転生した復讐女のざまぁまでの道のり 天敵は自分で首を絞めていますが、更に絞めて差し上げます

はいから

文字の大きさ
31 / 99
第1章 -幼女期 天敵と王子に出会うまで-

43.閑話 Side天敵 ヒューの悲劇

しおりを挟む
 


 Side ヒュー


 ありえないありえないありえないありえないありえない!!!
 なぜこんな事になったんだ!!工場の奴等は何をしていたんだ!!
 クソクソクソクソッ!!「クソッたれ!!!!どいつもこいつも使えねぇヤツだ!!!!!」



 ヒューは父親に殴られた左頬を腫らしながら、公爵家への道のりを歩いていた。


 それはマシュー達がバジル領への出張から戻ってきて3ヵ月程経った頃だった。


 ヒューはマヨネーズによって腹を下し、立って仕事が出来る状態ではなかったが3日経って全快した。
 このマヨネーズの安全性の確保と、材料の調達ルート確保を父親に命じられていたヒューは、工場の部下達に仕事を振りつつ、自分でも伝手を使って何とか準備していた時だった。
 突然、”至急戻れ、今やっているどの仕事よりも優先されたし”という内容の鳥便がヒューのもとへ届いた。

 (ついにあのデブ親父も寿命か?)と少しワクワクしながら実家へと向かったが・・・ついた直後に、まだまだ元気そうな父親から左頬を思いっきり殴られた。



 ズサァァァァーーーーーーーーッと軽いヒューは転がった。



 父親は顔を真っ赤にして・・・頭の血管が数本切れているんじゃないかというくらいの様子で、倒れたヒューを見下した。

 「貴様っ・・・!今まで何をしていた?えぇ??貴様が「あの調味料は必ず売れる!今すぐ生産ラインを確保していないと損するぞ!」と言ったからあんな大金はたいて男爵家跡地を買ったんだろうが!!それが数日後には「やっぱり安全面に不安要素有」だの「体調を崩しているから商売の地盤固めができない」だのふざけおって!!!それでも将来性にかけて咎めずにいてやったというのにっ!!!」


 あまりの怒りに、父親は息も絶え絶えになっていた。
 ・・・?コイツは歳のせいでこんなに情緒不安定になっていたのか。
 ヒューは年寄りの説教話の為だけに呼ばれたのかと、イライラし始めた時だった。

 「よりにもよってあの”ワグナー商会”に先を越されるなんて・・・!!しかもポートマン公爵領で工場を構えられて・・・!!貴様は一体今まで何をしてたんだ?!あれからずーっと寝ていたのか?!あんな大金はたいて買った土地や人材、工場も全部パーだ!!それとも何か?お前はワグナー商会の下請けでもやる予定なのか?!そん時は貴様の内臓でも何でも売っ払ってかけた金回収するからな!!息子だから見逃すと思ったら大間違いだ!!」



 ヒューは初め、何を言われているか分からなかったが、この父親がこんなに激高している事実と話の内容に段々と嫌な予感が走り、冷や汗が出てくる。


 「ちょ、ちょっと待ってください。一体何の話です??・・・買っていただいた土地や工場は、”マヨネーズ”の安全性をどうにか確保しながら進めていく予定で」

 「だから!!!その”マヨネーズ”がワグナー商会に先を越されたんだよ!!!しかもお前が言う”ご立派な”マヨネーズとは違う”マヨン”として、”完璧なレシピ”とともにな!!・・・貴様、何だあのレシピは!!よくもあんな物で商売しようと思ったな!恥を知れ!!」

 父親は自分もレシピを確認していなかった分際で、ここぞとばかりに叱責した。



 「”マヨン”??何ですかそれは・・・。も、もしかして!!ワグナー商会がマヨネーズを模倣した商品を登録したんですか??バカな!!そんなことしたら奴等終わりだ!!訴えてやりましょう、”レシピを盗用された”と!!マヨネーズとそのままで販売するならまだしも・・・”マヨン”などと名称を変更して・・・浅ましい!!」

 ヒューは立ち上がり、父親の機嫌を取るようにワグナー商会を蔑む発言をしたが、もう一度父親に左頬を殴られ、また同じように倒れた。



 「浅ましいのは貴様だクソッタレ!!!何が訴えるだ!!そもそもあの登録書に貴様の名前などどこにもなかったじゃないか!!てっきり「確認者欄」に記名してると思っていたのに・・!!貴様はどうやら本当に寝ていたらしい。世間を知らぬ、クソガキのお前に、一から説明してやる。」

 ヒューを煽るように、蔑んだ目で見ながら言葉を続ける。


 「数日前、ワグナー商会がレセプションパーティーを王都で開いた。新しい調味料を商品としてこれから販売していくという、商品の紹介を目的に開催された。その商品こそが”マヨン”だ。何でも、独占法でレシピを登録し、受理されたらしい。俺も勿論そのパーティーに参加したよ。出てきて説明を聞くと驚いた。・・・お前から聞かされた内容の物に酷似していたからな!俺はもしやと思ったよ。」

