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142★ロ・シェールの街中5 和也とレオの戦闘?
しおりを挟むどこまでも、自分達をバカにしている態度を取る和也達とレオに、ヤツーデ達は怒り狂い、腰に佩いていた剣を手にする。
それを見た和也は、苦笑しながら背後にエリカを隠し、小さな声で言う。
「エリカ、エルリック
君達は動かないで欲しいんです
アイツらは、ボクが倒します」
「‥‥‥‥」
「僕は、剣を習っていますので‥‥」
「でも、エルリックは
使い慣れた剣を握っていません
新しい未使用の剣では
手加減が出来ないでしょう?」
「でっ‥でも‥‥」
「大怪我させるとか
間違って殺してしまうとかってなったら
エルリックは、絶対に後悔すると思います
違いますか?」
「‥‥‥‥」
「じゃ‥黙って大人しく動かずに居てください
イイですね?」
「「はい」」
和也の護衛として働きたいのに、それを理詰めで止められたエルリックは少年らしく、口惜しいという表情をしていた。
一方の和也は、何時もの冷静沈着という表情のなかで、内心で苦笑していた。
その間に、ヤツーデとその両隣にいたごろつきは、自分達を挑発するレオではなく、和也に向かって剣を振り上げ向かって行く。
残りのごろつき達は、レオに向かって行った。
そして、レオを囲って次々に切りかかっていく、その合間に鎖を投げて身動き出来ないようにしようとする者もいたし、ナイフを投げる者もいた。
その間に、ヤツーデは剣で切りかかり、その部下2人は和也にナイフを投げる。
以外なコトに、きちんと連携プレイ?をするヤツーデ達に、和也はちょっと驚いていた。
が、だからといって、その攻撃を受けてやる義理は無い。
和也は剣を抜き、投げられたナイフを軽く打ち落とす。
その隙を狙って切りかかるヤツーデを、和也は剣でその剣を受け流した。
その行為によって、ヤツーデは勢い良くたたらを踏んだ。
前のめりになったヤツーデを、和也はすれ違いざまに、首筋を打つと、ドサッとわりと重い音をたてながら顔面から崩れ落ちた。
その姿をチラリと一瞥(いちべつ)すると、和也はナイフを投げてくる2人の男の方へと移動する。
自分達を貴族の坊ちゃんと呼びながら、平気で襲ってくる者達なので、一般市民には、もっと酷いコトをしていたと、瞬時に和也は理解した。
だから、和也はその罪を償わせる為にも、全員を捕らえたいと思った。
自分達のリーダーをあっさりと和也が倒したので、ナイフ投げの2人は我が身可愛さに、その場から立ち去ろうとした。
ようするに、和也に背を向けて逃げようとしたのだった。
逃げようとする彼らに和也は、簡単に追いついてしまう。
伊達に、バスケで毎日走り回る日々を送っていたわけじゃないという感じだった。
2人とも、和也に背中を向けていたので、背後撃ちになったのはちょっとイヤかなり不本意だった。
和也が、3人を倒した頃、レオは投げつけられる鎖やナイフを避けながら、ごろつき達を握っていた剣の背の部分で殴り倒している。
※ロ・シェールの街中では、剣を抜いてケンカ?私闘?乱暴狼藉(らんぼうろうぜき)?などを働いた者は、警邏または巡回の兵士達に捕まった場合その内容によって処分されます。
ここは、交易都市なので、治安が良くないとキャラバンのルートから外されてしまいますので、騒ぎを起こしたごろつきなどは、警邏などの兵士が来る前に逃げるのが基本なんです。
そうじゃないと、賠償(相手の被害に応じて、治療費を払うとか、品物の代金を支払うなど)、刑罰としては、ムチ打ちの刑、強制労働、奴隷堕ちなどが待っているから‥‥。
なお、この場合は、和也達は見るからに上位貴族なので、貴族に剣を向けたという罪ががっつりと加算されます。
というか、貴族に剣を向けた段階で、1番軽い刑罰が奴隷堕ちです。
次に、理不尽なコトに死刑です。
貴族に逆らうというコトは、基本死罪なんです。
身分の上下はそれ程に厳しいものです。
それと、奴隷として売られた金額は、賠償金として貴族に支払われます。
だから、計算高くわりとこすっからいレオは、ごろつき達をなるべく怪我をさせないように戦っていたんです。
怪我をさせると、奴隷として売れた金額から、治療費を引かれてしまうから‥‥。
なお、和也が、ヤツーデ達を切らなかったのは、オリハルコンの切れ味が、いまひとつわかっていなかった(手加減が出来ない=出血多量などで殺してしまう可能性有り)のと、剣を人の血糊で汚したくなかったからです。
閑話休題
和也達は、レオが戦っている様子を黙って見ているだけだった。
レオの戦い方を見て、どの程度の強さなのか和也は知りたかったから‥あえて、助けに入らなかったのだ。
結果、レオの戦士としての強さを確認できた。
その後に、親切なやじうまが連れて来た警邏の兵士達に、ヤツーデ達は全員捕縛された。
その時の会話はこんな感じだった。
警邏の兵士の班長?が、和也達に恐る恐るという態度で声を掛けてきた。
「あのぉ~お怪我などはありませんでしたか?」
「見ての通り大丈夫です」
和也が、あっさりと答えたので、班長(ソルト)は苦笑して言う。
「そうですか‥‥では‥‥
倒れている者達を確認させて頂きます」
「‥‥‥‥」
和也は、警邏の兵士達がどんな行動を取るか?と好奇心いっぱいで見ている。
そんな和也の脇に、何時の間にかレオが立っていた。
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