できます」
「そっちは誰も信じてないのか?」
「信じてくれてはいると思いますけど……よくからかわれるので分かりません」
「それはミツバ様の人柄でしょう。そうそう、鍛冶についてでございましたね」

 ラスティンはそのままこの世界の鍛冶について説明を始めた。

「フタスギ様から伺って驚きましたが、ミツバ様の世界とこちらでは鍛冶に方法が全く異なります。こちらでは魔法を用いて素材を加工していきます」
「魔法ですか? そういえばお家も魔法でちゃっちゃか建ててましたっけ」
「その通りです。鍛冶しかり建築しかり、我々の世界では多くのことが魔法でできてしまいます」
「できないことはなんですか?」
「それは、経営者様にしかできないことです」

 ラスティンの言葉に廻はダンジョンをこの世界の住人にやらせればいいと言ったことを思い出した。

「ダンジョン経営は住民の方にはできないんですよね?」
「はい。我々ではモンスターを配置することもできませんし、ガチャと言いましたか? それもできません」
「魔法はとても便利だと思いますけど、ダンジョン経営ができないのは大変ですよね」
「いえいえ、そんなことはありませんよ」

 振り返り廻へにこりと笑うラスティン。視線はそのまま二杉へ向かった。

「私達は運が良い。フタスギ様のような良い経営者様と契約できましたから」
「恥ずかしいからやめろ」
「うふふ、褒められてますね!」
「……ランキングでは三葉にも負けている。それに、俺は俺のやりたいようにやらせてもらっているだけだから褒められるいわれはない」

 顔を背けながら言うあたり、相当照れているのだろう。
 廻はラスティンとクスクスと笑い合っていた。

「も、もうすぐ着くぞ! ほら、ラスティンも早く歩かないか」
「ほほほっ、仕方ありませんね」

 二杉にとってのラスティンは、廻にとってのニーナなのだと感じていた。
 神の使いはそれぞれの経営者に必要な人材を見繕うのだと改めて実感する。
 そうしていると、二杉の言った通りすぐに屋敷へ到着した。

「……お、大きいですね!」
「これくらい経営者なら当然だろう。むしろ俺のは小さい方だと思うんだがな」
「これで小さいんですか! ……あれ? でも待ってください」

 驚きとともに一つの疑問が浮かび上がった廻は二杉に質問する。

「経営者って、経営者の部屋マスタールームで生活するんですよね?」
「何を言っているんだ? 別に経営者の部屋で生活しないといけないなんて決まりはないぞ」
「……ええぇぇぇぇっ!」

 あまりに衝撃的な事実に廻は絶叫をあげてしまった。
 何事だと周囲の人達が見ているが、廻は全く気にしてなかった──廻だけだが。

「おまっ! 三葉、いきなり大声を出すな!」
「恥ずかしいですよ、メグル様!」
「えっ? ……えっ?」

 二杉とロンドが止めに入り、エルーカは何が起きたのか分からず何度もまばたきを繰り返す。残りの面々は顔を手で覆って溜息をついている。

「だ、だって! 私はニャルバンから経営者は経営者の部屋で暮らすって聞きましたよ!」
「なんだそれは? 事実、俺は基本的にこの屋敷で寝泊まりしているぞ。経営者の部屋ではラスティン達が寝泊まりできないからな」
「……わ、私も外に家を建ててやるんだから!」

 オレノオキニイリに到着して廻が最初に決意したことは、外に家を建てるだった。

「……俺、こいつと友好ダンジョン都市を結んでよかったのだろうか」

 二杉は廻の様子を見てそんなことを思うのだった。
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