158 / 183
様々な動き
レベル上げと換金
しおりを挟む
──そして、場面はダンジョンへと移り。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……は、速くねえかあ!?」
息を切らせ、三人の背中を追い掛けるヤダンの姿がそこにはあった。
アルバスやジギルに追いつけないのは仕方ないとしても、まさかロンドにまで置いていかれるとは夢にも思っていなかった。
「ヤダン、ついてこれなかったら置いていくからな」
「頑張れー、せんぱーい」
「ヤダンさん、速く!」
「ち、ちくしょう、やってやるぜこのやろー!」
半ばやけくそ気味に三人を追い抜いたヤダンを見て、顔を見合わせながら苦笑する。
「あの調子じゃ、ランドンまでは持たないわねー」
「っていうか、今回も一五階層まで潜るのか?」
「も、潜らねえのか!?」
敏感に反応したらヤダンがすごい勢いで振り向いた。
「俺達の目的はライとストナのレベル上げだからな。わざわざランドンと戦う意味がないんだよ。ランドンは昇華しねえとレベルも上がらないしな」
「……そ、そんなぁ~」
肩を大きく落としたヤダン。
それでもドロップアイテムで一番価値のあるものを渡すと言うとすぐ元気になった。
「ったく、現金な奴だな」
「へへへ、それが冒険者ってもんでしょう?」
「冒険者の鏡ね。あまり誉められたもんじゃないけど。ロンド君は参考にしちゃダメよ」
「あは、あはは」
こんな感じでライ、ストナと時間を掛けて戦った四人は地上に戻った。
※※※※
換金所では廻とリリーナが冒険者の対応をしている。
廻のことは認知されているものの、リリーナのことを認知している冒険者はまだまだ少ない。
ちょっとしたトラブルは日常茶飯事なのだが、ここでも仲良くなった冒険者が助けてくれた。
「うわー。あいつ、元冒険者ランキング27位に喧嘩売ってるぜ?」
「実力は健在って聞いたし、死んだな」
「隣に経営者様がいるのになぁ」
そんな感じで相手に聞こえるよう話をすることで矛を引き、騒動を収めてくれた。
しばらくするとアルバスまで戻ってきたものだから、相手が顔を青ざめて出ていくのも見慣れた光景だった。
「ったく、まーだ文句をつける奴がいるのか」
「リリーナさんがかわいいから、余計に声を掛けられるんでしょうね」
「うふふ、お世辞を言っても何も出てきませんよ、メグルさん」
笑いながらリリーナがそう口にすると、廻の窓口にヤダンが上機嫌でやって来た。
「おう、メグルちゃん! こいつの換金を頼むぜ!」
「はいはーい。ヤダンさんはいつも変わりませんねー」
「美味い飯と酒があれば問題ないからな! それはそうと、まーだ酒場はできないのか?」
酒場と言われて廻は腕を組み唸ってしまう。
「これでも酒場を任せられる人を探してるんですけどねー。ジーエフに来てくれる人がいないんですよ」
「そうかぁ……仕方ねえ、俺が一肌脱ぐとするか!」
「冒険者を引退するんですか?」
「なわけねえだろうが! 俺の人脈で酒場のオーナーになれる奴を探してやるっていってるんだよ!」
「ほ、本当ですか!」
ヤダンはアークスを連れてきてくれた実績がある。廻としても信用をおいている人物の一人なのでありがたい話だった。
「まーた問題を持ってくるんじゃないだろうなぁ」
「ひ、ひでえなぁ、アルバスさん。でもよう、結果としてアークスも移住できたし、オレノオキニイリと友好ダンジョン都市になれたんだからよかったじゃねえか!」
「結果が良ければいいってわけじゃねえんだよ」
呆れたように呟くアルバスに対してヤダンは笑って誤魔化している。
「でも、アークスさんの件はヤダンさんの言う通りですよね」
「さっすがメグルちゃんだぜ!」
「でも! 問題には変わりないので、できたらすぐに移住ができるように進めてくださいね」
