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第二章:護衛依頼
第64話:素材の売却
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商談が終わりバルスタッド商会を出ると、そこにはすでに馬車が待機していた。
どうやら執事の方がタイミングよく移動させてくれたようだ。
「どうでした? ねえ、中はどうでしたか?」
そして、合流早々にバルスタッド商会の中の確認は止めて欲しい。
「気になるならお前も入ればよかったじゃないか、エリカ」
「えぇ~? それはさすがに……緊張しちゃいますから」
「なら聞くな」
「酷いですよ! レインズ!」
「私も聞きたいな!」
「……お、俺も」
「お前らなぁ……はぁ。まあ、豪華だったよ。以上だ」
「「「……ええええぇぇ~? それだけ~?」」」
こいつら、外だからって気持ちの切り替えが早すぎるだろう!
「ったく。ヒロさん、次はどこに行きますか?」
「冒険者ギルドにお願いします」
「あー……すみません、ヒロさん。その、やっぱり冒険者ギルドへの登録は……」
ヒロさんとルシウスさんの話を聞いていくうちに、やっぱり登録は止めておこうと思った。
ランクを上げるのも面倒そうだし、何より俺はウラナワ村の門番なのだ。
それに、身分証のためだけに冒険者になるのは現役の冒険者に申し訳が立たない。
「あぁ、説明が足りませんでしたね。冒険者ギルドには、魔獣の素材を売りに行くんですよ」
「魔獣の素材ですか? ……そういえば、バルスタッド商会には売ってませんでしたね」
大きな商会だから持ち込んだ商品は全て売却するのだと思っていたが、すっかり忘れていた。
「バルスタッド商会でも取り扱ってはいるんですが、魔獣素材は本職ではないのですよ。それに数が数ですから、ルシウスのところだけではお金の用立てが難しいかと思いましてね」
「……貴族家でも用立てできないくらいの金額になるんですか?」
「いえいえ、すぐには難しいという意味ですよ」
いや、それでも十分に凄い金額になる気がするんだが。
「冒険者ギルドでは、登録していない者でも持ち込みで買い取ってくれます。手数料は取られますが、適正価格で買い取ってくれますから」
「直接別のお店に持ち込んでもいいんですか?」
「少量であれば可能ですが、素人では買い叩かれる事の方が多いでしょうね」
うん、俺には商談なんて無理だな。もし小銭稼ぎで魔獣を狩ったなら、冒険者ギルドにお世話になろう。
そうなると、やはり登録した方がいいのか? 売るにしても登録していたら何か特典のようなものがあるのだろうか。
「気になってきましたか?」
「……えっと、少しですが」
「もしかして、レインズは冒険者ギルドに登録するんですか?」
「えっ! そうなのか、師匠?」
「まだ考え中だ。ヒロさん、身分証になり得るものをウラナワ村で手に入れる事はできないんですか?」
「できはしますが……難しいと思います」
どういう事か話を聞くと、他国からやって来た者であれば移住先の長がその土地の領主へ報告し、領主から王政府へ報告が上がり、そこで認可されれば領主へ知らせが入り、そこで発行される身分証を長が受け取り、移住者へ手渡すという流れになるらしい。
正規の手順を踏むと一ヶ月、もしかするとそれ以上掛かる事もあり、さらに言えばほとんどの者がこのような面倒な手順を踏む事をしないので申請をしても忘れさられる可能性の方が高いのではないか、というのがヒロさんの見解だ。
「王政府は当然ですが、各地領主も暇ではありませんからね。むしろ、長が領主へ報告しに行ったところで門前払いを受ける可能性が一番高いです」
「……正規の手順なんて、あってないようなものですね」
「だからこそ、手軽に身分証を手に入れる事ができる冒険者ギルドは重宝されているのですよ。戦力の確保にもつながりますからね」
「でも、自己責任って事ですよね?」
「そういう事です」
冒険者ギルドとは違って、商業ギルドの場合は店を持つにも定住する事がほとんどなので、登録はとても厳しい審査が必要にいなってくるのだとか。
そうなると、最終的には冒険者ギルドに登録するという結論に至りそうだ。
「ちなみに、私は商業ギルドに登録しています」
「凄腕の革職人で、凄腕の商人ですからね」
「それも、永久会員です」
「……何ですか、それは?」
「ある一定の功績を残した場合、更新に必要な業績が無くとも失効しないというものですね」
「……さすがと言うべきですか?」
「過去の自分に感謝ですね」
そんな話をヒロさんとしていると、御者台に乗り出してきたエリカとギースが声をあげた。
「私も登録したいです!」
「お、俺も!」
おいおい、エリカは移住組だからわかるとして、ギースもか?
「ギースは必要ないだろう。身分証も持っていたし」
「身分証とか関係なく、冒険者には憧れがあるんですよ!」
「だが、一年に一回は依頼をこなさないと失効するらしいぞ? ウラナワ村の自警団であるギースには厳しいんじゃないか?」
今回は馬車の中に潜り込んでいたからここにいるが、本来ならばいない存在だ。
次にヒロさんがシュティナーザに来る時の護衛だって、俺かエリカになる可能性は高いし、そうなるとギースが依頼を達成する事はできない。
結果として、あっという間に失効というわけだ。
「ギースがウラナワ村を出る時があれば、その時に登録しろ。一度失効すると、再登録は大変らしいぞ?」
俺がそう説明すると、ギースはスゴスゴと荷台の方へ移動してしまった。
だが、隣に移動してきたエリカは満面の笑みを浮かべている。
……こいつは、登録する気満々だな。
どうやら執事の方がタイミングよく移動させてくれたようだ。
「どうでした? ねえ、中はどうでしたか?」
そして、合流早々にバルスタッド商会の中の確認は止めて欲しい。
「気になるならお前も入ればよかったじゃないか、エリカ」
「えぇ~? それはさすがに……緊張しちゃいますから」
「なら聞くな」
「酷いですよ! レインズ!」
「私も聞きたいな!」
「……お、俺も」
「お前らなぁ……はぁ。まあ、豪華だったよ。以上だ」
「「「……ええええぇぇ~? それだけ~?」」」
こいつら、外だからって気持ちの切り替えが早すぎるだろう!
