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0059★小休止ではなく、お昼休憩になりました
しおりを挟むかなり荒れて小街道としての体裁がボロボロになった道を、ちょうど良い空間が開いているところまでたどり着き、馬車を停止させた。
ちょうど良いコトに、お昼を少し回ったぐらいだったので、小休止ではなく、ちゃんとした休憩をとるコトに急遽変更する。
安全の為に隠蔽結界を張り、セシリアはお昼の準備をする為に、ユナに声をかける。
ユナは、マジックポーチに放り込んでいた肉や野菜、香辛料を出してから、食器類などを用意する。
その間に、ルリがちょっと周辺の安全確認をして来ると、猫型の魔獣へと戻って、どこかへと走って消える。
グレンは、セシリアが時空神に捧げ物をしているので、その為のテーブルを用意したりしていた。
幼いレオはグリちゃんと子ウクダちゃん達の面倒を見てくれているわね
グレンは、時空神様へのお供え用のテーブル用意してくれたのね
それじゃ、ユナが材料とか用意してくれたから、昼食を作っちゃいましょうか
セシリアは、ユナに出してもらった野菜を確認し、ジャガイモに似たモノを見つけ出して、肉じゃがモドキをつくるコトにする。
勿論、時空神様の嘆きを観てしまったので、フレンチトーストも焼くコトにする。
おイモおイモになっちゃうけど、なんか無性にフライドポテトが食べたい
よし、肉じゃがの他に、フライドポテトも作ろう
あとは、パンケーキも良いかな? フレンチトーストとは似て非なるモノだし
お母さんウクダのお陰で、生クリームもフレッシュチーズもあるから………
ポテト用のディップにしても良いんだよねぇ~……
お酢か柑橘系の搾り汁を使って、マヨネーズもどきを作っても良いかな
あっ…でも、マヨネーズを作るなら、ポテトサラダも食べたい
あとは、サラダになるような葉物が欲しいんだけど………
そう思って、周辺を見回せば、チラホラと雑草のような草が生えているのを観て、思わずセシリアは、耳に付けた鑑定の魔道具を起動させる。
ピロ~ン………ピッピッピッ………と定番の音が小さく鳴り響く
砂漠桑〔さばくそう〕 一枚の大きさが子供の掌
薬用 ポーション(中)の材料のひとつ 葉脈が鮮明なモノが良品
食用 ほんのりの苦味はあるがわりと美味 葉脈が見えないモノが美味しい
そのまま食べても、微量の回復効果あり
採取方法 葉っぱだけを鋭利な刃物で採取すると効力が高くなる
むしり取ると、効能ががた落ちになる
砂漠鹿尾菜〔さばくひじき〕 葉の一枚一枚がとても細くプリッとしている
薬用 ポーション(中)の材料のひとつ 艶々しているモノが良品
食用 葉に少し辛味を持つ 肉料理やサラダなどに向いている
五葉〔ごば〕 雑草 ウクダやラクダやラバなどが好んで食べる
人手草〔ひとでそう〕 五葉が魔物化したモノ
葉で包めるモノはなんでも消化する 主に昆虫やネズミなど
さっと目に付いたモノを鑑定したセシリアは、ユナにお願いする。
「ユナ、悪いんだけど、あっちそっちに生えている、草を採取して来てくれないかな。砂漠桑〔さばくそう〕と砂漠鹿尾菜〔さばくひじき〕をサラダに入れたいから」
セシリアのお願いに、ユナはにぱっと嬉しそうに頷く。
「うん…砂漠桑〔さばくそう〕と砂漠鹿尾菜〔さばくひじき〕だね」
指さして指示するセシリアは、注意事項を付け加える。
「うん、そう……で、砂漠桑〔さばくそう〕は葉脈が見えない柔らかそうなのをお願いね。そこにある小さなナイフで採取してくれるかな……その方が美味しいみたいだから……あと砂漠鹿尾菜〔さばくひじき〕は、ツヤツヤでコロッとしているのね」
「はぁ~い」
ユナはセシリアに指示されたように、小さなナイフと手カゴを持って、採取に向かう。
その間も、セシリアはジャガイモもどきの皮を剥き、肉じゃが用と、油で揚げるのに適した細切りを作っていた。
そこに手持無沙汰になったグレンが声をかける。
「リア、他に何したら良い?」
ちょっと声をかけられたコトにビクッとするが、セシリアはつとめて平常心を保つようにしながら、振り返って言う。
「あっならお母さんウクダのお乳を搾りたいから準備してくれる」
そう言うセシリアの側で、おこぼれがもらえないかとウロウロしていた母ウクダが長い耳を嬉しそうにパフパフと振るう。
かなり機嫌が良いらしいコトを見て取り、セシリアはクスッと笑って、剥いたジャガイモの皮を差し出してみる。
前世での動物と違う種類がかなりいるみたいなのよねぇ……
このウクダっていう種類の動物も、ウサギとラクダの特徴を併せ持つ動物だし
長い耳のウサギに足を長くしたラクダを足したような感じかな?
