悪戯な運命の女神は、無慈悲な【運命の糸】を紡ぐ

ブラックベリィ

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0012★幼馴染みとの日常

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 聖樹は、遺伝子上の父親・聖との会話を思い出して、無意識に溜め息を吐く。

 なんか、ぎゅーっととんでもなく圧縮された色々な情報を、1度に頭に詰め込まれたような感覚のセイで、ぜんぜん思考がまとまんねぇー‥‥‥‥はぁー

 そんな聖樹の様子に、目ざとく気付いた美月が、声を掛けてくる。

 「ちょっとぉー‥‥どぉーしたのよぉー‥‥‥なんか元気無いじゃない‥」

 いつもと同じ、明るい声での問い掛けに、聖樹は肩を竦める。

 「ぅんー‥‥‥ちょっとなぁー‥‥‥新しいバイト‥‥何にするかを考えてたんだ‥‥夏休みいっぱいいっぱいまでやろうと思っているんでさぁ‥‥‥‥」

 聖樹の答えに、ちょっと訝しげな表情を浮かべる。

 「ふ~ん‥‥‥‥」

 美月の答えに納得していない雰囲気を読み取り、聖樹は話しを振る。

 「‥‥で‥なんか俺に用あって来たんだろう? 何?」

 そう話しを振られ、美月は当初の目的を思い出して言う。

 「あっ‥‥そうよ‥聖樹に、コレ見てもらおうと思って‥‥‥‥」

 言いながら、美月は胸に抱えていた書類入れから、ガサッと紙の束を聖樹に手渡す。
 聖樹は紙の束を受け取り、机の上に置いて、ペラペラと1枚づづめくりはじめる。
 その様子を確認しながら、美月は言葉を続ける。

 「とりあえず、何点かイラストのラフ画が出来たから‥‥色とかも、一応こんな感じかな? って思って、カラーのラフ画もあるから‥‥‥‥」

 自分が先日渡したファンタジー小説のイラストと、1部分をマンガ仕立てにした絵コンテやラフ画を確認する。

 「うん、イイんじゃないか‥‥コレなんて、スゲー良いできだな‥‥‥」

 そう言って、1番目を引いたイラストを引き出して言う。

 きゃはっ‥‥イイ感じに出来上がったと思ったけど、聖樹にこうやって褒められると、なんかすっごく気持ちイイわぁ~‥‥‥‥

 自分でも1番良く描けていると思っていたモノを出され、美月は嬉しそうにしながらも、気になったことを聞く。

 「で、舞のマンガはどう?」

 マンガの絵コンテと幾つかのラフ画を見て、聖樹は頷きながら言う。

 「うん、イイと思うぜ。ただ‥‥‥‥」

 「ただ?」

 「ああ、このページとこのページの間に、剣を構えた立ち姿の1枚、バーンと入ったほうがイイんじゃないかな?」

 そう言いながら、聖樹は注文(剣を構えた立ち姿)を書き書きしてチョイッと張る。
 美月は、聖樹の手元を見て確認しながら頷く。

 「確かに‥‥‥‥」

 「だろ‥‥で、地図とか無いけど、まだ描いてないのか?」

 聖樹の問い掛けに、美月はちょっと苦笑いを浮かべる。

 「咲が凝って作ってるから、もう少しかかりそうだから‥‥‥て、ことで、はい」

 そう言って、スマホの画面を差し出す。
 どうやら、写真を撮ってきたらしい。

 ふ~ん‥‥どれどれ‥‥って‥‥凝り性だとは思ったけど‥‥
 へぇ~古代風な感じの地図かぁ‥‥‥細部まで入っているな
 あの小説、舐めるように読んだのがわかるぜ
 装飾華美ギリギリの縁取りってぇーのも、すげーな‥‥‥

 スマホ画面に映し出された地図らしきモノに、納得顔で頷く。

 「確かに、かかりそうだな」

 聖樹のセリフに、美月は肩を竦める。

 「それで‥‥イベントには参加してくれるんでしょうね‥‥」

 唐突に話しが変わり、聖樹は一瞬ついていけなかったが、夏コミのことだとわかって両腕でバツを作る。

 「ごめん、無理」

 聖樹のつれない態度に、美月は腰に手をあてて怒る。

 「えぇーどうしてっ‥‥イベントの為に、空けておいてって言っといたのに‥‥」

 怒る美月に、両手を合わせ、聖樹は謝る。

 「後で、埋め合わせするから、今回はカンベンしてくれ」

 頬を膨らませつつも、聖樹の様子が数日前からおかしいコトに気付いていた美月は、嘆息して理由を聞いてみる。

 「理由くらい聞かせてよね」

 美月の言葉に、聖樹は苦笑いを浮かべ、ゆるゆると首を振る。

 「ごめん」

 聖樹の謝罪に、美月は声のトーンを落とし、少し小声で問い掛ける。

 「それって、ここしばらく、あんたの様子がおかしかったコトと関係している?」

 美月の問い掛けに、聖樹はちょっと考え込んでから、手招きで顔を寄せるように合図する。
 その意味を理解し、美月は手直のイスを引いて、座り、聖樹に顔を寄せる。

 「‥‥‥‥で、どうしたのよ」

 「はぁ~‥‥美月‥‥俺の‥母さんの‥‥知ってるよな」

 確認のように聞かれ、美月は内容が深刻なモノと理解して頷く。
 実際には、かなり世間一般より詳しく知ってはいるが、美月はそのことを聖樹に言うつもりは無かった。
 そんな美月の心情を知らない聖樹は、声を潜めて、言う。

 「俺、遺伝子上の父親が一緒の、腹違いの妹にあった‥‥‥‥」

 「えっ‥‥‥‥」

 驚く美月に、聖樹は端的に言う。
 
 「センパイにも、言ったんだけど‥‥‥なんか、父さん‥俺の存在を知って、勝手に認知とかしちゃったらしい‥‥‥‥」

 それが意味するコトを知って、美月は、えっとぉーという表情になる。
 聖樹は、肩を竦めて、続ける。

 「で、父さんの味方をする腹違いの妹が、忠告に来たんだ。向こうの奥さんと腹違いの兄と姉が、意地悪しに来るかもしれないから気をつけろって‥‥‥‥」

 もっと、色々とあったのだが、言えるような内容ではないので、かなりどころではなくはぶいて、説明する。

 「だから、夏休みの間、ここから離れて、海の家とかで‥‥‥住み込みのバイトでもして、ほとぼり醒めるの待とうと思ってさ‥‥‥」

 聖樹の説明に、美月は大きく溜め息を吐く。

 「はぁ~それじゃ‥‥‥しょうがないわね」

 「ごめんな」

 謝る聖樹に、美月はにっこり笑って言う。

 「でも、冬コミは大丈夫よね」

 いきなり時期がとんだセリフに、聖樹は曖昧な表情で言う。

 「どういう形であれ、カタがついてればな」

 「あんた、人気あるんだから。居るとと居ないじゃ、売り上げが大きく違うのよねぇ‥‥‥‥」

 しみじみと言う美月に、聖樹はちょっと困惑を浮かべつつも肩を竦めるだけだった。



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