悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

文字の大きさ
106 / 173

0105★振り返りたくない過去にドツボ

しおりを挟む


 視界から色々と詳細な文章が消えたので、リアは改めて思考する。

 もしかして、額に張り付いた第三の瞳って開けたり閉めたりできるってコト?
 外見、どうなっているのかしら? 第三の瞳があるように見えるのかしら?

 それとも、綺麗さっぱりと何もない、普通の額にもどっているのかしら?
 はぁ~………まさか、こういう展開になると思って無かったわぁ

 ひとつ溜め息をついて、リアは一番言葉を飾らずに、そのままを言ってくれるルリへと視線を向けて言う。

 「ルリ、私の額ってどうなっているのかしら? 第三の瞳が見えている状態? それとも、瞳は閉じていて、第三の瞳があると判る状態? じゃなきゃ、何にも無い、普通の額?」

 リアの問いかけに、叫んだコトはスルーして、ルリはさっぱりと言う。

 「それなら、見た目は普通の額に戻ったよ………瞳が閉じたら、スゥーと皮膚に走った亀裂も消えたよ………第三の瞳は、リアの額の中へと消えているね」

 ふむ、取り敢えず、第三の瞳は、他者から見て、存在が判らないのね
 あとは、どういう風に私の額に居るかね?
 もう、額に埋まっちゃって、三つ目状態はしょうがないけど

 だって、自分で抉り出すなんて、絶対に無理だし
 ルリやグレンに、そんなコト頼みたくないし………痛いのも怖いのもイヤだもの
 それに、元は龍帝陛下の第三の瞳だつたモノだから、悪いモノじゃないしねぇ

 その証拠に、防護魔法にかすりもしなかったもの
 魔法に物理にって掛けたのに……うん、まだちゃんと掛かっているわ
 ま~…そういうコトって…納得して考えるの止めてこう

 ただ、双眸と同じように平行に植わていたらイヤだなぁ~…
 ほら、そう言うのって、なんか妖怪みたいな感じするからさぁ……
 できるなら、見た目として縦の状態で植わっていて欲しいわぁ

 それなら、慧眼(けいがん)だったっけか?
 仏教用語で、エゲンとか言ってたし、良いモノっぽいしねぇ…
 いや、実際に良いモノですよ、龍帝陛下の第三の瞳ですからね

 モノの真実を見抜く力とかいうならソレっぽいし………じゃないわ
 いくっら、慧眼(けいがん)だからって、あんな記載はいらなくない?
 そりゃ~…色々なモノを見抜く力があるのは、もの凄く役に立つから嬉しいけどねぇ…

 アレは無いよ………グッスン(号泣)
 しかも、現在どころかマックス時の体重まで判っても嬉しくないよ(滂沱の涙)
 まぁ…治癒魔法とか火力が強い魔法を使うと、痩せられるみたいだけどね

 つーか、私ってば、マックス時150キロもあったのねぇ……はぁ~……
 どうりでねぇ~…平常時でさえ、呼吸すらも苦しかったわけだわ
 改めて、私ってばマジもんで限界だったのねぇ~……

 それもこれも、極振り肥満の原因なんて一目瞭然なモンだったのよねぇ
 質より量の日常ご飯と、浄化の為に上質なモノを食べていた結果がコレなのよねぇ
 それも、どちらもお残しはダメってコトで、全部食べていたからだし

 他にも、カロリーお化けなお茶菓子を十時に三時に食べて、夜食まで追加していたし
 睡眠時間はかなり削られて、平均二時間ぐらいだったし
 仮眠を足したって、三時間にも満たないのが日常化していたのよねぇ

 今更ながらに、我ながら、よくもまぁ~生きていたわねぇ………はぁ~…
 まぁ~…常に、大神官長様や神官様達から、色々な補助魔法掛けられていたけどね
 睡眠が足りていないコトで、妙にお腹がすいちゃって……

 って、コレって典型的な過食症の症状なのよねぇ………
 睡眠不足その他諸々のストレス解消に、甘味を舌が欲しがって………
 そりゃ~……どんどん、ブクブクと肥え太るよねぇ~……

