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★0007 攫われた者達の行方は?
しおりを挟むイツキとアスカが地図の中の塔や人工都市を精査している時、唐突にドアが開かれる。
バンッ
アスカとイツキが捕まった者達の行方を探っているソコに、ヒカルが飛び込んで来たのだ。
「おや、どうしたんだい?
ドアは静かに開けてね」
などとゆったりと言うイツキに、ゼイゼイと全力疾走して来たらしいヒカルは、乱れた呼吸を必死で整える。
そんなヒカルに、アスカも落ち着いた口調で問い掛ける。
「何かあったか?
また、別の場所が襲われたのか?
規模は? どのぐらいの被害が出た?
人狩り部隊に襲撃されたのはどこだ?」
襲撃されたコトを前提に問い掛けて来るアスカに、ヒカルは首を振って答える。
「いや、今ンところ襲撃は受けてない
………じゃなくて、たった今入った情報っ
アスカ、イツキ
人工都市のやや南側にある第三塔
その地下にあるっていう
捕獲施設に連れて行かれたらしい
偶然、連行されてるの見たヤツが
教えてくれたらしい」
食料と引き換えに、情報を売りに来たところに、ヒカルは偶然居合わせたと良い、アスカが手を付けずに置いていた果実水に手をのばし、クイィィィーと一気に飲み干す。
「大丈夫かい? ヒカル
なんなら、私のも飲むかい?」
そう言って、イツキはアスカのグラスを置いたヒカルに、自分のグラスを手渡す。
喉の渇いていたヒカルは有難く受け取る。
「サンキューイツキ
アスカ、勝手に飲んですまん」
「いや、気にするな
最新の情報は有難い」
そう言ってから、アスカはツツーと地図に指を滑らせてイツキに言う。
「ふむ、第三塔か……
さっき、イツキと検討していた
場所のひとつだな」
「そうだね、一番の有力候補地だ
私達の見解でも、第三塔だった」
「ああ、やっぱり第三塔の地下施設か
一番ヤバイ場所じゃねぇーか」
そう言いながら、アスカは側に積まれた各資料の束を探し始める。
その中から、第三塔とその周りを取り囲むように配置されている人工都市の資料を取り出して、イツキに差し出す。
「これが、第三塔の資料だ」
それを受け取り、イツキが内容を確認する。
ちなみに、アスカは一度目にした資料情報は、正確に記憶できるので、
読み直しという作業は必要なかったりする。
アスカは、資料内容を思い出し、ヒカルがイツキの分の果実水を、今度はゆっくりと飲むのを横目に、連れ攫われた者達の行方の先を知って唇を歪める。
「第三塔の地下かテン……
一番のキケン地帯だな
あそこは、人工魔性との
交配実験施設がある
連れて行かれた場所としては
一番ありな場所だ
ただ、俺達をおびき寄せ
一網打尽にする為の
ガセの可能性も捨てられない」
疑心の滲むアスカの言葉に、イツキも頷く。
「確かに、その可能性もある
が、今は唯一入った情報だ
躊躇〈ちゅうちょ〉している暇〈ひま〉はない
救出が遅れれば、犠牲者が増える」
そう言ってから、イツキはヒカルへと向き直る。
ヒカルも飲み終わったグラスを置いて、頷く。
「ヒカル、第三塔の地下施設
ココって聞かなかったかい?」
アスカが出した資料の一枚から詳細地図を出して、イツキは指さす。
イツキの指先が示す詳細地図の先を見て頷く。
「ああ、そこに連行されたって………
で、常時、少なくても兵隊が十数人
常に巡回しているらしい」
そう言ってから、チラッとアスカを見て、ヒカルはソレを口にする。
「その中に………どうも………
アスカの妹…アキラちゃんも
含まれているらしい………」
と言った途端、先ほどまでの冷静沈着を絵に描いたようだったアスカは、我を忘れてヒカルの襟首を掴んで叫ぶ。
「本当かっ……アキラが居たのか?
第三塔の地下施設に連行されたのか?」
「…ぅ…グゥ…ぅ………」
ほとんど無意識にヒカルの襟首を締め上げているアスカの手にソッと手を置き、冷静な口調で諭すように言う。
「やめたまえ、アスカ
こんな時こそ、落ち着くんだ
ほら、ヒカルが苦しがってる
アスカ、君がしっかりしてないと
私達も困ってしまうよ
私達解放軍の実質的なリーダーは
アスカなんだからね」
そうイツキに諭され、はっとしてヒカルの襟首から手を離す。
「取り乱してすまなかった
ごめんな、ヒカル」
無意識にヒカルの襟首を締め上げていた手を慌てて外し、アスカは少しうつむき加減で謝る。
「……ゴホッ…ゲホッ…ゲホッ…ふぅ~…
いや…気にするな、アスカ
お前のたったひとりの肉親じゃねぇ~か
取り乱すのは当たり前だろう
なんせ、あの第三塔の地下にある
実験施設に連行されたんだから………
俺だって、ナギサが連れて行かれたら
きっと同じ反応しちまうよ
なっイツキもそう思うだろ」
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