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30.プールはハプニングだらけ4
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急足で前方をよく見ていなかった一之瀬は前にいた誰かの肩付近にぶつかりこけそうになったが、何とか踏ん張った。
「わりぃ……って何だ、山下かよ」
その相手はクラスメイトの山下だったのもあって少しほっとした。
「おー、一之瀬か。お前も色んな意味で大変だな。あまり無理はしないようにな」
「……? あぁ」
山下の気にかけるのも違う意味深な言葉に頭の中で疑問符を浮かべる。一之瀬はどれについてかはわからないが、心当たりが全くない訳ではないからか自然と返事をしてしまった。
「……何か不安な事でもあったのか?」
顔に出ていたのか山下が心配そうに疑問を問う。
「なぁ、山下はあいつらをどう思う? 正直、俺の手に負えねぇんだよな」
ぽろっと口から声を出していた。山下は該当する人物が誰かわかったようであー、あの二人かと呟いていた。
山下はかの騒がしい奴らと違って普段から淡々とした態度をしていて多言はしないだろうと思って心の内を話した。それにあまり交流がない分、かえって話し易かったかもしれない。
「一之瀬はこれからどうしたいんだ? それによっては話が変わってくるが」
「まだわかんねぇ。あいつらの真意が読めねーんだよ。俺の予想以上の言動をしてやがるし、どうすりゃいーんだ……」
山下の問いに一之瀬が収拾がつかないと頭を抱えていると、んー、そうかと一言返し山下は何か考えてる様子だ。
「一之瀬がそうやって真剣に悩んでる間は平和だろうとは思うよ。焦らずに自分のペースで考えればいいんじゃないのか?」
「自分のペースでか……。俺的にはすぐにでも解決したいんだけどなぁ」
「まぁ、焦っても仕方ないよ。答えは今じゃない……いや、まず見えてないものを見極めてから判断するのもいいかもしれないな」
「……見えない何かか。よくわかんねぇが、確かに焦って適当にやるのは性に合わねーしな。じっくりと考えるとするか」
山下の話の本当の意味は理解していない。しかし、それ程親しくもないのに真剣に話を聞いてくれて山下の誠実さに感極まってしまった。体育のチーム戦で一緒になった時も何となくわかってはいたが、本当にいい奴だと再確認する。
「その先に正しい答えが見つかるといいな」
「おう、ありがとな」
「もし嫌な事でもあったら誰かに話した方がいいよ。何なら俺でも相談乗るし」
「わかった。そん時は頼むぜ、山下。お前も何かあったら俺も聞くからなぁ」
一之瀬の言葉に「ああ、頼りにしてるな」と山下は口元が笑っているかのように答えた。落ち着いた雰囲気を見せる山下の笑顔を初めて見て少し驚いた。花岡や春風、霧谷など他にはない安心する表情だ。どこか頼もしくも安定している山下に何か心を動かされるものがあった。
その山下が何かに気付いてそこに視線を向ける。
「あっちでみんな集まってるな。何か始まるのか?」
「あ……間宮さんと花岡? ガチで勝負する気だったのか!?」
その方向を山下と眺めると、花岡と間宮さんが飛び込み台に上がり、今まさにプールに飛び込もうとしていた。そのプールサイドの周りにわらわらと二つのクラスの男女が野次馬のように集まっている。
注目の的になっている二人の様子を見ていた体育担当の男の先生の佐山が「これぞ、熱き青春だ!」と熱く語り女の先生は「そうですね、佐山先生」と感動しながら二人頷いている。
……って先生達も止めねぇのかよっ。
一之瀬の突っ込みは先生方には届かずに内心で泡となって消えてしまった。
疲労感が半端ない体育も今日はこれで終わった……ように見えた。この後がある意味、疲労の本番だったと今の一之瀬は知る由もなかった
「わりぃ……って何だ、山下かよ」
その相手はクラスメイトの山下だったのもあって少しほっとした。
「おー、一之瀬か。お前も色んな意味で大変だな。あまり無理はしないようにな」
「……? あぁ」
山下の気にかけるのも違う意味深な言葉に頭の中で疑問符を浮かべる。一之瀬はどれについてかはわからないが、心当たりが全くない訳ではないからか自然と返事をしてしまった。
「……何か不安な事でもあったのか?」
顔に出ていたのか山下が心配そうに疑問を問う。
「なぁ、山下はあいつらをどう思う? 正直、俺の手に負えねぇんだよな」
ぽろっと口から声を出していた。山下は該当する人物が誰かわかったようであー、あの二人かと呟いていた。
山下はかの騒がしい奴らと違って普段から淡々とした態度をしていて多言はしないだろうと思って心の内を話した。それにあまり交流がない分、かえって話し易かったかもしれない。
「一之瀬はこれからどうしたいんだ? それによっては話が変わってくるが」
「まだわかんねぇ。あいつらの真意が読めねーんだよ。俺の予想以上の言動をしてやがるし、どうすりゃいーんだ……」
山下の問いに一之瀬が収拾がつかないと頭を抱えていると、んー、そうかと一言返し山下は何か考えてる様子だ。
「一之瀬がそうやって真剣に悩んでる間は平和だろうとは思うよ。焦らずに自分のペースで考えればいいんじゃないのか?」
「自分のペースでか……。俺的にはすぐにでも解決したいんだけどなぁ」
「まぁ、焦っても仕方ないよ。答えは今じゃない……いや、まず見えてないものを見極めてから判断するのもいいかもしれないな」
「……見えない何かか。よくわかんねぇが、確かに焦って適当にやるのは性に合わねーしな。じっくりと考えるとするか」
山下の話の本当の意味は理解していない。しかし、それ程親しくもないのに真剣に話を聞いてくれて山下の誠実さに感極まってしまった。体育のチーム戦で一緒になった時も何となくわかってはいたが、本当にいい奴だと再確認する。
「その先に正しい答えが見つかるといいな」
「おう、ありがとな」
「もし嫌な事でもあったら誰かに話した方がいいよ。何なら俺でも相談乗るし」
「わかった。そん時は頼むぜ、山下。お前も何かあったら俺も聞くからなぁ」
一之瀬の言葉に「ああ、頼りにしてるな」と山下は口元が笑っているかのように答えた。落ち着いた雰囲気を見せる山下の笑顔を初めて見て少し驚いた。花岡や春風、霧谷など他にはない安心する表情だ。どこか頼もしくも安定している山下に何か心を動かされるものがあった。
その山下が何かに気付いてそこに視線を向ける。
「あっちでみんな集まってるな。何か始まるのか?」
「あ……間宮さんと花岡? ガチで勝負する気だったのか!?」
その方向を山下と眺めると、花岡と間宮さんが飛び込み台に上がり、今まさにプールに飛び込もうとしていた。そのプールサイドの周りにわらわらと二つのクラスの男女が野次馬のように集まっている。
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……って先生達も止めねぇのかよっ。
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