7 / 51
第一章
銀髪隻腕の転生エルフ 4
しおりを挟む
そんなある日。
「完成! 強化左腕『アガートラーム』、そして複合兵器『キメラブレード試作第一号』! ……ちょっと中二病っぽいか」
アガートラームは、機械仕掛けの左腕に疑似生命体『ホムンクルスのコア』を閉じ込め、ホムンクルスに『人工筋繊維』と肉体の神経をつなぐよう調教ことによって自在に動かすことができる。キメラブレードはその名の通り、カーボンパウダーを練りこんだ強化ナチュラルレジン(錬金術用天然樹脂。工房のそばの樹木から採取可能)を日本刀型に成型した刀身にバネ仕掛けの針を仕込んだ鍔を持つ真っ黒なロングソード。とは言え刃を研いでいるわけではないので、ほぼ木刀、あるいは刀型殴打武器と言ったところだ。
なお、ホムンクルスまたはそのコア、そのほか錬金術の知識と技術を必要とする製品を生み出すためには錬金術に必要な炉『錬金釜/錬成炉』を必要とする。薬の調合程度なら必要ないが、特殊なエネルギー『生命因子』を運用する錬金術には必要不可欠な炉である。
「相手がシカやイノシシだったら、この試作武器でも充分対応できるはず。一応ロングソードとナイフも持っておいて準備は万端。よーし、レッツハンティング!」
そして明は森に入る。
――真新しい足跡や動物のフン、食べ残しがあったら獲物は近いという指標になる。周囲を警戒しながらその形跡をたどってゆく。いつも通りだね。
だが、この日はいつもと違った。
一発の銃声が森中に響き渡り、動物や鳥たちが一斉に騒ぎ立てる。シカやイノシシが遠くから走ってくるが、木の陰に隠れた明に目もくれず走り去ってしまう。
――銃声? わたしのほかにも人がいるの?
すると動物たちが走ってきた方向から「やった、仕留めたぞ!」と言う声が上がる。どうやら二~三人の男たちのようだ。
「誰だろ……?」
明は静かに近づき、そしてその現場を目の当たりにした。
ライフルと思われる武器を手にした三人の男が互いの拳をぶつけ合い、彼らのそばには小柄ではあるが黒く太い毛を持つ獣、クマが地面に伏せていた。
「クマ……!」
明は思わず声を上げ、地面を踏み鳴らしてしまった。
「あっ!」
「あ? 何だお前。お前もハンターか?」
「こいつは俺たちが仕留めたんだ。横取りは許さねえぜ?」
すると明は気付いた。
「言葉が、通じる……。違う。わたしがあなたたちの言葉を理解できるんですね?」
「は? お前、コミュ障か何か?」
明は構えを解き、剣を地面に突き刺して答えた。
「わたしに略奪の意思はありません。無礼であればお許しを」
ライフルを持つ男のうちのひとりが、明の両腕と胸を見た。胸当てこそしているが衣の重ね合わせの部分から胸の谷間が見えてしまう。
「やだ、どこ見てるんですか!?」
「悪い、だが違ぇよ。手袋だけの右手に鎧の左手、紋章もなし。確かにライセンス持ちじゃねえ。けどその武器で狩りをしようとしたのは確かなようだな」
「さすがに食べないと死ぬので、あははは……」
「合点だ。けどそれは近接武器じゃねえか。遠距離武器はねえのか?」
「一発だけですが、強いやつがあります」
明はキメラブレードの鍔を適当な木に向けて引き金を引いた。すると鍔の外側にある銃からは針が飛び出し、木の幹に突き刺さった。
「一応これには錬金術由来の麻痺毒が塗ってあります。自分が刺さっても解毒できるように、解毒剤も持ち歩くようにしています」
「待て。お前今、錬金術って言ったか?」
「言いましたが」
「じゃあお前、この先にある工房の『ジャン・アンドエーレ』の関係者か?」
「ジャン、アンド……? いえ存じ上げません。あっ、でもわたしは廃屋になった錬金術関係の家を勝手に借りて生活しているので。ところでおじさん。この近くに町はありますか? 役所とかあれば助かるんですが」
「おっ、ああ。ついてきな」
「完成! 強化左腕『アガートラーム』、そして複合兵器『キメラブレード試作第一号』! ……ちょっと中二病っぽいか」
アガートラームは、機械仕掛けの左腕に疑似生命体『ホムンクルスのコア』を閉じ込め、ホムンクルスに『人工筋繊維』と肉体の神経をつなぐよう調教ことによって自在に動かすことができる。キメラブレードはその名の通り、カーボンパウダーを練りこんだ強化ナチュラルレジン(錬金術用天然樹脂。工房のそばの樹木から採取可能)を日本刀型に成型した刀身にバネ仕掛けの針を仕込んだ鍔を持つ真っ黒なロングソード。とは言え刃を研いでいるわけではないので、ほぼ木刀、あるいは刀型殴打武器と言ったところだ。
なお、ホムンクルスまたはそのコア、そのほか錬金術の知識と技術を必要とする製品を生み出すためには錬金術に必要な炉『錬金釜/錬成炉』を必要とする。薬の調合程度なら必要ないが、特殊なエネルギー『生命因子』を運用する錬金術には必要不可欠な炉である。
「相手がシカやイノシシだったら、この試作武器でも充分対応できるはず。一応ロングソードとナイフも持っておいて準備は万端。よーし、レッツハンティング!」
そして明は森に入る。
――真新しい足跡や動物のフン、食べ残しがあったら獲物は近いという指標になる。周囲を警戒しながらその形跡をたどってゆく。いつも通りだね。
だが、この日はいつもと違った。
一発の銃声が森中に響き渡り、動物や鳥たちが一斉に騒ぎ立てる。シカやイノシシが遠くから走ってくるが、木の陰に隠れた明に目もくれず走り去ってしまう。
――銃声? わたしのほかにも人がいるの?
すると動物たちが走ってきた方向から「やった、仕留めたぞ!」と言う声が上がる。どうやら二~三人の男たちのようだ。
「誰だろ……?」
明は静かに近づき、そしてその現場を目の当たりにした。
ライフルと思われる武器を手にした三人の男が互いの拳をぶつけ合い、彼らのそばには小柄ではあるが黒く太い毛を持つ獣、クマが地面に伏せていた。
「クマ……!」
明は思わず声を上げ、地面を踏み鳴らしてしまった。
「あっ!」
「あ? 何だお前。お前もハンターか?」
「こいつは俺たちが仕留めたんだ。横取りは許さねえぜ?」
すると明は気付いた。
「言葉が、通じる……。違う。わたしがあなたたちの言葉を理解できるんですね?」
「は? お前、コミュ障か何か?」
明は構えを解き、剣を地面に突き刺して答えた。
「わたしに略奪の意思はありません。無礼であればお許しを」
ライフルを持つ男のうちのひとりが、明の両腕と胸を見た。胸当てこそしているが衣の重ね合わせの部分から胸の谷間が見えてしまう。
「やだ、どこ見てるんですか!?」
「悪い、だが違ぇよ。手袋だけの右手に鎧の左手、紋章もなし。確かにライセンス持ちじゃねえ。けどその武器で狩りをしようとしたのは確かなようだな」
「さすがに食べないと死ぬので、あははは……」
「合点だ。けどそれは近接武器じゃねえか。遠距離武器はねえのか?」
「一発だけですが、強いやつがあります」
明はキメラブレードの鍔を適当な木に向けて引き金を引いた。すると鍔の外側にある銃からは針が飛び出し、木の幹に突き刺さった。
「一応これには錬金術由来の麻痺毒が塗ってあります。自分が刺さっても解毒できるように、解毒剤も持ち歩くようにしています」
「待て。お前今、錬金術って言ったか?」
「言いましたが」
「じゃあお前、この先にある工房の『ジャン・アンドエーレ』の関係者か?」
「ジャン、アンド……? いえ存じ上げません。あっ、でもわたしは廃屋になった錬金術関係の家を勝手に借りて生活しているので。ところでおじさん。この近くに町はありますか? 役所とかあれば助かるんですが」
「おっ、ああ。ついてきな」
10
あなたにおすすめの小説
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る
がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。
その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。
爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。
爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。
『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』
人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。
『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』
諸事情により不定期更新になります。
完結まで頑張る!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる