妖魔戦輝

ブラックベリィ

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006★善意の監視は緩くなる

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 タケルは初めての内緒の冒険から、周囲の様子をうかがってはプチ冒険を繰り返していた。
 大抵は、守護地の境界線の内側を少し見て回る程度だったが。

 なんせ、タケルはまだやっと五つを向かえたばかりの幼い子供なのである。
 ゆえに移動できる距離には、かなり限りがあるのだ。

 ちなみに、タケルが短時間なら行方をくらましても探されないのは、四つの時に生まれた手のかかる妹達にあった。
 そう、達なのだ。

 タケルの妹達は、最近では珍しい双子で誕生したのだ。

 科学技術の栄華を誇った時代なら、ある意味で難なく育てることができた双子だが、かなりの意味で文明文化が後退してしまった今では、だいぶ困難を極めるのだ。

 そうタケルが生まれ育った集落は、町というにはちょっと数が及ばす、村としては規模が大きいと言って良い程に人口が順調に増えた、元集落なのだ。
 だが、残念なことに近年の作物不良によって、ここしばらく妊婦になる者が激減していた。

 ゆえにタケルより年下の子供は三人しか居なかったりする。
 そんな中で誕生したタケルや他の三人の子供達は、とても村人達に可愛がられていた。
 ようするに、怪我などしないかと村人の善意なる監視が常について回っていたのだ。

 そこに双子で誕生した妹達である。

 妹達の誕生と共に善意なる監視が減り、自由度が増したタケルは、ちょこちょこと集落を守り隠すように生えている森林地帯へと潜り込んでいたのだ。
 ちなみに、他の三人の子供達は、タケルに比べるととても活発で、大人達は善意の監視を続けていたことは確かな事実である。

 ようするに、おとなしく大人の言うことをちゃんと守るタケルへの善意なる監視は、自然と緩くなっていたのである。
 勿論、タケルが行方をくらます時間が短いことも良い方向に作用していたことは言うまでもない。

 そんな中、集落とタケルにとってとても喜ばしいことに、タケルの妹達に続いて、しばらくぶりの出産ラッシュが訪れていたのだ。
 それもこれも、タケルの父親が現在の集落のリーダーになったお陰だったりする。

 ちなみに、タケルの初めての冒険から半年ほどして、父親であるマサルが新しい異血となる牛と馬を雌雄一頭ずつ連れ帰ったことで、集落の中は更ににぎわっていた。

 帰って来た後、遠距離移動させた家畜は、三ヶ月ほとかけてゆっくりと休ませた後に、雄は種牛種馬として、雌を飼っている者達の家畜へと種付けが行われていた。
 雌は交換に出たマサルの持ち物となったので、集落の中にいる優良な雄に種付けされて、現在ちゃんと妊娠していたりする。

 ちなみに、家畜の物々交換は、必ずしもではないが、集落のリーダーとなった者の仕事のひとつだったりする。

 勿論、物々交換用に育てられている家畜の中から、同じ数の牛と馬を連れて行ったことは言うまでもないことである。
 無事に帰って来るコトが出来れば、交換した雌の家畜はリーダ役の取り分となり、雄は種付け用となるのが代々の習わしなのだ。

 当然、それは巫女姫が【神】の神託に従って選んだ八つの守護地のひとつの場所との交換して来たのだ。
 そしてマサルは、無事に帰って来た。

 勿論、その間は集落のリーダ役が不在となる為、代理の者がリーダ役を務めることになっていた。

 当然のこととして、代役を務めている間に、生き残っている前代又は先々代のリーダ役から、様々なことを指導される。
 集落のリーダ役となった者が、家畜の異血交換や野菜や穀物の種子交換を無事に終えて、必ず帰って来るとは限らないからである。

 残念なことに、だいたい半分かそれ以下の確率でしか、帰って来れないのだ。
 何故なら、守護地以外にある、元都市部地域では、弱肉強食がまかり通っている為、見付かれば襲われて交換用の家畜が奪われるのは当然の流れだったからだ。

 そうして、持ち物を全て略奪されて殺されるのは珍しくないことだった。
 稀に運が良ければ奴隷として、元都市部地域で生き残ることもある。
 そうやって、人としての尊厳を奪われ、奴隷として消費される中、本当に奇跡的な確率で、逃げだして帰村する者も極稀に、存在していた。

 そういう者達が持ち帰った情報から、元都市部の状態を知り、襲撃を受けた場所などを考慮して、次の交換時期と場所を選定するのだ。

 ゆえに、集落のリーダー役に選ばれると、先代や先々代がどの集落と交換したかを教えられるのである。
 そうして、過去からの情報の欠落が出ないように、連綿と交代でリーダ役を選んでいるのだ。

 余談だが、集落のリーダ役に選ばれるには、性別は問わないが、最低三つになる子と、次の子供が確実に生まれるぐらい、妻の胎の中で育っていることが条件だったりする。
 基本的に、子を孕むことができる女性がリーダ役になることはない。
 そして、リーダ役の世代交代は他の場所と比べてかなり早いのは確かな事実だった。

 ちなみに、この集落に落ち着いた巫女姫の血統の血筋は、増えたり減ったりして、現在は五つの家てして存在していた。

 どうしても、文明文化が後退し、科学というモノがすたれたコトで、出産後の生存率は低下しているのだ。
 そう、誕生しても五体満足の健康優良児しか生き残れない為に。

 ただ、障害がある子が生き残れる場合もある。
 例えるならば、身体は丈夫なのだが、誕生の時から視力を失っていたり、下肢などの四肢の一部が麻痺していたりする者である。

 そして、そういう障害を持って誕生した者は、それを補うように、特殊な【力】などを有していることだった。
 盲目で誕生した者は、そこに座して居ても、遠くの様子や未来などをることが出来た。

 そういう者は、巫女又は巫覡ふげきとして殊更に大事にされるのだ。
 四肢に麻痺などがみられて身動きが乏しい者は、軍略や戦略と言ったモノにくわえ、集落の運営に大きく貢献する者が大半だった。

 実際として、五代程前のリーダ役の姉にあたる女性は盲目で誕生したが、今現在もお婆様と呼ばれて健康に暮らしていたりする。
 ちなみに齢百歳を越えても、矍鑠かくしゃくとして村内を散歩できるほどには元気だった。

 余談ではあるが、家畜交換などに出るリーダ役も居るので、代替わりは短ければ五年、長くても二十年弱である。

 そんな集落内がにぎわう中、タケルは最初の冒険の時に人影らしきモノを見た場所へと来ていた。






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