「ったく。ヒロさん、次はどこに行きますか?」
「冒険者ギルドにお願いします」
「あー……すみません、ヒロさん。その、やっぱり冒険者ギルドへの登録は……」
ヒロさんとルシウスさんの話を聞いていくうちに、やっぱり登録は止めておこうと思った。
ランクを上げるのも面倒そうだし、何より俺はウラナワ村の門番なのだ。
それに、身分証のためだけに冒険者になるのは現役の冒険者に申し訳が立たない。
「あぁ、説明が足りませんでしたね。冒険者ギルドには、魔獣の素材を売りに行くんですよ」
「魔獣の素材ですか? ……そういえば、バルスタッド商会には売ってませんでしたね」
大きな商会だから持ち込んだ商品は全て売却するのだと思っていたが、すっかり忘れていた。
「バルスタッド商会でも取り扱ってはいるんですが、魔獣素材は本職ではないのですよ。それに数が数ですから、ルシウスのところだけではお金の用立てが難しいかと思いましてね」
「……貴族家でも用立てできないくらいの金額になるんですか?」
「いえいえ、すぐには難しいという意味ですよ」
いや、それでも十分に凄い金額になる気がするんだが。
「冒険者ギルドでは、登録していない者でも持ち込みで買い取ってくれます。手数料は取られますが、適正価格で買い取ってくれますから」
「直接別のお店に持ち込んでもいいんですか?」
「少量であれば可能ですが、素人では買い叩かれる事の方が多いでしょうね」
うん、俺には商談なんて無理だな。もし小銭稼ぎで魔獣を狩ったなら、冒険者ギルドにお世話になろう。
そうなると、やはり登録した方がいいのか? 売るにしても登録していたら何か特典のようなものがあるのだろうか。
「気になってきましたか?」
「……えっと、少しですが」
「もしかして、レインズは冒険者ギルドに登録するんですか?」
「えっ! そうなのか、師匠?」
「まだ考え中だ。ヒロさん、身分証になり得るものをウラナワ村で手に入れる事はできないんですか?」
「できはしますが……難しいと思います」
どういう事か話を聞くと、他国からやって来た者であれば移住先の長がその土地の領主へ報告し、領主から王政府へ報告が上がり、そこで認可されれば領主へ知らせが入り、そこで発行される身分証を長が受け取り、移住者へ手渡すという流れになるらしい。
正規の手順を踏むと一ヶ月、もしかするとそれ以上掛かる事もあり、さらに言えばほとんどの者がこのような面倒な手順を踏む事をしないので申請をしても忘れさられる可能性の方が高いのではないか、というのがヒロさんの見解だ。
「王政府は当然ですが、各地領主も暇ではありませんからね。むしろ、長が領主へ報告しに行ったところで門前払いを受ける可能性が一番高いです」
「……正規の手順なんて、あってないようなものですね」
「だからこそ、手軽に身分証を手に入れる事ができる冒険者ギルドは重宝されているのですよ。戦力の確保にもつながりますからね」
「でも、自己責任って事ですよね?」
「そういう事です」
冒険者ギルドとは違って、商業ギルドの場合は店を持つにも定住する事がほとんどなので、登録はとても厳しい審査が必要にいなってくるのだとか。
そうなると、最終的には冒険者ギルドに登録するという結論に至りそうだ。
「ちなみに、私は商業ギルドに登録しています」
「凄腕の革職人で、凄腕の商人ですからね」
「それも、永久会員です」
「……何ですか、それは?」
「ある一定の功績を残した場合、更新に必要な業績が無くとも失効しないというものですね」
「……さすがと言うべきですか?」
「過去の自分に感謝ですね」
そんな話をヒロさんとしていると、御者台に乗り出してきたエリカとギースが声をあげた。
「私も登録したいです!」
「お、俺も!」
おいおい、エリカは移住組だからわかるとして、ギースもか?
「ギースは必要ないだろう。身分証も持っていたし」
「身分証とか関係なく、冒険者には憧れがあるんですよ!」
「だが、一年に一回は依頼をこなさないと失効するらしいぞ? ウラナワ村の自警団であるギースには厳しいんじゃないか?」
今回は馬車の中に潜り込んでいたからここにいるが、本来ならばいない存在だ。
次にヒロさんがシュティナーザに来る時の護衛だって、俺かエリカになる可能性は高いし、そうなるとギースが依頼を達成する事はできない。
結果として、あっという間に失効というわけだ。
「ギースがウラナワ村を出る時があれば、その時に登録しろ。一度失効すると、再登録は大変らしいぞ?」
俺がそう説明すると、ギースはスゴスゴと荷台の方へ移動してしまった。
だが、隣に移動してきたエリカは満面の笑みを浮かべている。
……こいつは、登録する気満々だな。
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