29 / 42
電車の乗り方って言ったって
しおりを挟む
迷惑をかけてしまった以上。断るわけにもいかず、コイツとの擦り合わせも兼ねて、手伝う口実に二人でキッチンで料理をすることになった。ドアを閉めたので多少の声ならこれで聞こえないはずだ。
その間、こっちにこられないようにするため、上田さんにはテレビを見てもらって待っててもらうよう伝えてある。
高校を卒業してから一人暮らしをし始めたのである程度の物は作れる。冷蔵庫の中を確認し、スープパスタにしよう。そんなに時間もかからないし、ちゃちゃっと作れるしな。
料理を作りながら、小声で横で料理を見ているだけのコイツに話しかける。
「少しは考えて喋れよ」
「⋯⋯ごめん」
今回は自分の身に降りかかってくる事だからか、素直に謝ってくる。
「はぁ~。とりあえずやりたいゲームがあるのと、勉強を教えて貰うためにしばらく俺んちにいることにするぞ。んで名前だが本名聞かれたときになんか考えておけよ」
「うん」と小さく返事され、ちゃっちゃとスープパスタを作って持っていく。
後は変なことを聞かれてボロが出ないようにこちら側から質問をして会話の主導権を握ればどうにかなるだろう。
***
スープパスタは美味しいと言ってくれて何よりだ。食べやすさもあるのでそんなに長居はしないだろ。
「そう言えばさ、東京ってみんな駅で待ち合わせすんの? ハチ公前とか」
「大体は駅ってのが多いですかね。俺は渋谷には殆ど行かないのでハチ公前で待ち合わせしたことはないですけど」
ここだ!
ここで話しを俺に切り替えなければ、上田さんから質問が飛び続けてしまう。切り替えるのは最初が肝心なんだ。
「そ~いえば、派遣の登録で一度だけ水戸線に乗って水戸まで行ったんですが、ちょっと疑問があったんですよ。なんでボックス席じゃない普通の平行な座席なのに向かい合って座って話すんですか?」
電車というワードで思い付いた疑問を投げ掛ける。これで俺のターン!
「えっ? なんで横に座んの?
邪魔じゃん、すいてんだったら前に座るでしょうよ」
堂々と答える上田さんの姿に思わず納得してしまいそうになるが、いくら電車がガラガラだとしても正面に座ることはない。
茨城県民は、すいている車両なら自分達専用車両だと思っているのだろうか?
四両編成なのに⋯⋯。
「電車って言えばさ、私達の時代はよくやってたけどもさ、いばちゃん達も雨の日はトトローってやる?」
上田さんは、普通にいばちゃんと呼ぶんだな。
「うん。やるよ。当たり前じゃん!」
なんだよそれ? その当たり前のやつ俺は知らないからな。
そんな俺の顔を上田さんが見て、「知らないんだ~」とでも言いたそうなニヤニヤした顔をこちらに向ける。カワイイ!
「雨の日って、駅のホームで傘さすでしょうよ。んで真顔からニヤッて笑うやつよ」
うん。全然わからない⋯⋯。
何が当たり前のなのかもわからないし、何が面白いのかもわからない。むしろなぜ駅のホームで傘をさすんだ。邪魔で仕方ないだろ。ホームすらも茨城県民は自分達専用とでも思っているのか?
「なんで駅のホームで傘をさすんですか? 邪魔になりますよね」
俺は何か間違ったことを言ったのだろうか? いや否だ。にもかかわらず二人して俺の顔を不思議そうに見てくる。うん、不思議なのは君達の方だぞ。
「いやいや、何言ってんのよ。雨降ってんだから傘ささなきゃ濡れちゃうでしょ~よ。東京じゃ濡れんの気にしないの?」
「なんで濡れるんですか? 雨漏りですか?」
「えっ?」
「えっ?」
会話が噛み合っていないのだろうか。上田さんと顔を見合わせてしまった。
「⋯⋯茨城って駅のホーム屋根が雨漏りするくらい空いてるんですか?」
言葉は悪いが通じなければ会話にならないと思い、申し訳ない気持ちはあったが言葉をにごすさず聞いた。
「いや、駅のホームに屋根がある方が珍しいけど⋯⋯」
⋯⋯っ! んなバカな!?
「じゃ⋯⋯、じゃあ雨のどうしてるんですか?」
「え、だから傘さしてるか、向こうのホームに行く階段の下にいるか、改札口の手前の待合室にいるかだよ」
なぜ、待合室が改札口の手前にあるんだ? 普通改札口入った後だろう。
むしろ階段の下ってなんだ。階段の下なんて無いだろう?
