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第18章 サラディール王国にて………
392★エリカに内緒で、罪の裁きを………
しおりを挟むエリカの意識が、廃皇妃リリアーナや魔術師エルダールに向いていないのを良いコトに、アルファードは、2人に特殊な精霊魔法を掛ける。
「闇を司る精霊達よ
この者達を 月の精霊達の夢を紡ぐお茶会に連れて行け
そして お茶会が終わり
太陽神に付き従う光の精霊達の馬車が動くまで
その場に留まるコトを
光の精霊達に許可してもらうコトを……………」
副音声………。
『罪を暴く闇の精霊達よ
この者達の魂に刻まれた罪を裁く月の精霊達の裁判所に連れて行け
そして、裁判が終わり
罪状が太陽神の代理たる光の精霊達により決定するまで
月の精霊達の裁判所で眠っている様に
光の精霊達に人の世での罪が決定するまで……………』
この魔法は、国と国が争うような罪を犯した者達を裁く時に、その罪人が勝手に逃亡したり、自殺したりしないように、深い闇の眠りに落とすコトを闇の精霊と月の精霊と光の精霊達に願うものだった。
対価は、眠らせられた者達が眠るたびに、精霊達に夢の中で罪を償うまで生涯弄ばれるコトだったりする。
この罪を償う期間は、人が裁いた罪と償いの期間と、精霊達が裁いた罪と償いの期間と同じだけの時間だった。
ただし、人の世での償いが時間切れになっても、精霊達の裁きの時は関係なく続いて行くコトもあるし、人の世の期間よりも短い時もある。
それを知っていながら、アルファードはその魔法を掛けたのだった。
それは、皇帝アルフレッドをはじめとするドラゴニア帝国の総意だった。
廃皇妃リリアーナは、これから終わりの無い悪夢を見ることになる。
誰も助けてくれない、誰も答えてくれない、誰も見てくれないという寂しい牢獄に繋がれて、精霊達の裁きを受けるのだ。
その上で、国王や王太子、先代国王夫妻達も庇えない状況での裁きを受けるコトになる。
ドラゴニア帝国の皇太子アルファード暗殺未遂事件の主犯として………。
この暗殺事件は、ドラゴニア帝国内で行われたので、未遂になっただけのコトとして扱われる。
要するに、廃皇妃リリアーナは、ドラゴニア帝国の皇太子を暗殺した(未遂だけど)犯人として裁かれるのだった。
一国の皇太子を他国から嫁いできた王女が暗殺するというコトは、本来なら戦争に発展するものだが、ドラゴニア帝国の皇帝アルフレッドは、民に負担を強いるコトを嫌がり裁判という穏便な方法にしたのだった。
それも、廃皇妃リリアーナの母国で、王達や貴族達が、自国の王女を裁くという………。
この温情に応える為に、本来なら斬首刑にするしか無いのだが………。
予め廃皇妃リリアーナを殺すなと命じられているので、その1番後腐れも面倒も無い方法をとるコトは許されない。
かと言って、奴隷として売るという選択肢も無い。
奴隷は、買主に殺されるキケンがかなりあるし、何処の誰に売られるかわからないものからだ。
どのような境遇になるかがわからない罰は、罪に相応しく無いがゆえに。
そして、罪が罪だけに、神殿預かりとして、生涯を神に祈って過すという選択肢も無い。
神殿内を探るコトは、王族でも出来なかったりするものだから………。
だから、廃皇妃リリアーナの罰は、厳重な警戒の元に離宮に幽閉という選択肢しか無い。
が、ただ幽閉するだけでは、何の意味も無いのも確かな事実だった。
そこで、王族や貴族達を相手に娼婦として生きろと、ドラゴニア帝国側は示唆したのだ。
それを魔術師エルダールが報告したなら、国力の差により逆らうという力が無い国王達はその要求に従うしかないのだ。
また、どこまでいっても傲慢で身勝手な廃皇妃リリアーナのプライドを抉(えぐ)り、その無駄に高い自尊心とこころをへし折るには、その方法しか無いとも言う。
膨大な《魔力量》を誇るドラゴニア帝国の皇帝アルフレッドの子を、魔道具を使用したとはいえ、2人も生んだという実績を元に、切実に《魔力量》のある子供を欲しい王族や貴族達は、こぞって子供を生ませようとするだろう。
子供を得る為なら、多少の無茶や無理も関係無くするのが、王族や貴族達の性質だから………。
また、神官達は《魔力波形》で、親子を確認できるので、誰との子供かははっきりとわかるので、それについての不安も無い。
サラディール王国に多大な不利益をもたらす廃皇妃リリアーナの未来は真っ黒だと言える………。
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