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0010★~夢の中~何処にでもそういう輩はいるもんだ
しおりを挟む彪煌が来たコトに安堵し、そのまま意識を失った、悠虎は、編入当時の頃の夢を見ていた。
ごたぶんにもれず、夢の中でも、悠虎は先刻と同じように、同級生やら上級生の混じった集団に囲まれてリンチに合いかけていた。
「…………けっ、てめえー見たいな華著な野郎が
ウチのサッカー部のレギュラーに入れるはずねぇー……
どんな手を使いやがったっっ…………」
そう言い放った同級生は、悠虎が編入する前まで、レギュラーを待っていたヤツだった。
ただし、悠虎が入部したと同時に、彼は普段の素行不良のセイもあって、あっさりとレギュラーから外されたのだ。
自分の常日頃の態度や素行の悪さを棚に上げて、まるで悠虎が理不尽にレギュラーの座を奪ったかのように言う同級生に、塵を見るかのような視線を向ける。
そして、常に勝ち気な悠虎は、当然、その言葉が挑発になると知っていて、わざと相手の傷を抉るようなセリフを口にする。
「そりやぁ~…お前より、俺の方が勤勉だし、上手いからな
素行不良で、チームプレーも出来ないお前はいらないんだよ
レギュラーから外されてと唖然だろうに、なに言ってんの?」
そんな発言に触発されたように、その同級生というだけの共通点しかない男子生徒は、悠虎に向かって罵声を浴びせる。
「たかが、特待生のくせにつっ」
…………いや、特待生のくせにってねぇ~…馬鹿だなコイツ…………
…………特待生枠を獲れるのは実力あるって証拠なんだけど…………
はっきり言って、罵声とも言えない無いように、悠虎はこころの中で呆れていた。
その程度の事実しか含まない内容で、悠虎のこころを傷付けるコトなど出来ない。
世間の白い目と、侮蔑や蔑み、悪意の籠ったうわさ話など、様々な中傷をずっと受けて来た悠虎にはどうってコトない言葉だった。
自然としらけた表情になり、その男子生徒に便乗して口々に騒ぐ集団を見下すカタチになる。
「うるせぇーんだよっ………ったく、てめぇーらは
集団にならなきゃ…何にも出来ねぇー奴らが
いっぱしの口きくんじゃねぇーよ」
あまりにも的を射た悠虎の言葉に、一瞬辺りがシーンとした無音の状態となる。
が、ある意味で痛い所を突かれたカタチになった彼らは、前にも増して口汚く悠虎を罵倒し始める。
しまいには、それで効果ないと知った者達が悠虎に殴りかかった。
そう、暴力に訴えはじめたのだ。
多数の同級生達に完全に囲まれたカタチで、逃け場のない状態のまま集団リンチに晒された悠虎は、向こうみずにも、先導者である同学年の少年を真っ先に殴り倒した。
途端に、殺気を煽られたカタチになった集団は、見境というモノを無くして、悠虎の顔と言わず腹と言わずに殴る蹴るをしだした。
最早、何も…………教師への手前だとか、親の手前というモノを忘れ…………言い訳できないような集団リンチの場と化した。
そう、誰が見ても、彼らに正当性は無く、間違いなく、この後は厳罰を受けると理解り切った状態になっても、誰もがそのコトに気付かなかった。
しかし、世間の荒波を常に被り、児童養護施設にボランティアと称して来る大人達からの聞こえよがしの中傷やら、時には人目のない場所での折檻などを受けた悠虎は、こんな集団での卑怯なリンチで倒れるコトは出来なかった。
幸いなコトに、そういう目的で目をつけられたコトは無かったが、悠虎は児童福祉施設に預けられている少年少女を、性的略取を目的で訪れるお偉いさんが居るコトもちゃんと知っていた。
ソレがどう言うコトで、児童福祉施設にいる狙われた子供達が、どんな行為をされているかも、その現場を見てしまったがゆえに知っていた。
同時に、悠虎はそういう悍ましいコトをされた幼い児童達が、児童福祉施設の所員に訴えるコトが出来ないのを理解っていた。
また、その性被害を訴えたとしても、再発防止などの改善をされるどころか、その事実を隠蔽されるだけだというコトも良く知っていた。
そう、確かに性被害は受けたコトは無かったが、自分をはじめとした弟妹達への陰湿なイジメは受けていた。
また、そのイジメに対しての抵抗を、逆にイジメと認定されて、事情を聴くコトも無く、断罪されたのだ。
児童福祉施設内でのイジメという、大人達にとっては都合の悪い事実を隠蔽する為、悠虎達兄妹三人へのイジメが無かったコトにしたどころか、イジメの被害者であるはずの悠虎を、加害者として、別の児童福祉施設へと放り込むコトをしたのだ。
イジメをする者達がいる児童福祉施設に、か弱い弟妹を残して、別の児童福祉施設へと送られた悠虎は、だから大人を、信じられなくなったのだ。
そんな悠虎だからこそ、理不尽な行為に倒れるコトを、自分に許せなかったのだ。
ここで、こんな集団リンチで、倒れるコトは自分に負けを認めるコトだったから………。
普通の、同じ年頃の、まだ幼さの残る少年達には無い高い矜持を持つがゆえに、悠虎は、自分が倒れるコトを良しとしなかったのである。
そんな悠虎の頑なで真っすぐな瞳の光りゆえに、自分達が理不尽な言いがかりをつけていると自覚し、どこか後ろめたさのある集団は自分達の行いを正当化しようと躍起になった。
もはや収集がつかない状態となり、集団リンチは更に凶暴な興奮の坩堝と化し、最早、教師達が気付こうと、誰にも止めようが無い状態になっっていた。
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