 人一倍どころが三倍近く食べている上に、極度のストレスで過食症だもの
 ここ数年は、エイダン王太子が本来決済しなきゃならない書類は全部私がしていたし
 最近じゃ、王妃様がしなきゃならない書類も回って来ていたもんねぇ………

 余分な運動なんてする暇なく、浄化の為のお祈りと書類作成と整理に追われていたから
 本当に、何処のブラック企業の繁忙期ってぐらいには、何時も忙しかったのよねぇ
 なのに、学園にもちゃんと出席しろって、王妃様に命令されていたしね

 エイダン王太子の隣りに立つのに恥ずかしくない成績etc.を維持しろって命令するし
 その当のエイダン王太子の成績がふるわないと、私が悪いと罵詈雑言
 あげく、機嫌が悪いと理由を付けて、ムチで背中とか手足の見えないところ叩かれたし

 思い出すと、ドヨンとしたモノが弱ったこころを覆うので、リアは極力そういうコトに思考が行かないようにしていた。
 が、たまにそういう方向に思考が落ちいると、際限なく奈落にまで陥ってしまうのだ。

 うん? ああ…良い香りぃ~……こころが落ち着く……って、ああ…ユナね
 ふふふふ………ユナの淹れてくれるハーブティーって美味しいのよねぇ………
 きっと、本能的に知っているモノで用意してくれているのねぇ……

 そんな中、ユナがハーブティーを用意してくれたコトに気付き、リアはあっさりと浮上する。

 「リアお姉ちゃん…ハーブティー淹れたけど飲めそう?」

 ユナの言葉に、こころの中でブチブチと文句をたれている間に、身体の調子が何時の間にか戻っているコトに気付いて、リアは頷く。

 「うん、ありがとうユナ……ちょっと待って、今身体を起こすわ」

 そう言って、何時もよりかなり重く感じる身体に溜め息を吐きながら上半身を起こす。
 勿論、ルリが介助し、グレンが大きなクッションを背中に入れて支えてくれる。
 その様子を見計らって、ユナがハーブティーのカップを差し出す。

 リアはそのカップを受け取り、少しフーフーしてからゆっくりとハーブティーを飲む。

 「はぁ~……癒されるわぁ~……まいったわぁ~……ここに勝手に居着いた第三の瞳って、なんか色々と視えるんで困ったわよ………ああ、ルリって魔獣帝って書かれていたけど? それって何?」

 何気なく聞けば、ルリはあっさりと答える。

 「おや? アタシが魔獣帝かい? この胎の子達の父親が魔獣帝だったんだけどねぇ……胎に居るのがわかって直ぐくらいに、輪廻の輪に入っているんだよね………まだ、東にも北にも、受け継ぐヤツいると思ったんだけどねぇ…西と南はちょい若いから選ばれないのは当たり前なんだけど………つまるところ、魔獣帝ってヤツは、現時点での魔獣の中での頂点ってコトさね……いや、しかし、アタシに来るとはねぇ……これは、リアが主になったからだね」

 妙な感慨を込めて呟くルリに、リアは頭痛を覚えた。

 ちょっと待ってよ……そうすると、ルリが全魔獣の頂点ってコト?
 いや、ひとのコト言えないけど、規格外ってヤツ
 はぁ~……まぁ…考えてもしょうがないか……ここはポイッとしとこ

 「ユナぁ~……もう一杯くれる……喉が乾いていたみたい」

 そう言いながら、リアはユナに飲み終わったカップを差し出す。

 「はぁ~い」

 カップを受け取ったユナは、リアにハーブティーを注いで差し出す。

 「うん、ありがとう」

 程よい温度で来たので、リアはコクコクと飲んでから言う。

 「はぁ~………ちょっとトラブったけど、私の身体も大丈夫そうだから、さっさと先に進もう………んでもって、必要ならバンバン魔法使うわよぉ…そして、痩せてやる」

 握りコブシをして宣言するリアに、ルリとグレンはなんとも言えない温い微笑みを浮かべつつただ頷くだけだった。


 




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした

まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」 王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。 大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。 おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。 ワシの怒りに火がついた。 ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。 乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!! ※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。

処理中です...