廻からも念を押されると、さすがのヤダンも笑みを引っ込めて頭を掻いた。
「仕方ねえなぁ。まあ、俺様の手腕ならすぐに見つけ出せるから任せておけよ!」
「……不安だ」
「……不安しかねえ」
「……不安ですねぇ」
「さ、三人とも同じ感想かよ!?」
最後には笑い声が響き渡り、廻はドロップアイテムを換金するために一度後ろに下がる。
そしてヤダンが換金した中では最高額を差し出すと満面の笑みを浮かべて喜んでいた。
「うっほー! さすがレア度4から出てきたドロップアイテムだぜ! それじゃあ、俺は今日まで泊まってからオーナーを探してくるぜ!」
意気揚々と出ていったヤダンを見て、今日はこれから一日中飲んで食べてを繰り返すのだろうと三人は苦笑を浮かべた。
「……そういえば、ランドンから出たアイテムがそのままだったな」
「そうでした! たくさんのお金が出てきそうですね!」
「アルバス様がそのまま使うのではないのですか?」
「外のダンジョンで手に入れた素材なら使うだろうが、ここで出たなら有意義に使ってもらう方がいいだろう」
そう言って自らが換金機材に入れようとしたのだが、その手がピタリと止まった。
「どうしたんですか?」
「……てめえら、なんでさっきからジーっとこっちを見てるんだ?」
「「えっ?」」
アルバスの視線の先では、ジーエフに通い慣れた冒険者達が換金機材を見つめていた。
指摘された途端にある者は口笛を吹き、ある者は意味のない会話を始め、ある者は横目でこちらを伺っている。
この場にいる全員が、どれだけの金額が出てくるのか気になっていたのだ。
「……換金は、換金所を閉めてからにするか」
「「「「なんで!?」」」」
「てめえら、絶対に俺にたかるだろうが!」
一悶着あったものの、アルバスの一喝により収まると冒険者達は肩を落として散り散りに去っていった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……は、速くねえかあ!?」
息を切らせ、三人の背中を追い掛けるヤダンの姿がそこにはあった。
アルバスやジギルに追いつけないのは仕方ないとしても、まさかロンドにまで置いていかれるとは夢にも思っていなかった。
「ヤダン、ついてこれなかったら置いていくからな」
「頑張れー、せんぱーい」
「ヤダンさん、速く!」
「ち、ちくしょう、やってやるぜこのやろー!」
半ばやけくそ気味に三人を追い抜いたヤダンを見て、顔を見合わせながら苦笑する。
「あの調子じゃ、ランドンまでは持たないわねー」
「っていうか、今回も一五階層まで潜るのか?」
「も、潜らねえのか!?」
敏感に反応したらヤダンがすごい勢いで振り向いた。
「俺達の目的はライとストナのレベル上げだからな。わざわざランドンと戦う意味がないんだよ。ランドンは昇華しねえとレベルも上がらないしな」
「……そ、そんなぁ~」
肩を大きく落としたヤダン。
それでもドロップアイテムで一番価値のあるものを渡すと言うとすぐ元気になった。
「ったく、現金な奴だな」
「へへへ、それが冒険者ってもんでしょう?」
「冒険者の鏡ね。あまり誉められたもんじゃないけど。ロンド君は参考にしちゃダメよ」
「あは、あはは」
こんな感じでライ、ストナと時間を掛けて戦った四人は地上に戻った。
※※※※
換金所では廻とリリーナが冒険者の対応をしている。
廻のことは認知されているものの、リリーナのことを認知している冒険者はまだまだ少ない。
ちょっとしたトラブルは日常茶飯事なのだが、ここでも仲良くなった冒険者が助けてくれた。
「うわー。あいつ、元冒険者ランキング27位に喧嘩売ってるぜ?」
「実力は健在って聞いたし、死んだな」
「隣に経営者様がいるのになぁ」
そんな感じで相手に聞こえるよう話をすることで矛を引き、騒動を収めてくれた。
