お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

ブラックベリィ

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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

139★料理は才能です

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 今朝借りた駐車場に車を置き、和輝は少し重い足取りで教室に向かう。
 桜も妹達も一緒に居られるコト喜んでいるところに、双方の安心安全の為とは言え、水を差すのが少しばかり和輝の気持ちを重くしているのだ。
 それでも、予定通りの時間に教室に到着した和輝は、自分の机の周りに集まっている竜也や輝虎に向かって、クッキーの袋とドーナツの袋をセットにしたモノを、それぞれに放り投げる。

 「ほれ…昨日作ったヤツだぜ……」

 放り投げられたクッキー袋とドーナツ袋のセットを、みんな器用にキャッチする。
 そんな中、竜也が代表して声を掛ける。

 「あぁ…お帰り、和輝
  思ったよりも早かったね

  時間ギリギリで、帰って
  来るかな?
  って思っていたんだけど……」

 「ああ、屋上から見ての通り
  この高校から車で3分程度の
  場所だからな」

 和輝の言葉を聞きながら、竜也は受け取った袋の口を開く。

 「…ほぅ……クッキーに
  ドーナツかい?」

 そういう竜也の頬はこころなしか緩んでいる。
 わりと甘いモノが好きなのだ

 「そう、クッキーとドーナツ
  竜姫と乙姫のは、豆腐入れて
  一応、カロリーオフしてある
  ヤツだぜ」

 竜也と和輝の会話を聞きながら、竜姫と乙姫もカサカサと袋を開けてクッキーを齧る。
 どうやら、ドーナツはあとにするようだった。
 同じように受け取った啓太と水鳥は、袋を開いて確認し、ドーナツから食べ始める。
 まだ、午後の授業が始まるまで10分程度の時間が残っていた。
 和輝から受け取った全員が、袋を開けて、クッキーやドーナツを口に運んでいた。
 その中でも、ちょっとひとより食に煩い竜也が眉をひそめる。

 「随分と、良い材料を
  使っているようだねぇ

  これだと、かなり材料費
  高かったんじゃないかい?」

 1人暮らしの為、生活費のやり繰りにかなり苦労している竜也から、少し嫌味の入った言葉を投げかけられた和輝は、肩を竦めてさらりと言う。

 「それじゃ……
  このクッキーやドーナツの
  原材料が元は犬のエサ用に

  用意された材料で作って
  あるって言ったら
  どうする? 竜也?」

 和輝からの意外な言葉に、竜也はメガメの中央を押し上げて、齧ったクッキーを見詰める。

 これが、犬のエサから
 出来ている?

 とても、高品質な小麦粉
 から出来ているように
 思うのだが?

 どのような犬なんだ?

 「ほぉー…これが犬のエサ用の
  材料で出来ているのかい?

  これまた、随分と贅沢な
  お犬様だねぇ…いや本当に

  犬の方が、人間よりも
  美味しいモノを
  食べているんだねぇ」

 嫌味というか、ひがみというか、そんなニュアンスを含んだ言葉に、和輝は苦笑する。

 「あぁ…たしかにな
  贅沢といえば、贅沢かな?

  でも…美味しいモノと言っても
  あくまでもエサを作る人間が
  上手だったらって単語が付くぞ

  いくら材料が良くてもさぁ……
  作る人間がダメだと………
  理解(わか)るだろう、竜也

  料理の才能が無い人間が
  いくら頑張って作ったって
  美味しいとは到底言えない

  そうだろう、なっ」

 どこか含みのある言葉に、竜也はついついチラリッと竜姫と乙姫を見てから頷く。
















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