野菜の皮を躊躇いもなく食べているから、大概のモノは大丈夫みたいなのよね
調理器具や手を洗った水とかも呑んじゃうしねぇ……いると便利な子よねぇ
ウフフ……ジャガイモもどきの皮を美味しそうに食べている…可愛い
などともセシリアが思っている間に、グレンはお乳を搾る為の場所と入れ物を用意していた。
勿論、三頭の子ウクダに搾ったお乳を飲ませる為の準備もしてある。
子ウクダは、搾ったお乳をもらうつもりなので、母ウクダにたかつたりはせずに、側をウロウロして待っていたりする。
待っていれば、お腹いっぱいのお乳がもらえるとちゃ~んと、理解っているのだ。
「リア、準備終わったけど、俺が搾ったほうが良いか?」
グレンの言葉に、丸ごと茹でと、肉じゃがの準備を済ませていたセシリアは、首を傾げて母ウクダに聞く。
「えぇ~と、お母さんウクダちゃん良いかな? グレンがお乳搾っても良いなら、前足でトントンして、イヤなら、後ろ足で砂掻きしてくれるかな?」
セシリアの言葉に、母ウクダは、シレッとした顔で後ろ足で砂掻きして見せた。
「あらあら……グレンはイヤなのね…それじゃ、私が搾るね」
「そうだな、イヤがっているのに搾るコトはできないからな。被害がデカイ……じゃなくて、その代わり何していれば良い?」
グレンの言葉にちょっと首を傾げたセシリアは、準備がほぼ済んでいる大き目のナベの2つを指さす。
「それじゃ~…グレンは、おイモを茹でてくれるかな?準備は済んでいるから。あと、肉が入っていて、切ったおイモやニジンが入った方は、昨日取って置いた獣脂で炒めてから、用意した調味料入れて、お水をコレぐらい入れて煮ておいてくれる?まぁ、お乳搾りにそんなに時間はかからないと思うけど……よろしくね」
「ああ、了解」
グレンがジャガイモもどきを茹でる為に側を離れたのを確認してから、セシリアは母ウクダを呼ぶ。
「それじゃ…さっさと搾っちゃおうか…張って痛いみたいだからね」
その言葉に、母ウクダはいそいそと木箱に座ったセシリアの前に移動する。
あらら…意外と張っているのねぇ~…これじゃ、グレンはイヤってするわねぇ~…
それじゃ、温か目のお湯でそっと洗ってマッサージをしてから搾ってあげましょう
セシリアは手の中に手を入れると心地良い程度温度にしたお湯の水球を作り、母ウクダのお乳を洗ってマッサージする。
ぱっつぱっつに痛いぐらい張り切っていたお乳を洗って温めたセシリアは、母ウクダの前にちゃんと用意されている器に、洗ったぬるくなりつつある水球を入れる。
そして、おもむろに母ウクダのお乳をちゃっちゃと搾り始める。
母ウクダは、器に入れてもらったぬるくなったお湯を美味しそうに呑みながら、お乳の張りが楽になるのを感じて、嬉しそうな息を吐き出す。
うふ…少し私も搾るのに慣れて来たかなぁ~……
はいっ…子ウクダちゃん達のひと壷を搾りしぼりあがりぃ~……
次は、私達のおこぼれ分……ちゃんと2つの壷なみなみに出るんだから凄いわ
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