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041★未来は………
しおりを挟むマリウスさんの説明に、珍しいアルス君の突っ込みが入る。
「それは、建前だろう。本当はどうなっているんだ?」
アルス君の質問に、マリウスさんは、シレっと答える。
私達の案内兼説明係って、こんな風にシャーシャーとしたイイ性格の人が、選ばれるんだぁ~って感心してしまう。
「勇者様と聖女様は、召喚された時に、この世界の神々の加護を受けておりますので、今まで、魔物討伐で死んだ方はおりません。ですから、魔王討伐が終わるまでは、勇者様も聖女様も、我が国の法律に縛られません」
あくまでも、建前?正論?のみを口にするマリウスさんに、ハルト君が一番気にしているコトを指摘する。
「ちょっと…待てよ、それって、魔王討伐が終わったら、俺達は全員、この国の法律に従う必要があるってコトだよな?」
その指摘に、爽やかな笑顔で内心を綺麗に隠しマリウスさんは答える。
「勇者と聖女としての役割、魔王を討伐し、この地に充満した邪気、余剰な魔気を浄化したなら、その任を解かれ、高位の法衣貴族の地位を与えられます。勇者殿は、冒険者や将軍などの武官になる方が多かったですね。たまに、文官として宰相まで上り詰めた方も………」
マリウスさんの説明の途中だけど、早く聖女のその後を聞きたかった私は、質問する。
だって、この国では、女性に仕事は存在しないんだもん。
………ってコトは、私やあの美少女達は、結婚する道しか無いっよね。
でも、私みたいなチンクシャなんて、召喚されたコトなんて無かったはずよ。
それに、元の世界に還った人や還る道(方法)を探した人だっていたはずだもん。
私は、還れるなら、還りたいって思うの。
「ねぇ~私の場合は、どうなるの?」
そんな切実な思いを込めた質問に、マリウスさんは、さらりと答える。
なんか有能な営業マンって感じて………。
セールストークに営業スマイル、それにリップサービスって感じがしたわ。
「王子方や高位貴族(騎士を含む)の方々、魔法使いの方々(冒険者を含む)や還俗した神官の方々など、魔力量の多い方々と婚姻を結んでおります。ですから、我が国の王族や貴族、神官や魔法使いなどの魔力量が、他国より多いんです」
ん? なんだろう? なんか違和感が? 何処がどうだとは言えないんだけどぉ?
えぇーとぉ……あっ…わかった。
聖女って、複数の男性と結婚しているんだわ。
この国の法律に従って仕事に付かずに、婚姻して出産と子育てに励んだって………。
マジで、いやぁ~んな逆ハーレムを築いていたってコトよね。
魔物討伐の間に、ラノベというよりは、乙女ゲームって感じて、美形の男達にチヤホヤされて口説かれて、ほだされていったのね。
そして、何時死ぬかわからないから、だからこそ………なんて言われて、フラグを何本も立てられてしまったのね。
命の危険を伴う行為をしていたから………。
これは、俗に言うつり橋効果ってやつね。
それもあって、日常なら口にしないコト(誰かをひとりを選ぶなんて出来ないから、誰も選びたくないとかって)を、聖女ものりで口にしたんでしょうねぇ~………。
それを、きらきらした王子様、魔法使い、神官、護衛の近衛騎士、色々と役に立つ冒険者とかが、口を揃えて………。
『この国の法律に従うなら、何もおかしいことは無い。貴女を愛する俺達すべてと婚姻すれば良いんだから………』
って、言ったんだろうなぁ~………容易に想像できるわ。
それで、エロいコトを複数の男達に、あーんなコトやそーんなコトをされまくって、快楽に流されて、結婚に持ち込まれたってコトよね。
この国の婚姻に関する法律って、どうなっているのかな?
なんて、色々と考えていた私は、何時の間にかハルト君とジーク君に、抱き込まれた状態になっていた。
えっとぉ~…これは、囲い込みなんですか?
自分達のモノだって、宣言ですか?
私ってば、思考が変になってきているわ………。
落ち着け私。
「僕達、勇者は?」
ジーク君も、切実に勇者のその後(冒険者や武官や文官の仕事についた後の勇者の生活)に、興味があったのね。
そんなジーク君に、淡々と答えるマリウスさんだった。
まるで、目の前にある本を朗読しているかのように………。
ただ、記されていた事実のみを口にしているように見える。
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