悪魔とダラダラ異世界道中

灯籠

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第26話

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 グリズリーを2匹討伐した俺達は、ひとまず休憩をとることにした。

 「なあナァ。ちょっと気になってきたんだけどヨ、他のやつらはこんな爆発するグリズリーをどうやって仕留めてんだろうナ。音、聞こえねえシ。」

 「それが分かったら苦労も死亡もしねえよ。うまくやってんじゃね?」

 と口に出した瞬間、あることが閃いた。

 「もしかしてさ、その爆発する要素みたいなやつが高く売れるんじゃねえのか?」

 「んなこたねえダロ。多分、見つかってないだけだロ。」

 などと話し合っていると、急に他の人の気配がした。複数人で来ている。イーギも気づいているようだ。

 俺達はあのグリズリーのところに戻り、獲物を奪われないように周囲を見張った。すると、

 「心配するな。お前たちの獲物を横取りする気はない。」

 と言いながら、一人の男が顔の鎧を外しながらこちらにやってきた。俺は驚きながらも声をかけた。

 「あ!ハゲじゃん!」

 「だからハゲじゃねえよ!」 



 この出会いで驚いたことが二つあった。それはそのパーティの中にハゲがいたこと。そしてもう一つは、

 「それにしてもお前ら、よくもまあ丸腰でやっつけたもんだな。」

 「当たり前よ。俺達を何だと思ってるんだ、ナァ?」

 「そうだぜ、ダルブ。なんてったってこいつ、俺に腕相撲で勝っちまったんだぜ。」

 「それがこの男だったのか。お前、なかなかやるな。」

 そのパーティが、マーアと二人組だったことだ。仕方ないので、俺も話に交わることにした。

 「そういや、俺がお前に会ったときはもっと人がいたはずなんだが、そいつらはどうしたんだ?」

 「これくらいのモンスターだったら、俺とコイツの二人で十分だからな。」

 「へえ。」

 「なあ、ずっと気になってるんだが、お前、シイマと言うんだったか。なんで全裸なんだ?」

 「ああ。ちょっと前に、全身でグリズリーの爆発を食らってな。」

 「「ええ!?」」

 急にマーアとハゲが声を出して驚いた。

 「お、お前、あの爆発を耐えたのか・・・?それで、駆け出しの冒険者なのか?」

 「お前ら、超人過ぎるだろ・・・。」

 二人が俺の発言に困惑しているので、俺はどっかのラノベで見かけたこの言葉を口にすることにした。

 「オレ何かやっちゃいました?」



 「それにしても、イーギ。ニトログリズリンを爆発させるなんて、もったいないんじゃないか?」

 「ン?なんでダ、ダルブ?」

 「お前ら、ほんっとうに下調べしてねえんだな・・・。まあいいや、今から教えるか。ニトログリズリンってのはな、その身体に魔力を溜めるんだよ。そしてその魔力が溜まっているほど、高く売れるんだ。」

 「だから逆を言えば、魔力の溜まってないただの肉体につく価値はほとんどないってことだ。」

 「ゲッ、マジかァ・・・。じゃあサ、そのグリズリーが爆発しないように仕留めるにはどうすればいいンダ?」 

 「そこで役立つのがこれだ。マーア、見せてみろ。」

 「よしきた。ほらよっと!」

 そう言うと、マーアが両手をかざした。するとその両手の間に電気が流れた。ダルブが説明を続ける。

 「この雷魔法を使って、ニトログリズリンの魔力の暴発を止めるって寸法だ。」

 「へえ。じゃあこの雷魔法ってのが使えないト、グリズリーを高値で売ることができないってことなんだナ?」 

 「まあ、そうなるな。」

 イーギがそのことを確認すると、

 「じゃあ、一回そいつを体験してみてもいいカ?シイマも一緒に、ナ?」

 と言い、俺の方を向いてニヤけた。俺はイーギの思惑を一瞬で理解した。経験強化を使って、一瞬で雷魔法を習得する気だ。おい、マジかよ・・・。

 死ぬリスクはあったが、もはやリスクではなくなったので、

 「まあ、そうだな。どれほどの強さでやればいいか確認したいしな。」

 もっともそうな理由を言いつつ、それを受けることにした。

 「なあ、ホントに食らうつもりか?イカレてるにもほどがあるぞ。」

 「心配すんなって。さっきもグリズリーの爆発を食らったが、こうやってピンピンしてるからな。」 

 「そうだぜ、ダルブ。こいつらの頑丈さは、俺が保証するぜ。」

 「マーア、お前は腕相撲をしただけだろ・・・。」

 「よっしゃ!いくぜ、お前ら!」

 そう言うと、マーアが俺達に雷を放った。思った以上にビリビリときて痛かった。しかも、結構熱い。けど、耐えられないほどではなかった。

 食らい終えた後に、マーアが謝ってきた。

 「いやあ、すまねえ。気合入れて力んじまったよ。口とか動かせるか?」 

 「いや、全然平気だ。今のが雷魔法か。結構効いたぜ。・・・あれ?イーギ、どうした?」

 「いや、お前、マヒとか、してないのカ・・・?」

 横を見てみると、イーギが少しブルブルしていた。生まれたての小鹿の足みたいだった。

 「・・・プッ。」

 「わ、笑ったナ・・・。」

 とりあえず、こうして俺達は雷魔法を習得した。
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