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36.合コンでお持ち帰り?2
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そしてついに合コンの当日だ。待ち合わせ場所はある市街のファミレスで昼過ぎに合コンが始まった。
普段は絶対に付けないであろうワックスできっちり決まった髪型、お洒落だと感じる服装でばっちり決まってはいるのだが……。
(あいつの席ばかりに女子が群がってやがる。気合い入れてかっこよく決めたのに台無しじゃねーか……)
右端の山下、武田、一之瀬の順に横並び、少し離れて左端に開始前に紹介された山下の同級生である久保田_が座ったが、一通り自己紹介が終わった後、開始早々女子達は久保田の周りに座って久保田ばかりに話しかけ、女子達の視線を釘付けにしていた。
その久保田も遠回しに自分のモテ話と一之瀬達に向けて喋ってるかのような下げる発言が目立った。
(あの野郎っ! いちいち癇に障る奴だな)
あのチャラ男こと久保田の第一印象はまあまあ良かったものの言動が最悪だった。
──初めて対面する時の事だった。
待ち合わせ場所に向かって歩いてると、会場である市街のファミレスの近くでいかにも遊んでそうな派手めな男と鉢合わせした。その隣に見覚えのある二人が……。
「わぁ、一之瀬くんだ。こんにちは」
「おー、一之瀬か。こんな所で会うなんて偶然だな」
「ちわ、二人とも。で、アンタが山下の同級生だな? 今日はよろしくな」
まず武田と山下に軽く挨拶を交わした。山下の同級生らしき男に視線を向ける。身長が少し高くガタイもそこそこで派手な髪とピアスを何個か付けている感じがいかにも遊んでそうだ。
常にリア充オーラで苦手なタイプだが、見た目で判断してはいけない。リア充グループでもクラスメイトの霧谷も花岡も春風も嫌な奴ではなかったからだ。内心嫌な感情はあるものの精一杯に事務的な笑顔で軽く挨拶をする。
「へー、君も山下のダチなんだねぇ。まぁ、取り敢えずよろしくね~」
久保田は軽く口角を上げて一之瀬に向けて親しげに話して一之瀬は「おう」と一言返した。
このチャラ男は見た目通り軽いが思ったよりも雰囲気は悪くはない。それなりに仲良くなれそうだ。
「こいつは前に言っていた同級の久保田だ」
「俺は久保田でーす。君は……一之瀬くんだっけ?」
「あぁ、俺は一之瀬だ。今日はみんなで仲良く楽しもうぜ」
その久保田は一之瀬をじろじろと下から上を見ていた。品定めされているようで嫌な感じがした。久保田の次の発言によって印象が180度変わってしまう。
「やっぱ山下のダチもマジで大した事ねぇのなぁ。どいつもこいつも超地味過ぎてつまんねーの。あぁ……あれか類友って奴か~」
「久保田っ」
久保田ににやついて鼻で笑われた。山下は珍しく若干怒気を含んだ声で奴の名前を呼ぶ。不穏な空気に武田はおろおろとしていて顔色を悪くしている。
馬鹿にされて苛ついたが、山下の顔に泥を塗る訳にもいかずに何も返さずにぐっと堪えた。
「俺の事は良いが、一之瀬と武田に失礼な態度を取るなよ。お前は相変わらずなんだな……」
「そぉ? 俺って素直だからさぁ」
呆然として山下は久保田に注意するが、さっきの態度を見ても改める奴でもなさそうだ。やはりリア充は仲良く出来ないと改めて思い知った。
そんな出来事が合コン開始前にあって久保田に対して全くもっていい感情を持っていない。
そして現実に戻る。その久保田と女子達は賑やかに恋バナやモテ話で盛り上がっている。その会話に入れない一之瀬と山下と武田は眺めているだけだった。
「久保田くんはモテそうだし、彼女いるんじゃないの?」
「あたしも超気になるぅ。ねぇ、どうなのよ~?」
「色んな可愛い子と付き合ったけどさ、最近、彼女と別れちゃって俺、寂しいんだー。あ、こんなつまんねぇ話してごめんなー?」
