私は聖女になります、性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

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第15章 まずは小姑を片付けないと………

269★団長が姫君を抱きしめたら、黒子に徹します

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 エリカ達がアルファードの待つ執務室前に、あと少しという距離で、何時ものように扉が開く。
 エリカを待ちきれないアルファードが、獣人(=退化しているけどドラゴニアン)の鋭い聴覚を使って愛するエリカの足音を聞きつけて、扉の前に走り開けるのだ。
 扉を開けて自分を待っているアルファードを見たエリカは、何時ものように嬉しいとい表情で言う。

 「アル、待っていてくれたの?」

 「ああ、エリカが
  俺のところに来るのを
  見ると嬉しくなるから

  つい落ち着き無く扉を
  開けてしまうんだ」

 「うふふせっかちなアルね‥‥‥
  でも、大好き」

 「愛しているよ、俺のエリカ」

 周りの生温るい視線を、羞恥心から見ない振りをする、エリカ。
 そんな心情に気付かないし、周りの視線なんかまるで気にならないアルファードは、しっかりとエリカを抱きしめて、嬉しそうに軽いキスをする。
 その間は、守護騎士達もワゴンを押していた従者も、気配を消して立ち止まって、待つのがお約束だったりする。

 廊下を行きかう騎士達や従者達も、黙って気配を消して黒子に徹するのだ。
 ここで、下手に気配を出して歩き、エリカの羞恥心をあおったりすると‥‥‥大変なコトになるとみんな知っているからだ。

 そう、以前から何度も目撃されているのだが‥‥‥抱き合っているときに視線を感じると、エリカは羞恥心を取り戻してしまうのだ。
 そうするとエリカは真っ赤になり、アルファードの腕の中から無理矢理抜け出て、見られた恥ずかしさで勢い良く駆け出して、部屋に戻ってしまうから‥‥‥。

 ちなみに、無属性の身体強化を無意識で発動している為、その時のエリカは呆れる程早かったりする。
 その後を必死に駆け、なんとかエリカの護衛としての位置に辿り着く騎士達の姿が見れるコトになるのだ。

 そして、後に残るのは、愛しいエリカに置いていかれ、呆然としたアルファードと、ワゴンを掴んでいる従者達と、その原因を作った者達だったりする。

 過去には、原因になった者達は‥‥‥。

 駆け去るエリカは、羞恥心に苛まれているので、アルファードが部屋に戻っても会ってくれない。
 そして、愛するエリカに相手にされなくなった原因に、当然のように八つ当たりするというパターンになる。

 とばっちりは、誰もがイヤなので、犯人?の騎士達は、オスカー達に拘束される。
 そこに戻って来たアルファードが、漆黒のオーラをまとい、獰猛な微笑みを浮かべて言う。

 「さぁ~魔物討伐用の
  特別訓練をしようか?」

 「そうですねぇ~‥‥‥
  このところ、戦いが
  温い気がしますから‥‥‥」

 「たまには、全開もイイよな」

 団長アルファードだけでも持て余すのに、副団長のオスカーとマクルーファまで、参戦する訓練って‥‥‥死亡フラグしかない。
 こうして、エリカの意識が正常に戻るまで、地獄の特訓が終わらないというコトになるのだ。

 魔法騎士団の訓練場は、エリカ達が住んでいる魔法騎士団本部からちょっと離れている。
 魔法騎士団本部にあるのは、騎士団の財務、政務などを執る執務室などや食料や武器、備品(野営用品など)が、倉庫内に用意されている。
 ただし、それぞれがインベントリ機能のついた《魔倉庫》の中に入れてある。

 ちなみに、それは一見するとただの頑丈な箱に見える。
 その箱に、まとめて入れてあるので、かなりの量を狭い空間に収めるために、代々そうなっているのである。

 騎士や従者、騎士見習いや従者見習い、それに下働きの者に、武器などを作る職人も本部内に住んでいる。
 一応、住める資格は、独身者であることである。

 ただ、幹部になると、結婚していても、休暇以外は本部に住み着いている。
 この辺りは、何処の騎士団でも一緒である。
 最上階に、団長や副団長の個人的な部屋と、各種執務室がある。

 次階に、隊長達の個人的な部屋と各種執務室がある。
 その下にというように、階級によって住む階が違っているのだ。
 なお、食堂は上位騎士達と、下位騎士達と、従者達や下働きと別れている。

 従者達などの下働きは、外にある別棟の食堂で食べる。
 見習いの騎士達は、生家の階級によって、上位騎士用(伯爵家以上)の食堂か、下位騎士用(子爵家以下)の食堂で食べるか‥‥‥が決まる。

 だから、エリカを走らせた原因の騎士達は、上位騎士達なのだ。
 それなのに、気配を消すという配慮を怠った=腑抜けていると、判断される部分もあるのだ。

 こうして、不心得者の騎士達は、泣く泣く訓練場に行き特訓を受けるコトになる。
 勿論、所属している隊の騎士達が全員同じ立場になる。
 ついでに、研修を受けている騎士見習いも‥‥‥。

 当然のように従者も従者見習いも特訓を受ける。
 ここで言う、従者は、騎乗しない兵士を言う。
 だから、戦う能力を有している。

 実家にお金が無い‥‥‥要するに貧乏な家なので、魔法学園の騎士課に進学できなかった者達である。
 なお、現役の従者の推薦状が無いと成れないのは、騎士と一緒です。

 ただ、魔法騎士団で従者として規定の年数を務めるて、辺境騎士団に、騎士それも下位士官として就職できます。
 ですから、能力のある者達のみで構成されています。

 ついでに、容姿も判断基準に入りますので、エリカ達のここには美形の男しかいないのか?という感想は当然なんです。
 閑話休題。











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