しばらくするとアルバスまで戻ってきたものだから、相手が顔を青ざめて出ていくのも見慣れた光景だった。
「ったく、まーだ文句をつける奴がいるのか」
「リリーナさんがかわいいから、余計に声を掛けられるんでしょうね」
「うふふ、お世辞を言っても何も出てきませんよ、メグルさん」
笑いながらリリーナがそう口にすると、廻の窓口にヤダンが上機嫌でやって来た。
「おう、メグルちゃん! こいつの換金を頼むぜ!」
「はいはーい。ヤダンさんはいつも変わりませんねー」
「美味い飯と酒があれば問題ないからな! それはそうと、まーだ酒場はできないのか?」
酒場と言われて廻は腕を組み唸ってしまう。
「これでも酒場を任せられる人を探してるんですけどねー。ジーエフに来てくれる人がいないんですよ」
「そうかぁ……仕方ねえ、俺が一肌脱ぐとするか!」
「冒険者を引退するんですか?」
「なわけねえだろうが! 俺の人脈で酒場のオーナーになれる奴を探してやるっていってるんだよ!」
「ほ、本当ですか!」
ヤダンはアークスを連れてきてくれた実績がある。廻としても信用をおいている人物の一人なのでありがたい話だった。
「まーた問題を持ってくるんじゃないだろうなぁ」
「ひ、ひでえなぁ、アルバスさん。でもよう、結果としてアークスも移住できたし、オレノオキニイリと友好ダンジョン都市になれたんだからよかったじゃねえか!」
「結果が良ければいいってわけじゃねえんだよ」
呆れたように呟くアルバスに対してヤダンは笑って誤魔化している。
「でも、アークスさんの件はヤダンさんの言う通りですよね」
「さっすがメグルちゃんだぜ!」
「でも! 問題には変わりないので、できたらすぐに移住ができるように進めてくださいね」
廻からも念を押されると、さすがのヤダンも笑みを引っ込めて頭を掻いた。
「仕方ねえなぁ。まあ、俺様の手腕ならすぐに見つけ出せるから任せておけよ!」
「……不安だ」
「……不安しかねえ」
「……不安ですねぇ」
「さ、三人とも同じ感想かよ!?」
最後には笑い声が響き渡り、廻はドロップアイテムを換金するために一度後ろに下がる。
そしてヤダンが換金した中では最高額を差し出すと満面の笑みを浮かべて喜んでいた。
「うっほー! さすがレア度4から出てきたドロップアイテムだぜ! それじゃあ、俺は今日まで泊まってからオーナーを探してくるぜ!」
意気揚々と出ていったヤダンを見て、今日はこれから一日中飲んで食べてを繰り返すのだろうと三人は苦笑を浮かべた。
「……そういえば、ランドンから出たアイテムがそのままだったな」
「そうでした! たくさんのお金が出てきそうですね!」
「アルバス様がそのまま使うのではないのですか?」
「外のダンジョンで手に入れた素材なら使うだろうが、ここで出たなら有意義に使ってもらう方がいいだろう」
そう言って自らが換金機材に入れようとしたのだが、その手がピタリと止まった。
「どうしたんですか?」
「……てめえら、なんでさっきからジーっとこっちを見てるんだ?」
「「えっ?」」
アルバスの視線の先では、ジーエフに通い慣れた冒険者達が換金機材を見つめていた。
指摘された途端にある者は口笛を吹き、ある者は意味のない会話を始め、ある者は横目でこちらを伺っている。
この場にいる全員が、どれだけの金額が出てくるのか気になっていたのだ。
「……換金は、換金所を閉めてからにするか」
「「「「なんで!?」」」」
「てめえら、絶対に俺にたかるだろうが!」
一悶着あったものの、アルバスの一喝により収まると冒険者達は肩を落として散り散りに去っていった。
10
あなたにおすすめの小説
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる