煉獄の中の溺愛

ブラックベリィ

文字の大きさ
10 / 57

0010★~夢の中~何処にでもそういう輩はいるもんだ

しおりを挟む


 彪煌あきらが来たコトに安堵し、そのまま意識を失った、悠虎ゆうとは、編入当時の頃の夢を見ていた。
                                    
 ごたぶんにもれず、夢の中でも、悠虎ゆうとは先刻と同じように、同級生やら上級生の混じった集団に囲まれてリンチに合いかけていた。

「…………けっ、てめえー見たいな華著な野郎が
 ウチのサッカー部のレギュラーに入れるはずねぇー……
 どんな手を使いやがったっっ…………」

 そう言い放った同級生は、悠虎ゆうとが編入する前まで、レギュラーを待っていたヤツだった。
 ただし、悠虎ゆうとが入部したと同時に、彼は普段の素行不良のセイもあって、あっさりとレギュラーから外されたのだ。

 自分の常日頃の態度や素行の悪さを棚に上げて、まるで悠虎ゆうとが理不尽にレギュラーの座を奪ったかのように言う同級生に、塵を見るかのような視線を向ける。

 そして、常に勝ち気な悠虎ゆうとは、当然、その言葉が挑発になると知っていて、わざと相手の傷をえぐるようなセリフを口にする。

「そりやぁ~…お前より、俺の方が勤勉だし、上手いからな
 素行不良で、チームプレーも出来ないお前はいらないんだよ
 レギュラーから外されてと唖然だろうに、なに言ってんの?」

 そんな発言に触発されたように、その同級生というだけの共通点しかない男子生徒は、悠虎ゆうとに向かって罵声を浴びせる。

「たかが、特待生のくせにつっ」

 …………いや、特待生のくせにってねぇ~…馬鹿だなコイツ…………
 …………特待生枠を獲れるのは実力あるって証拠なんだけど…………

 はっきり言って、罵声とも言えない無いように、悠虎ゆうとはこころの中で呆れていた。
 その程度の事実しか含まない内容で、悠虎ゆうとのこころを傷付けるコトなど出来ない。

 世間の白い目と、侮蔑ぶべつさげすみ、悪意のこもったうわさ話など、様々な中傷をずっと受けて来た悠虎ゆうとにはどうってコトない言葉だった。

 自然としらけた表情になり、その男子生徒に便乗して口々に騒ぐ集団を見下みくだすカタチになる。

「うるせぇーんだよっ………ったく、てめぇーらは
 集団にならなきゃ…何にも出来ねぇー奴らが
 いっぱしの口きくんじゃねぇーよ」

 あまりにも的を射た悠虎ゆうとの言葉に、一瞬辺りがシーンとした無音の状態となる。
 が、ある意味で痛い所を突かれたカタチになった彼らは、前にも増して口汚く悠虎ゆうとを罵倒し始める。

 しまいには、それで効果ないと知った者達が悠虎ゆうとに殴りかかった。
 そう、暴力に訴えはじめたのだ。

 多数の同級生達に完全に囲まれたカタチで、逃け場のない状態のまま集団リンチにさらされた悠虎ゆうとは、向こうみずにも、先導者である同学年の少年を真っ先に殴り倒した。

 途端に、殺気をあおられたカタチになった集団は、見境というモノを無くして、悠虎ゆうとの顔と言わず腹と言わずに殴る蹴るをしだした。

 最早、何も…………教師への手前だとか、親の手前というモノを忘れ…………言い訳できないような集団リンチの場と化した。
 そう、誰が見ても、彼らに正当性は無く、間違いなく、この後は厳罰を受けると理解わかり切った状態になっても、誰もがそのコトに気付かなかった。

 しかし、世間の荒波を常に被り、児童養護施設にボランティアと称して来る大人達からの聞こえよがしの中傷やら、時には人目のない場所での折檻などを受けた悠虎ゆうとは、こんな集団での卑怯なリンチで倒れるコトは出来なかった。

 幸いなコトに、そういう目的で目をつけられたコトは無かったが、悠虎ゆうとは児童福祉施設に預けられている少年少女を、性的略取を目的で訪れるお偉いさんが居るコトもちゃんと知っていた。

 ソレがどう言うコトで、児童福祉施設にいる狙われた子供達が、どんな行為をされているかも、その現場を見てしまったがゆえに知っていた。

 同時に、悠虎ゆうとはそういうおぞましいコトをされた幼い児童達が、児童福祉施設の所員大人に訴えるコトが出来ないのを理解わかっていた。

 また、その性被害コトうったえたとしても、再発防止などの改善をされるどころか、その事実を隠蔽されるだけだというコトも良く知っていた。

 そう、確かに性被害は受けたコトは無かったが、自分をはじめとした弟妹達への陰湿なイジメは受けていた。
 また、そのイジメに対しての抵抗を、逆にイジメと認定されて、事情を聴くコトも無く、断罪されたのだ。

 児童福祉施設内でのイジメという、大人達にとっては都合の悪い事実を隠蔽する為、悠虎ゆうと達兄妹三人へのイジメが無かったコトにしたどころか、イジメの被害者であるはずの悠虎ゆうとを、加害者として、別の児童福祉施設へと放り込むコトをしたのだ。

 イジメをする者達がいる児童福祉施設に、か弱い弟妹を残して、別の児童福祉施設へと送られた悠虎ゆうとは、だから大人他人を、信じられなくなったのだ。

 そんな悠虎ゆうとだからこそ、理不尽な行為に倒れるコトを、自分に許せなかったのだ。
 ここで、こんな集団リンチで、倒れるコトは自分に負けを認めるコトだったから………。

 普通の、同じ年頃の、まだ幼さの残る少年達には無い高い矜持を持つがゆえに、悠虎ゆうとは、自分が倒れる負けるコトを良しとしなかったのである。

 そんな悠虎ゆうとかたくなで真っすぐな瞳の光りゆえに、自分達が理不尽な言いがかりをつけていると自覚し、どこか後ろめたさのある集団は自分達の行いを正当化しようと躍起やっきになった。

 もはや収集がつかない状態となり、集団リンチは更に凶暴な興奮の坩堝るつぼと化し、最早、教師達が気付こうと、誰にも止めようが無い状態になっっていた。








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...