 「それからワグナー商会へ”レシピの盗用じゃないか”と聞いたさ。・・・あのレシピを確認する前だったからな。とんだ恥をかいた。「確かにインスピレーションは受けているが、材料から違う全く別物だ。それに、これは安全性も確保されてますよ。」と言われたよ。・・・事実、その日にマヨンを食べたが、お前の様に腹も下さずピンピンしてた。・・・俺は納得できなくてな、法務局に抗議しに行ったんだ。そしたら何て言われたと思う?「この商品は過去にないレシピですし、マヨネーズのレシピと比較して、確かにインスピレーションされてはいますが全くの別物と判断されてます。それに、確認者欄には公爵家の方の署名を貰っている、正統なものだ。」と言われた。」

 話しているうちに、その時の怒りや羞恥心も甦ったのだろう、苦々しい顔に変わる。

 「それでも食い下がった俺に、「マヨネーズのレシピをみろ」と言われてな。・・・しぶしぶ金を払って見て驚いたよ・・・あんなレシピが登録されていたとはな!!!」
 クシャクシャになった・・・恐らくマヨネーズのレシピだろう物を、ヒューに向かって叩きつける。

 「貴様はレシピを確認してから俺のところへ話を持ってきたんだろうな?!そうだよな、商人の息子の!!お前だったら!!そうだったらもう一度赤子からやり直してこい!!なんだこのレシピは!!こんな分量も材料も正しく書かれていないレシピ!あってないようなもんだろう!!そりゃあ”マヨン”ってヤツの申請が通るはずだ!味も美味いし、お前が言ってた油でなくクリーム状だったしな!・・・・まんまと出し抜かれよって・・・!!あんな物世に出回ったら、誰もこんなマヨネーズなんぞ食うわけがない!!」


 ヒューは父親の叱責と・・・この、クソみたいなレシピを見て震えが止まらない。
 嘘だ・・・なんだこのレシピは・・・!
 お酢??ビヌガーと
、俺はちゃんと言ったはずだ!本当に分量も書いてないっ・・・!
 嘘だ、これは売れると・・・!新しい食文化を、トトマ商会で俺が先導して・・・!

 レシピを持つ手が震えている。
 顔を青ざめ、いつも変わらない表情が絶望した表情になっている。


 そんなヒューの様子に幾分か溜飲が下がった父親は、少し落ち着いたトーンでまだ話し続ける。
 「貴様、それだけじゃないからな。」

 まだ何かあるのか?俺はなにを見落としてしまったのか?
 ヒューは出来ることなら、続く言葉を聞きたくなかったが、無常にも耳が拾う。


 「お前のマヨネーズのごたごたのせいで、西大陸との商売が出来なかった。それどころか、あのバカな海賊共が、西大陸の戯言を真に受けてあのバジル領で仕入れしようとしたらしい。・・・あの海賊共も西大陸の商人達も捕まった!!獣人奴隷もあのバジル家に保護されたそうだ・・!!!貴様のせいだぞ!!今年奴等に接触していなかったから何とか捕まらずに済んだが、折角の獣人奴隷をみすみすバジル家に持っていかれるとは・・・!!!3年前に見つかってから、俺は一切手を出さずに貴様に任せていたのに・・・!!こうも失敗するなど・・・貴様の身の振り方も、考えねばな。」

 この父親は、3年前まで”仕入れ”や海賊達との連絡等していたが、・・・そう、リリーナの3歳の誕生日付近で目撃されたという情報は、海賊ではなくこのトトマ商会だったのだ。
 優秀なバジル軍に見つかったが、その時は商船としてギリギリ捕まらずに逃げおおせていたのだ。
 それから顔や記録に残された父親から、ヒューに役目が交代されていた。

 だが、今回の失態と何の関係もない。
 単にすべての失敗を自分に擦り付けようとしているだけではないか・・・!
 ヒューは奥歯をギリッと噛みしめた。


 「息子は貴様だけじゃないんだ。ちょっと優秀だから好きにさせてきたが、今後は貴様に仕事は振らん。せいぜい、未来の商品の管理でもして過ごすがいい。・・・あぁ、だからといって今回の損害がなくなったとは思うなよ。貴様の内臓を売ってでも、全て回収するからな。・・・さっさと出ていけ!!もう二度とその顔を見せるなよ!!!」


 最後に虫けらを見つめるような視線を、父親から浴びた。



 ヒューは、最後に実家から出る時に見た、弟の嘲笑う顔を思い出し、力任せにその辺の木を殴り、蹴り上げる。
 (ふざけるなふざけるなふざけるな!!!!誰のお陰でここまでバレずに、商売してこれたと思ってんだ!!!何が仕事は振らんだ!!!・・・俺がいなきゃこんな商会、仕事などまわるはずもない!!!)



 ヒューは今後、自分の名誉をどうやって修復していくか・・・あの工場をどうしていくか、頭を回転させながら公爵家へ帰っていった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。