にっと笑顔で久保田が女子達に話すが、時折一之瀬達に視線をちらちら向けるのを忘れずにいる。こちらには何とも嫌味たらしい態度だ。モテない奴にこんなにモテてる話して悪いねって言っているかのようだ。
頬染めている女子達が久保田にもっと聞きたそうに可愛いらしい声で話す。
久保田のモテ過ぎ武勇伝の話になって久保田が調子に乗ったのかぺらぺらと喋っている。校門前で出待ちしている他校の女子が多数いたとかバレンタインデーでは漫画のように下駄箱にチョコがぎっしりと詰まっていたとか、何とも信じがたい話だ。絶対にその話の大半は盛ってるのだろうと思う。
「女に逃げられる奴……モテねぇ奴はな、結局は本人の努力が足んねぇんだよ。俺は女の子にはとことん尽くすタイプだから気持ちがわからねぇがなぁ」
「久保田くんってフェミニストっ」
「かっこいいだけじゃなく女の子に優しいんだぁ」
久保田は一之瀬達の方をわざとらしくちらちら視線を寄越して口角を上げて女子達に話した。女子達に褒められて「そんな事ねぇって~」とさり気無く女子達にボディタッチもする。
女子達は目を輝かせて聞いたり、話の中心となっていて羨ましい光景で妬ましく久保田を睨む。
「あれのどこがフェミニストだっ。ただの女好きじゃねーか」
「い、一之瀬くん……」
一之瀬はグラスの中の烏龍茶をストローで吸い隣に座っている武田だけに聞こえる声で不満そうに愚痴る。武田は悪態をつく一之瀬に冷や冷やしながら苦笑いをしていた。
一之瀬……一之瀬……。
と名前を呼ばれたような気がして横に向いた。こちらをじっと見つめる山下と目が合った。目配せして口をゆっくりと動かしている。
(と……い……れ? トイレ?)
山下が突然、立ち上がった。
「俺、トイレ行ってくるな」
「あっ、俺も行く」
山下に続いて一之瀬も立ち上がって通路の方へと移動する。
「ぷぷぷっ、お前ら似た者同士仲良く連れションかよっ。小学のガキみてぇ」
久保田が馬鹿にするように話してにやにやと笑う。女子達はにこやかに「二人共仲良しなんだねー」と合わせるように話してた。
この場を後にして山下と二人でトイレに向かった。
***
普段は絶対に付けないであろうワックスできっちり決まった髪型、お洒落だと感じる服装でばっちり決まってはいるのだが……。
(あいつの席ばかりに女子が群がってやがる。気合い入れてかっこよく決めたのに台無しじゃねーか……)
右端の山下、武田、一之瀬の順に横並び、少し離れて左端に開始前に紹介された山下の同級生である久保田_が座ったが、一通り自己紹介が終わった後、開始早々女子達は久保田の周りに座って久保田ばかりに話しかけ、女子達の視線を釘付けにしていた。
その久保田も遠回しに自分のモテ話と一之瀬達に向けて喋ってるかのような下げる発言が目立った。
(あの野郎っ! いちいち癇に障る奴だな)
あのチャラ男こと久保田の第一印象はまあまあ良かったものの言動が最悪だった。
──初めて対面する時の事だった。
待ち合わせ場所に向かって歩いてると、会場である市街のファミレスの近くでいかにも遊んでそうな派手めな男と鉢合わせした。その隣に見覚えのある二人が……。
「わぁ、一之瀬くんだ。こんにちは」
「おー、一之瀬か。こんな所で会うなんて偶然だな」
「ちわ、二人とも。で、アンタが山下の同級生だな? 今日はよろしくな」
まず武田と山下に軽く挨拶を交わした。山下の同級生らしき男に視線を向ける。身長が少し高くガタイもそこそこで派手な髪とピアスを何個か付けている感じがいかにも遊んでそうだ。
常にリア充オーラで苦手なタイプだが、見た目で判断してはいけない。リア充グループでもクラスメイトの霧谷も花岡も春風も嫌な奴ではなかったからだ。内心嫌な感情はあるものの精一杯に事務的な笑顔で軽く挨拶をする。
「へー、君も山下のダチなんだねぇ。まぁ、取り敢えずよろしくね~」
久保田は軽く口角を上げて一之瀬に向けて親しげに話して一之瀬は「おう」と一言返した。
このチャラ男は見た目通り軽いが思ったよりも雰囲気は悪くはない。それなりに仲良くなれそうだ。
「こいつは前に言っていた同級の久保田だ」
「俺は久保田でーす。君は……一之瀬くんだっけ?」
「あぁ、俺は一之瀬だ。今日はみんなで仲良く楽しもうぜ」
その久保田は一之瀬をじろじろと下から上を見ていた。品定めされているようで嫌な感じがした。久保田の次の発言によって印象が180度変わってしまう。
「やっぱ山下のダチもマジで大した事ねぇのなぁ。どいつもこいつも超地味過ぎてつまんねーの。あぁ……あれか類友って奴か~」
「久保田っ」
久保田ににやついて鼻で笑われた。山下は珍しく若干怒気を含んだ声で奴の名前を呼ぶ。不穏な空気に武田はおろおろとしていて顔色を悪くしている。
馬鹿にされて苛ついたが、山下の顔に泥を塗る訳にもいかずに何も返さずにぐっと堪えた。
「俺の事は良いが、一之瀬と武田に失礼な態度を取るなよ。お前は相変わらずなんだな……」
「そぉ? 俺って素直だからさぁ」
呆然として山下は久保田に注意するが、さっきの態度を見ても改める奴でもなさそうだ。やはりリア充は仲良く出来ないと改めて思い知った。
そんな出来事が合コン開始前にあって久保田に対して全くもっていい感情を持っていない。
そして現実に戻る。その久保田と女子達は賑やかに恋バナやモテ話で盛り上がっている。その会話に入れない一之瀬と山下と武田は眺めているだけだった。
「久保田くんはモテそうだし、彼女いるんじゃないの?」
「あたしも超気になるぅ。ねぇ、どうなのよ~?」
「色んな可愛い子と付き合ったけどさ、最近、彼女と別れちゃって俺、寂しいんだー。あ、こんなつまんねぇ話してごめんなー?」
にっと笑顔で久保田が女子達に話すが、時折一之瀬達に視線をちらちら向けるのを忘れずにいる。こちらには何とも嫌味たらしい態度だ。モテない奴にこんなにモテてる話して悪いねって言っているかのようだ。
頬染めている女子達が久保田にもっと聞きたそうに可愛いらしい声で話す。
久保田のモテ過ぎ武勇伝の話になって久保田が調子に乗ったのかぺらぺらと喋っている。校門前で出待ちしている他校の女子が多数いたとかバレンタインデーでは漫画のように下駄箱にチョコがぎっしりと詰まっていたとか、何とも信じがたい話だ。絶対にその話の大半は盛ってるのだろうと思う。
「女に逃げられる奴……モテねぇ奴はな、結局は本人の努力が足んねぇんだよ。俺は女の子にはとことん尽くすタイプだから気持ちがわからねぇがなぁ」
「久保田くんってフェミニストっ」
「かっこいいだけじゃなく女の子に優しいんだぁ」
久保田は一之瀬達の方をわざとらしくちらちら視線を寄越して口角を上げて女子達に話した。女子達に褒められて「そんな事ねぇって~」とさり気無く女子達にボディタッチもする。
女子達は目を輝かせて聞いたり、話の中心となっていて羨ましい光景で妬ましく久保田を睨む。
「あれのどこがフェミニストだっ。ただの女好きじゃねーか」
「い、一之瀬くん……」
一之瀬はグラスの中の烏龍茶をストローで吸い隣に座っている武田だけに聞こえる声で不満そうに愚痴る。武田は悪態をつく一之瀬に冷や冷やしながら苦笑いをしていた。
一之瀬……一之瀬……。
と名前を呼ばれたような気がして横に向いた。こちらをじっと見つめる山下と目が合った。目配せして口をゆっくりと動かしている。
(と……い……れ? トイレ?)
山下が突然、立ち上がった。
「俺、トイレ行ってくるな」
「あっ、俺も行く」
山下に続いて一之瀬も立ち上がって通路の方へと移動する。
「ぷぷぷっ、お前ら似た者同士仲良く連れションかよっ。小学のガキみてぇ」
久保田が馬鹿にするように話してにやにやと笑う。女子達はにこやかに「二人共仲良しなんだねー」と合わせるように話してた。
この場を後にして山下と二人でトイレに向かった。
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