剣士エルムくんと3人の女の子たちの冒険者生活(H)

風喜舞

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第7話 ☆護衛依頼で王都へ☆

☆夜明け前のスキンシップ

 まだ日がのぼる前。

「ん……」

 トイレに行きたくなって、エルムは目を覚ました。目の前にはリリアンが寝ていて、隣のベッドではフローラとルナが眠っている。
 物音を立てて起こしてしまったら申し訳ない。そんな気持ちで、エルムはこっそりとベッドを抜け出し、部屋を後にした。

「……」

 真っ暗な中、おんぼろ宿の廊下を歩き外のトイレまで移動した。星空が見えているのに、遠くからは喧噪が聞こえてくる。
 ぼんやりした頭でそれを聞きながらおしっこを済ませると、備え付けの水瓶で手を洗って部屋まで戻る。
 盗賊の心得なんてひとつもないので、どうしても音がしてしまう。
 起きてないかな、とこっそり扉を開けて中を覗き込むと――みんな眠ったままだった。

「……」

 ほっ、と胸を撫でおろし部屋へと入り、静かに扉を閉めた。
 途中でルナが布団を跳ねのけて下着姿が丸見えになっているのを直してやって、自分のベッドに入る。
 もぞもぞと動いたせいか、リリアンがぱちりと目を開けた。

「あ、ごめん」
「……問題ない」

 そう言ってリリアンは目を閉じたので、エルムも目を閉じる。
 すると、頬に何かが触れた。
 目を開けると、リリアンの手だった。

「どうしたの?」
「少し、エルムに触れたくなった」
「そ、そう。えっと……」
「触っていていいか?」

 こくん、とエルムはうなづく。
 顔が赤くなっていくのが自分でも分かったが、どうしようもないので諦める。それこそ盗賊職とかギャンブラーは顔色を自由に変えられると聞いたことがあったが、エルムではどうしようもなかった。

「……」

 同じベッドで向き合うようにして寝ている。今さらながらに、その状況が恋人同士の距離感な気がしてきたエルムは目の前にいるリリアンの姿にドキドキした。
 いつもは甲冑で隠れている黒く長い髪も綺麗な瞳も、ちょっぴり幼さを感じさせる華奢な肩も、今は手が届く範囲にある。
 それが余計にドキドキしてしまう気がした。

「ふふ。まだ慣れないのか?」

 静かに笑うリリアン。

「う、うん」

 エルムはそう返事をして、視線をそらした。

「自信を持て。というのも違うな。この場合は……慣れろ、というべきか」
「な、慣れていいのかな」
「あまり女たらしになられても困るが……それでも苦手なままでいられると困るからな」
「ダメかな」
「これから、もっと狭い場所でくっ付いて眠ることもあるかもしれない。そんな状況で、緊張して眠れなかった、なんていうのは困る。パフォーマンスが落ちてエルムが崩れれば、ルナもフローラもやられてしまうぞ」

 そっか、とエルムはうなずいた。
 洞窟や遺跡で身を寄せ合って眠ることがあるかもしれない。そんな時に満足に眠れなかったのでは、翌日の行動にミスが発生してしまう。そうなっては自分だけでなく仲間までピンチにおちいってしまうだろう。

「頑張って慣れるよ」
「その意気だ。よし、手伝ってやろう」
「へ?」

 リリアンは少し身じろぎするように身体を動かすと、エルムに近づいてきた。そのままエルムを抱きしめた。

「わわ」
「ほら、エルムも手をまわして抱きしめてくれ」
「う、うん……」

 おずおずとリリアンの身体に手を伸ばし、彼女を抱きしめた。ルナとはまた違ったやわらかさのあるリリアンの身体に、エルムは思わず息を飲む。騎士という職業柄、筋肉質なのは違いはない。それでも、女性特有のやわらかさにエルムは驚いた。

「……あ」

 そんなやわらかさに驚いていると、目の前にリリアンの顔があることに気付く。なんだか恥ずかしくて視線をそらしたかったが、それ以上に近くてそらせる距離じゃなかった。

「……」
「……」

 気恥ずかしいけれど、それでもエルムはリリアンの目を見た。すこし潤んでいて、綺麗な瞳がもっと綺麗になっている気がする。眉にかかる黒髪が少しこぼれて、揺れた。
 リリアンの息が当たる。
 それがくすぐったくて……なんだか愛しくなって……エルムは求めるようにリリアンに顔を近づけた。
 リリアンもまたエルムに答えるように顔を近づける。

「ん……ちゅ……」

 ふたりはゆっくりとくちびるを重ねる。一度、二度、軽くキスをすると、ほぅ、と息を吐いてお互いの顔を見た。
 いつもは余裕そうなリリアンが、少し赤くなっているのが分かる。それがなんだか嬉しくて、エルムはリリアンのくちびるを奪うように重ねた。

「んっ……はぁ、んぅ……えうむ……ん……ちゅ……」

 エルムはリリアンの口の中に舌を入れる。まるで逃げるように奥に引っ込んでいたリリアンの舌先を見つけ出し、つん、と突いた。それに答えるようにリリアンの舌がエルムの舌先に返事をしてくれる。
 お互いに舌先でつつき合い、そのまま絡めるように舌を動かした。

「ん……ちゅ……んっ、はぁ……」

 舌だけでなく、お互いの足すらも絡めて。
 ふたりは夜明けまで、キスを続けたのだった。
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