「あ~なるほど」
と、それ以外の言葉が出てこなかった。
***
その後は当たり障りの無い会話をして十時を回ったところで「遅くなっちゃったからか帰んね」と、上田さんが帰り支度を始める。良かった何とかボロを出さずにすんだ。
玄関まで上田さんを送っていき、最後に疑問を投げ掛ける。
「上田さんって仕事中以外は、方言喋るんですね?」
靴を履き終え、ドアノブに手をかけながらこちらに振り向きハニカミながら。
「⋯⋯だっぺ」
そう一言残し玄関から出ていった。
茨城弁の破壊力を目の当たりにした俺は、ただただカワイイと思うだけだった――
その間、こっちにこられないようにするため、上田さんにはテレビを見てもらって待っててもらうよう伝えてある。
高校を卒業してから一人暮らしをし始めたのである程度の物は作れる。冷蔵庫の中を確認し、スープパスタにしよう。そんなに時間もかからないし、ちゃちゃっと作れるしな。
料理を作りながら、小声で横で料理を見ているだけのコイツに話しかける。
「少しは考えて喋れよ」
「⋯⋯ごめん」
今回は自分の身に降りかかってくる事だからか、素直に謝ってくる。
「はぁ~。とりあえずやりたいゲームがあるのと、勉強を教えて貰うためにしばらく俺んちにいることにするぞ。んで名前だが本名聞かれたときになんか考えておけよ」
「うん」と小さく返事され、ちゃっちゃとスープパスタを作って持っていく。
後は変なことを聞かれてボロが出ないようにこちら側から質問をして会話の主導権を握ればどうにかなるだろう。
***
スープパスタは美味しいと言ってくれて何よりだ。食べやすさもあるのでそんなに長居はしないだろ。
「そう言えばさ、東京ってみんな駅で待ち合わせすんの? ハチ公前とか」
「大体は駅ってのが多いですかね。俺は渋谷には殆ど行かないのでハチ公前で待ち合わせしたことはないですけど」
ここだ!
ここで話しを俺に切り替えなければ、上田さんから質問が飛び続けてしまう。切り替えるのは最初が肝心なんだ。
「そ~いえば、派遣の登録で一度だけ水戸線に乗って水戸まで行ったんですが、ちょっと疑問があったんですよ。なんでボックス席じゃない普通の平行な座席なのに向かい合って座って話すんですか?」
電車というワードで思い付いた疑問を投げ掛ける。これで俺のターン!
「えっ? なんで横に座んの?
邪魔じゃん、すいてんだったら前に座るでしょうよ」
堂々と答える上田さんの姿に思わず納得してしまいそうになるが、いくら電車がガラガラだとしても正面に座ることはない。
茨城県民は、すいている車両なら自分達専用車両だと思っているのだろうか?
四両編成なのに⋯⋯。
「電車って言えばさ、私達の時代はよくやってたけどもさ、いばちゃん達も雨の日はトトローってやる?」
上田さんは、普通にいばちゃんと呼ぶんだな。
「うん。やるよ。当たり前じゃん!」
なんだよそれ? その当たり前のやつ俺は知らないからな。
そんな俺の顔を上田さんが見て、「知らないんだ~」とでも言いたそうなニヤニヤした顔をこちらに向ける。カワイイ!
「雨の日って、駅のホームで傘さすでしょうよ。んで真顔からニヤッて笑うやつよ」
うん。全然わからない⋯⋯。
何が当たり前のなのかもわからないし、何が面白いのかもわからない。むしろなぜ駅のホームで傘をさすんだ。邪魔で仕方ないだろ。ホームすらも茨城県民は自分達専用とでも思っているのか?
「なんで駅のホームで傘をさすんですか? 邪魔になりますよね」
俺は何か間違ったことを言ったのだろうか? いや否だ。にもかかわらず二人して俺の顔を不思議そうに見てくる。うん、不思議なのは君達の方だぞ。
「いやいや、何言ってんのよ。雨降ってんだから傘ささなきゃ濡れちゃうでしょ~よ。東京じゃ濡れんの気にしないの?」
「なんで濡れるんですか? 雨漏りですか?」
「えっ?」
「えっ?」
会話が噛み合っていないのだろうか。上田さんと顔を見合わせてしまった。
「⋯⋯茨城って駅のホーム屋根が雨漏りするくらい空いてるんですか?」
言葉は悪いが通じなければ会話にならないと思い、申し訳ない気持ちはあったが言葉をにごすさず聞いた。
「いや、駅のホームに屋根がある方が珍しいけど⋯⋯」
⋯⋯っ! んなバカな!?
「じゃ⋯⋯、じゃあ雨のどうしてるんですか?」
「え、だから傘さしてるか、向こうのホームに行く階段の下にいるか、改札口の手前の待合室にいるかだよ」
なぜ、待合室が改札口の手前にあるんだ? 普通改札口入った後だろう。
むしろ階段の下ってなんだ。階段の下なんて無いだろう?
「あ~なるほど」
と、それ以外の言葉が出てこなかった。
***
その後は当たり障りの無い会話をして十時を回ったところで「遅くなっちゃったからか帰んね」と、上田さんが帰り支度を始める。良かった何とかボロを出さずにすんだ。
玄関まで上田さんを送っていき、最後に疑問を投げ掛ける。
「上田さんって仕事中以外は、方言喋るんですね?」
靴を履き終え、ドアノブに手をかけながらこちらに振り向きハニカミながら。
「⋯⋯だっぺ」
そう一言残し玄関から出ていった。
茨城弁の破壊力を目の当たりにした俺は、ただただカワイイと思うだけだった――
0
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる