24 / 173
0023★狐獣人の子供の名前は、ユナちゃんでした
しおりを挟むうつむいていた狐獣人の子供は顔をあげて、セシリアを見上げながら言う。
「……ユナ……」
あらあら……お顔も可愛い子だったわぁ~…ふふふふ…綺麗で可愛い子
そっか…ユナって言う名前なのねぇ……
じゃない、ちゃんと反応してあげなきゃ
「そう、ユナっていうの………改めて、私はリアよ……まずは座ろうか」
セシリアの自己紹介にコクッと頷くユナを見て、ちょっとホッとしながら座る。
ユナもセシリアに合わせて、ちょこんと座る。
もふもふの尻尾がふわりと視界をよぎり、セシリアは、ついつい視線を向けてしまう。
うふふふ………もふもふのお尻尾、慣れたら触らせてもらえないかなぁ………
じゃない………コミニケーションよ……はぁ~…小さな女の子なら大丈夫、きっと
「えーとね……ユナは…その…攫われたのかな?……それとも…その…売られたの?」
両親に売られたの?っては、流石に聞けないわぁ……
でも、私の今世の両親ってどうしようもない人達だから………
いや、亡くなった生みの母は別よ
父親と継母のは………やめよう…アレらは親じゃないわ
セシリアの言葉に、ユナは肩を震わせながら涙を零す。
「………たぶん………攫われたんだと思います……」
「えーと…たぶんって?」
「気が付いたら、檻の中に居たの……その前の記憶…無いから…たぶん…」
はぁ~…そういうコトね………記憶が無いのかぁ………
その原因は、色々と考えられるわね
記憶が無ければ、帰巣本能とかが消えるってコトかな?
親兄弟とか、住んでいた場所に対する執着を無くす為の処置かしら?
そうすれば、飼い主に従うしか無くなるっていうことかな?
ああ…誰にも聞けないってつらいわぁ……じゃないわ、私
「そうなのね……それじゃ、やりたいコトとか欲しいモノとか、何かあるかな?」
セシリアの言葉に、ユナは愛らしく小首を傾げて言う。
「お腹いっぱい食べ物を食べたい……あと、ナデナデして欲しい……マスターの…手…暖かい…から………」
最初に自分を撫でた手の優しさを思い出して、ユナはちょっとうつむきながらそう言う。
「うふふふ………いいわよぉ~…と言っても、ご飯は買い込んだモノしかないけどね」
そう言いながら、セシリアはソッと手を伸ばして、その頭をゆっくりと撫でる。
「このナデナデは、むしろ…私へのご褒美だわ……ユナの髪の毛も銀色なのねぇ……」
セシリアの言葉に、ユナは顔をあげて言う。
「…えっと……マスターの……髪も銀色なの?」
そう問われて、セシリアは自分がフード付きマントのフードを被ったままだったコトにやっと気付く。
やだぁ~……もしかして、ずっとフード被ったままだったわ
って、あのまだ名前の無い『ダンジョン』からこっち、ずっと被ってたままだったわ
あれ?もしかして『夢の翼』の4人にも、ほとんど顔も見せていなかった?
