神様から貰った最強スキルは超素早いゲンコツ!? 上京目指して悪魔退治 in 茨城

チガーイ

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電車の乗り方って言ったって

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 迷惑をかけてしまった以上。断るわけにもいかず、コイツとの擦り合わせも兼ねて、手伝う口実に二人でキッチンで料理をすることになった。ドアを閉めたので多少の声ならこれで聞こえないはずだ。

 その間、こっちにこられないようにするため、上田さんにはテレビを見てもらって待っててもらうよう伝えてある。


 高校を卒業してから一人暮らしをし始めたのである程度の物は作れる。冷蔵庫の中を確認し、スープパスタにしよう。そんなに時間もかからないし、ちゃちゃっと作れるしな。

 料理を作りながら、小声で横で料理を見ているだけのコイツに話しかける。

「少しは考えて喋れよ」

「⋯⋯ごめん」

 今回は自分の身に降りかかってくる事だからか、素直に謝ってくる。

「はぁ~。とりあえずやりたいゲームがあるのと、勉強を教えて貰うためにしばらく俺んちにいることにするぞ。んで名前だが本名聞かれたときになんか考えておけよ」

「うん」と小さく返事され、ちゃっちゃとスープパスタを作って持っていく。

 後は変なことを聞かれてボロが出ないようにこちら側から質問をして会話の主導権を握ればどうにかなるだろう。

 ***

 スープパスタは美味しいと言ってくれて何よりだ。食べやすさもあるのでそんなに長居はしないだろ。

「そう言えばさ、東京ってみんな駅で待ち合わせすんの? ハチ公前とか」

「大体は駅ってのが多いですかね。俺は渋谷には殆ど行かないのでハチ公前で待ち合わせしたことはないですけど」

 ここだ!

 ここで話しを俺に切り替えなければ、上田さんから質問が飛び続けてしまう。切り替えるのは最初が肝心なんだ。

「そ~いえば、派遣の登録で一度だけ水戸線に乗って水戸まで行ったんですが、ちょっと疑問があったんですよ。なんでボックス席じゃない普通の平行な座席なのに向かい合って座って話すんですか?」

 電車というワードで思い付いた疑問を投げ掛ける。これで俺のターン!

「えっ? なんで横に座んの?
 邪魔じゃん、すいてんだったら前に座るでしょうよ」

 堂々と答える上田さんの姿に思わず納得してしまいそうになるが、いくら電車がガラガラだとしても正面に座ることはない。

 茨城県民は、すいている車両なら自分達専用車両だと思っているのだろうか?

 四両編成なのに⋯⋯。

「電車って言えばさ、私達の時代はよくやってたけどもさ、いばちゃん達も雨の日はトトローってやる?」

 上田さんは、普通にいばちゃんと呼ぶんだな。

「うん。やるよ。当たり前じゃん!」

 なんだよそれ? その当たり前のやつ俺は知らないからな。
 そんな俺の顔を上田さんが見て、「知らないんだ~」とでも言いたそうなニヤニヤした顔をこちらに向ける。カワイイ!

「雨の日って、駅のホームで傘さすでしょうよ。んで真顔からニヤッて笑うやつよ」

 うん。全然わからない⋯⋯。

 何が当たり前のなのかもわからないし、何が面白いのかもわからない。むしろなぜ駅のホームで傘をさすんだ。邪魔で仕方ないだろ。ホームすらも茨城県民は自分達専用とでも思っているのか?

「なんで駅のホームで傘をさすんですか? 邪魔になりますよね」

 俺は何か間違ったことを言ったのだろうか? いや否だ。にもかかわらず二人して俺の顔を不思議そうに見てくる。うん、不思議なのは君達の方だぞ。

「いやいや、何言ってんのよ。雨降ってんだから傘ささなきゃ濡れちゃうでしょ~よ。東京じゃ濡れんの気にしないの?」

「なんで濡れるんですか? 雨漏りですか?」

「えっ?」

「えっ?」

 会話が噛み合っていないのだろうか。上田さんと顔を見合わせてしまった。

「⋯⋯茨城って駅のホーム屋根が雨漏りするくらい空いてるんですか?」

 言葉は悪いが通じなければ会話にならないと思い、申し訳ない気持ちはあったが言葉をにごすさず聞いた。

「いや、駅のホームに屋根がある方が珍しいけど⋯⋯」

 ⋯⋯っ! んなバカな!?

「じゃ⋯⋯、じゃあ雨のどうしてるんですか?」

「え、だから傘さしてるか、向こうのホームに行く階段の下にいるか、改札口の手前の待合室にいるかだよ」

 なぜ、待合室が改札口の手前にあるんだ? 普通改札口入った後だろう。
 むしろ階段の下ってなんだ。階段の下なんて無いだろう?

「あ~なるほど」

 と、それ以外の言葉が出てこなかった。

 ***

 その後は当たり障りの無い会話をして十時を回ったところで「遅くなっちゃったからか帰んね」と、上田さんが帰り支度を始める。良かった何とかボロを出さずにすんだ。

 玄関まで上田さんを送っていき、最後に疑問を投げ掛ける。

「上田さんって仕事中以外は、方言喋るんですね?」

 靴を履き終え、ドアノブに手をかけながらこちらに振り向きハニカミながら。


「⋯⋯だっぺ」


 そう一言残し玄関から出ていった。

 茨城弁の破壊力を目の当たりにした俺は、ただただカワイイと思うだけだった――
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