悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

文字の大きさ
28 / 173

0027★ちょっと…いや…かなり乙女ゲーム疑惑が……

しおりを挟む

 はぁ~…ルリもカッコイイわぁ……この世界って美形が多くない?
 いや、あのアゼリア王国は、そういう意味では問題外だけどね

 だって、王太子ですら…ちょっと容姿が優れているだけの普通イケメンだったし
 いや、前世の私の主観的に、好みじゃ無かっただけかもだけどね

 前世の……あの時期、かなり流行っていたようなのよねぇ……
 名前もわからない妹が激ハマりしていた、色々ありの乙女ゲーム

 実際に、妹や何名かの同僚は、かなりエイダン王太子を押しって言っていたし
 ああ……そう言えば、不遇な魔法使いの次男だか三男なんてのもいたような気が

 結構、色とりどりの攻略対象いたみたいだったわねぇ………覚えてないけど
 そう言えば、他にも同じ会社が作った乙女ゲームが、複数流行っていたのよねぇ

 そんなコトをつらつらと思い出していたら、自分の見事な青灰色を帯びたストレートな超ロングな銀髪が視界に入り、ハッとする。

 って……そう言えば、私の…この見事な……銀髪って…ヤバかったりするかも
 うわぁ~…なんか…心配になってきちゃった……この姿が主人公とかないよね

 悪役令嬢も無いよね……ないよね……うわぁ~…なんか心配になってきちゃった
 けど、あまり興味なかったから…シチュエーションや構成メンバー知らないんだけど

 もし……もしだよ……そういうヒロインや悪役令嬢の姿だったらどうしよう?
 モブでも…危険は少ないけど不味いのよねぇ……あと、当て馬っていうのもあったわね

 同じ制作会社が作った乙女ゲームだと、基礎設定とか同じってコトないよねぇ………
 ヤダ…ヤダ…そんなコト考えたら…グレンだって、攻略対象のひとりに見えてきた

 美形で能力があって、不遇の要素がアレば……うわぁぁぁ……攻略対象じゃないよね
 もしそうだったら…私は…また、悪役令嬢?…それとも当て馬?

 魔道具が全部外されたおかげで、アゼリア王国の穢れを浄化する役目から解放さけど
 まぁ…肌の色も、ここ数日でほぼ本来の色に戻ってはいるけど………

 誕生時に授かった色も………時空神に捧げたコトで………違う色に変わったけど
 流石に、この私に……いまだにかなり寸胴の樽姿……ヒロイン枠は無いと思うけど

 その可能性に気付き、ちょっとクラリッとしたセシリアの身体を、ルリの長く太いモフモフの尻尾が支える。

 「……ちょっとぉ…だいじょうぶ?……マスター…無理しすぎたんじゃないの……」

 はぁ~…ルリのもふもふの尻尾は、見掛け以上にしっかりしているし温かいわぁ~
 なんか、ものすごく安心できるのよねぇ………じゃなくって……お腹の子

 心配そうに言うルリに、セシリアはちょっと肩を竦める。

 「ありがとう、ルリ……そう言えば、ルリは大丈夫なの…その…お腹の子……」

 心配するセシリアに、ルリは嗤って言う。

 「アタシの子達が、弱いわけ無いでしょ……この程度のコトで消えちまう軽い命なんで持ってないよ………ちゃんと、アタシがこの身体なら大丈夫よ」

 えっ……アタシの子達って…複数いるってこと?……いや、猫は複数産みだったっけ
 哺乳類は、乳首の数だけ1度の出産で産めるんだったっけか?
 ……あれ?…まぁいっかぁ~……ルリだもんね

 はっきりとそう言うルリに、セシリアはちょっとホッとする。
 そこに、今度はグレンが気遣うように言う。

 「あぁー……無理していたんだな……なら、取り敢えず、御者は俺がやるよ…」

 名前を呼ぶのをためらったグレンは、そう言って立ち上がる。

 うーん……やっぱり超絶イッケメンよねぇ……この綺麗な真紅の長髪……なんだっけ
 ほら……世界を分けた…火炎の飛竜……の人化した姿と…かなり似ているわ

 あっ……また…乙女ゲームの攻略対象疑惑がムクムクどころじゃなく湧いてくるわ
 いや…だって…俺様系の超絶イッケメン…真紅の長髪…立ち姿もりりしくて……

 と、思考が飛んでから、セシリアは再びハッとする。

 「あっ…その……名前……仮名で呼んでたけど……貴方の名前は?」

 かなり一生懸命っぽいセシリアに、ペロリッと唇を舐めて、ニヤッと嗤いながら言う。

 「グレンのままで良い……いや、リアが付けてくれた、グレンが良い…よろしくな」

 そう言って、グレンはさっさと馬車の外へと向かう。

 あぁぁ~…もう……格好良過ぎて…クラクラしちゃうし…顔が赤くなっちゃうんだけど
 声も、本当に低めの声で……モロに好みの声なんですけど……

 思わずひれ伏したくなるような……龍帝陛下のお声とはおもむきが違うけど
 やっぱり……たまらない声だわぁ~…はぁ~…アレは耳元で聞いたらダメね

 その後ろ姿と声に、ちょっとどころがかなり顔を赤くしながら、セシリアは頑張って声をかける。

 「……グレン………取り敢えず、大国ゼフィランスに向かってくれる」

 「了解…リア……あんたは、ゆっくりと休んでいろよ」

 セシリアの言葉に、グレンは片手を軽くあげて背中を向けたまま、そう言い放ってそのまま馬車から出て行く。

 後ろ姿の格好良さと、気遣いのある言葉に、セシリアはちょっと胸ときめかせながらもグレンを見送った。

 そして、再びユナとルリを見てから、当座の心配なルリの腹部へと視線を向ける。
 その視線にすぐさま気付いたルリは、ふふふふとちょっと妖しく微笑って言う。

 「ふふふふ……マスター……今は獣人に見える姿しているけど…アタシは魔獣だよ」

 ルリの言葉に、セシリアは肩を竦める。

 「いや…それはちゃんとわかっているわ…でも、あんなにガリガリに痩せちゃって……ヨロヨロしていたから……心配なのよ……」

 そう言えば、ルリはハンッと言って言い放つ。

 「そりゃ…グレンのヤツが、根性ないからだよ……まったく、たかが生餌出されたぐらいで……メシを何日も喰えないなんて、根性ないったらありゃしないよ………」

 溜め息混じりの言葉で、まさに姐さんという感じに言い放つルリに、セシリアはこれ以上は何を言っても無駄を感じて溜め息を内心で吐く。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした

まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」 王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。 大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。 おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。 ワシの怒りに火がついた。 ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。 乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!! ※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。

処理中です...