うわぁ~……気付いて無かった私って………いや、でもそれで良いのよね
行きずりにちょっと関わっただけの私の事情に巻き込まなく済むから………
そうでも、思わないとやってられないわ………それより、今よ
「ああ…ごめんねぇ……フードを被ったままだったわ……」
そう言いながら、セシリアはフードを背中に降ろして青灰色を帯びた銀髪を見せる。
「ほら、良く似た色でしょ……それと、マスターじゃなくて……リナって呼んでくれるかな?……建前上は奴隷かもしれないけど……ユナは私の家族よ」
自分と同じ色合いの髪を見ながら、ユナはセシリアの言葉を噛み締める。
「家族?……ユナの家族?」
少し憧憬のようなモノを滲ませて呟くユナに、セシリアは大きく頷いて言う。
「そう、ユナはもう私の家族よ…リナって呼びづらいなら、お姉ちゃんでも良いわよ」
クスクスと優しく微笑って言うセシリアに、ずっと記憶が無いコトで不安を抱えていたユナは抱き付いて頭を無意識グリグリとすりつける。
そんなユナを抱きとめ、セシリアは優しくその頭や背中を撫でてやる。
うふふふ……これは、ご褒美だわ…頑張ったご褒美
思い付きだったけど、ユナを買い取れて良かったわぁ~…はぁ~…癒しだわ
ちなみに、ユナの内心は、中身猫型の魔獣のグレンが、セシリアに抱き付いて顔を舐めるのを見ていて、とても羨ましかったので、機会があれば自分も抱き付きたかったので、嬉しくてしかたがなかったりする。
その心情を表すように、ふっさふっさのもふもふ尻尾をパフパフとご機嫌で振っていたりする。
勿論、ユナはセシリアが顔を舐めるのは嫌がったコトを覚えていたので、頭グリグリだけをしていたのだ。
しばらく、セシリアに懐き、撫でられるコトに満足したユナは、ハッとする。
が、ユナの変化に気付いたセシリアは、優しく言葉をかける。
「ふふふふ……甘えん坊なユナちゃんは、少しは落ち着いたかなぁ?」
そう言われて、ユナはちょっと頬を染める。
うふふふ……可愛いわぁ……美少女の恥じらいの入った表情って
じゃなくて、記憶が無いなら年齢もわからないかな?
見た目てきには、7つ前後かしら?いや、もう少し上かな?
獣人の成長ってものが、わからないから困るわねぇ
マンガや小説でも、極端に成長が早い種族と、ゆっくりな種族に別れるから
寿命も、短命種と長命種にわかれるし………取り敢えず、それは棚上げね
「あのねユナ…一緒に考えてくれるかなぁ?」
セシリアの言葉に、ユナは小首を傾げる。
「何を考えるの?」
愛らしい姿にこころ癒されながら、セシリアは自分とユナの分の干し肉と干し果物を、それぞれの木皿に乗せて出しながら言う。
「取り敢えず、干し肉と干し果物を食べながら、一緒に考えて欲しいコトがあるのよ」
ひとりで考えたって思考に行き詰まるだけだもの………
それに、子供り思考って意外と侮れないモノがあるのよねぇ
「うん……その…リアお姉ちゃん…食べていいの?」
ちょっとモジモジしながらの『リアお姉ちゃん』に、セシリアは内心で悶絶する。
はぁ~…本当に、ユナってば可愛いわぁ……じゃない……
今は、当面の問題を一緒に考えてもらわないと………
「うん……食べて良いのよ……ごめんねぇ……こんなモノしかないのよ」
63
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!
ユウ
ファンタジー
乙女ゲームの王子に転生してしまったが断罪イベント三秒前。
婚約者を蔑ろにして酷い仕打ちをした最低王子に転生したと気づいたのですべての罪を被る事を決意したフィルベルトは公の前で。
「本日を持って私は廃嫡する!王座は弟に譲り、婚約者のマリアンナとは婚約解消とする!」
「「「は?」」」
「これまでの不始末の全ては私にある。責任を取って罪を償う…全て悪いのはこの私だ」
前代未聞の出来事。
王太子殿下自ら廃嫡を宣言し婚約者への謝罪をした後にフィルベルトは廃嫡となった。
これでハッピーエンド。
一代限りの辺境伯爵の地位を許され、二人の幸福を願ったのだった。
その潔さにフィルベルトはたちまち平民の心を掴んでしまった。
対する悪役令嬢と第二王子には不測の事態が起きてしまい、外交問題を起こしてしまうのだったが…。
タイトル変更しました。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~
存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?!
はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?!
火・金・日、投稿予定
投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
チートな親から生まれたのは「規格外」でした
真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て…
これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです…
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
時々さかのぼって部分修正することがあります
誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)
感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる