君の瞳に映るのは

いつも通り

　今日もいつも通り学校から帰ってきて、いつも通りピアノの練習をした。
「……いつも通り、か」
　毎日同じような日々に飽き飽きうんざりすることがないのかと言えば、それはそういうときもあると言うだろう。アニメのスーパーヒーローみたく、日々様々な敵が現れたり、あるいは、とある名探偵みたく、毎日のように事件に巻き込まれる。そんな変わり映えする日々にあこがれることもある。もし、そんな日々を過ごすことを選択できるとしたら、俺はどうするだろうか。……それでも今の繰り返す平凡な日常を選ぶと俺は思う。俺の毎日が平凡なのは、世界が平和な証だからだ。俺の周りが平穏な証拠だからだ。
　なぜ俺がこんなことを考えているのかと言えば、今日が「いつも通り」ではないからだ。
　いや、確かにさっきはいつも通りだと言った。普段と同じように学校に行って、自宅でピアノの練習をして――。そこまではいつも通り。問題は、その後だ。その後がいつも通りではなかった。