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第一章
第11話:とはいえ外れスキル
「……その様子だと、本当にスキル〈従魔具職人〉しか分からなかったみたいね」
「……は、はい」
申し訳なさそうに楓が答えると、セリシャは微笑みながら首を横に振る。
「いいんですよ。そういう人がいないわけではありませんから」
「あ、ありがとうございます」
緊張の面持ちで話を聞きながら、セリシャの言葉を待つ楓。
「まずはスキルレベルについてですが――」
セリシャは丁寧にスキルレベルについて教えてくれた。
スキルレベルは最高からS、A、B、C、D、E、Fが最低となる。
「え? でも、私のスキルレベルはEXなんですよね?」
ではEXとはなんなのかという疑問が浮かび、楓はすぐに質問する。
「先ほど説明したスキルレベルは、一般に知られているものです。そして、EXというスキルレベルは、Sのさらに上、規格外のスキルレベルだということになります」
「……き、規格外の、スキルレベル?」
どうやら勇者召喚に巻き込まれた自分も特別なスキルを授かっていたのだと、楓は内心で安堵する。
「……とはいえ、スキル自体が〈従魔具職人〉というのが問題です」
「あー……やっぱり、外れスキルというのが問題なんでしょうか?」
レベルEXとはいえ、そのスキルが外れスキルなのが問題なのだと、セリシャは語る。
「歴史上、レベルEXは登場したことが数例ですがあります。そして、その全てが世間一般に知られた上位スキルでした。EXは全てのスキルで規格外の力を発揮したと記されておりますが、外れスキルでどのような力を発揮するのか、それが分からないのです」
困ったようにそう口にしたセリシャ。
しかし、それは楓も同じだ。
異世界に召喚された楓にとって、この世界の何もかもが初めてのことだ。それは自分のスキルについても同じこと。
自分のことをどう理解すればいいのか、楓は困惑顔を浮かべてしまう。
「……そこで、一つお願いしたいことがあるのです」
「な、なんでしょうか?」
セリシャは楓が緊張しないよう、柔和な笑みを浮かべながらお願いを口にする。
「カエデさんのスキル、〈従魔具職人〉で作った従魔具を見せてくれないかしら?」
「従魔具、ですか?」
まさかのお願いに、楓は困惑の声を上げた。
「はい。何かを確かめるには、実際に作ったものを見る方が早いと思うの。どうかしら、カエデさん?」
「私もそう思うんですが……実は私、まだ実際に作ったことはなくて、スキルを使ったこともないんです」
「あら、そうだったの?」
セリシャは驚きの表情を浮かべながら聞くと、楓は申し訳なさそうに頷く。
「……それなら、今ここで作ってみる?」
するとここで、セリシャからそんな提案が口にされた。
「えぇっ!? 今、ここでですか!!」
「そうよ。作ってくれるなら、私が簡単なアドバイスをすることはできるわよ?」
「でも、初めての作品で、スキルレベルのすごさとか、分かったりするものなんですか?」
「分かるわ」
嬉しい提案ではあるが、ただ作るだけでレベルEXのすごさが分かるのかどうかが楓には分からない。
しかしセリシャははっきり「分かる」と答えてくれた。
「……わ、分かりました! お願いしてもいいでしょうか!」
とはいえ、どちらにしても楓に選択肢はない。
ここでセリシャに見放されてしまえば、仕事にありつけなくなるからだ。
「ありがとう、カエデさん」
「お、お礼を言うのは、こちらの方でして……ありがとうございます」
立ち上がりお礼を言われた楓は、申し訳なさそうにお礼を返した。
セリシャはそのまま執務机の方へ移動すると、引き出しに入っていた鞄を取り出す。
そして、ソファに戻ってきたセリシャは鞄から材料を取り出していき、目の前のテーブルに置いていく。
「……もしかして、それは魔法鞄ですか?」
「えぇ、そうよ」
(魔法鞄って高価なんだよね? そんな魔法鞄を持っていたティアナさんって、もしかしてすごい冒険者だったのかな?)
そんなことを考えていると、テーブルの上が素材で埋め尽くされていた。
「……え? こ、こんなに?」
「どの素材を使ってくれても構わないわ。さあ、何を作る?」
何を作ると問われた楓だったが、今すぐには答えられない。どうしてかというと――
「……あの、セリシャ様。従魔具を作るとしても、誰のために作ればいいんですか?」
「……誰のため?」
楓としては当然の疑問だったが、セリシャは驚きの声を返した。
「はい。従魔具を作るにしても、誰に作るのかで、何もかもが変わってくると思うんです。バルフェムを歩いていて、たくさんの従魔が歩いている姿を見てきました。彼らは姿も形も違えば、似ていても体格は違ってきます。なので、誰のために作ればいいのか、それを教えてほしいんです」
「……なるほど。そういうことね」
楓の言わんとしていることが理解できたのか、セリシャは納得顔で頷いた。
(……私、変なことを言っちゃったかな? もしかして、この世界では従魔に対してオーダーメイドで作るなんてこと、しないのかな?)
不安になりながらセリシャの言葉を待っている楓。
「……分かったわ。それじゃあ、私の従魔を連れてくるから、少しだけ待っていてくれるかしら?」
「は、はい!」
するとセリシャから嬉しい提案を口にされ、楓は元気よく返事をした。
一度部屋を出て行ったセリシャを待つこと三分ほどが経つと、廊下の方から「ズンッ! ズンッ!」と、床を揺らす重い足音が近づいてくる。
「…………え? も、もしかして?」
楓が驚きのまま扉の方へ視線を向けると、同じタイミングで扉が開かれる。
「ガウッ!」
「おっきなワンちゃん!!」
青と白の毛並みが特徴的な従魔がひょっこりと顔を出したのを見て、楓は反射的に歓喜の声を上げていた。
「……は、はい」
申し訳なさそうに楓が答えると、セリシャは微笑みながら首を横に振る。
「いいんですよ。そういう人がいないわけではありませんから」
「あ、ありがとうございます」
緊張の面持ちで話を聞きながら、セリシャの言葉を待つ楓。
「まずはスキルレベルについてですが――」
セリシャは丁寧にスキルレベルについて教えてくれた。
スキルレベルは最高からS、A、B、C、D、E、Fが最低となる。
「え? でも、私のスキルレベルはEXなんですよね?」
ではEXとはなんなのかという疑問が浮かび、楓はすぐに質問する。
「先ほど説明したスキルレベルは、一般に知られているものです。そして、EXというスキルレベルは、Sのさらに上、規格外のスキルレベルだということになります」
「……き、規格外の、スキルレベル?」
どうやら勇者召喚に巻き込まれた自分も特別なスキルを授かっていたのだと、楓は内心で安堵する。
「……とはいえ、スキル自体が〈従魔具職人〉というのが問題です」
「あー……やっぱり、外れスキルというのが問題なんでしょうか?」
レベルEXとはいえ、そのスキルが外れスキルなのが問題なのだと、セリシャは語る。
「歴史上、レベルEXは登場したことが数例ですがあります。そして、その全てが世間一般に知られた上位スキルでした。EXは全てのスキルで規格外の力を発揮したと記されておりますが、外れスキルでどのような力を発揮するのか、それが分からないのです」
困ったようにそう口にしたセリシャ。
しかし、それは楓も同じだ。
異世界に召喚された楓にとって、この世界の何もかもが初めてのことだ。それは自分のスキルについても同じこと。
自分のことをどう理解すればいいのか、楓は困惑顔を浮かべてしまう。
「……そこで、一つお願いしたいことがあるのです」
「な、なんでしょうか?」
セリシャは楓が緊張しないよう、柔和な笑みを浮かべながらお願いを口にする。
「カエデさんのスキル、〈従魔具職人〉で作った従魔具を見せてくれないかしら?」
「従魔具、ですか?」
まさかのお願いに、楓は困惑の声を上げた。
「はい。何かを確かめるには、実際に作ったものを見る方が早いと思うの。どうかしら、カエデさん?」
「私もそう思うんですが……実は私、まだ実際に作ったことはなくて、スキルを使ったこともないんです」
「あら、そうだったの?」
セリシャは驚きの表情を浮かべながら聞くと、楓は申し訳なさそうに頷く。
「……それなら、今ここで作ってみる?」
するとここで、セリシャからそんな提案が口にされた。
「えぇっ!? 今、ここでですか!!」
「そうよ。作ってくれるなら、私が簡単なアドバイスをすることはできるわよ?」
「でも、初めての作品で、スキルレベルのすごさとか、分かったりするものなんですか?」
「分かるわ」
嬉しい提案ではあるが、ただ作るだけでレベルEXのすごさが分かるのかどうかが楓には分からない。
しかしセリシャははっきり「分かる」と答えてくれた。
「……わ、分かりました! お願いしてもいいでしょうか!」
とはいえ、どちらにしても楓に選択肢はない。
ここでセリシャに見放されてしまえば、仕事にありつけなくなるからだ。
「ありがとう、カエデさん」
「お、お礼を言うのは、こちらの方でして……ありがとうございます」
立ち上がりお礼を言われた楓は、申し訳なさそうにお礼を返した。
セリシャはそのまま執務机の方へ移動すると、引き出しに入っていた鞄を取り出す。
そして、ソファに戻ってきたセリシャは鞄から材料を取り出していき、目の前のテーブルに置いていく。
「……もしかして、それは魔法鞄ですか?」
「えぇ、そうよ」
(魔法鞄って高価なんだよね? そんな魔法鞄を持っていたティアナさんって、もしかしてすごい冒険者だったのかな?)
そんなことを考えていると、テーブルの上が素材で埋め尽くされていた。
「……え? こ、こんなに?」
「どの素材を使ってくれても構わないわ。さあ、何を作る?」
何を作ると問われた楓だったが、今すぐには答えられない。どうしてかというと――
「……あの、セリシャ様。従魔具を作るとしても、誰のために作ればいいんですか?」
「……誰のため?」
楓としては当然の疑問だったが、セリシャは驚きの声を返した。
「はい。従魔具を作るにしても、誰に作るのかで、何もかもが変わってくると思うんです。バルフェムを歩いていて、たくさんの従魔が歩いている姿を見てきました。彼らは姿も形も違えば、似ていても体格は違ってきます。なので、誰のために作ればいいのか、それを教えてほしいんです」
「……なるほど。そういうことね」
楓の言わんとしていることが理解できたのか、セリシャは納得顔で頷いた。
(……私、変なことを言っちゃったかな? もしかして、この世界では従魔に対してオーダーメイドで作るなんてこと、しないのかな?)
不安になりながらセリシャの言葉を待っている楓。
「……分かったわ。それじゃあ、私の従魔を連れてくるから、少しだけ待っていてくれるかしら?」
「は、はい!」
するとセリシャから嬉しい提案を口にされ、楓は元気よく返事をした。
一度部屋を出て行ったセリシャを待つこと三分ほどが経つと、廊下の方から「ズンッ! ズンッ!」と、床を揺らす重い足音が近づいてくる。
「…………え? も、もしかして?」
楓が驚きのまま扉の方へ視線を向けると、同じタイミングで扉が開かれる。
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「おっきなワンちゃん!!」
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