39 / 140
041★未来は………
しおりを挟むマリウスさんの説明に、珍しいアルス君の突っ込みが入る。
「それは、建前だろう。本当はどうなっているんだ?」
アルス君の質問に、マリウスさんは、シレっと答える。
私達の案内兼説明係って、こんな風にシャーシャーとしたイイ性格の人が、選ばれるんだぁ~って感心してしまう。
「勇者様と聖女様は、召喚された時に、この世界の神々の加護を受けておりますので、今まで、魔物討伐で死んだ方はおりません。ですから、魔王討伐が終わるまでは、勇者様も聖女様も、我が国の法律に縛られません」
あくまでも、建前?正論?のみを口にするマリウスさんに、ハルト君が一番気にしているコトを指摘する。
「ちょっと…待てよ、それって、魔王討伐が終わったら、俺達は全員、この国の法律に従う必要があるってコトだよな?」
その指摘に、爽やかな笑顔で内心を綺麗に隠しマリウスさんは答える。
「勇者と聖女としての役割、魔王を討伐し、この地に充満した邪気、余剰な魔気を浄化したなら、その任を解かれ、高位の法衣貴族の地位を与えられます。勇者殿は、冒険者や将軍などの武官になる方が多かったですね。たまに、文官として宰相まで上り詰めた方も………」
マリウスさんの説明の途中だけど、早く聖女のその後を聞きたかった私は、質問する。
だって、この国では、女性に仕事は存在しないんだもん。
………ってコトは、私やあの美少女達は、結婚する道しか無いっよね。
でも、私みたいなチンクシャなんて、召喚されたコトなんて無かったはずよ。
それに、元の世界に還った人や還る道(方法)を探した人だっていたはずだもん。
私は、還れるなら、還りたいって思うの。
「ねぇ~私の場合は、どうなるの?」
そんな切実な思いを込めた質問に、マリウスさんは、さらりと答える。
なんか有能な営業マンって感じて………。
セールストークに営業スマイル、それにリップサービスって感じがしたわ。
「王子方や高位貴族(騎士を含む)の方々、魔法使いの方々(冒険者を含む)や還俗した神官の方々など、魔力量の多い方々と婚姻を結んでおります。ですから、我が国の王族や貴族、神官や魔法使いなどの魔力量が、他国より多いんです」
ん? なんだろう? なんか違和感が? 何処がどうだとは言えないんだけどぉ?
えぇーとぉ……あっ…わかった。
聖女って、複数の男性と結婚しているんだわ。
この国の法律に従って仕事に付かずに、婚姻して出産と子育てに励んだって………。
マジで、いやぁ~んな逆ハーレムを築いていたってコトよね。
魔物討伐の間に、ラノベというよりは、乙女ゲームって感じて、美形の男達にチヤホヤされて口説かれて、ほだされていったのね。
そして、何時死ぬかわからないから、だからこそ………なんて言われて、フラグを何本も立てられてしまったのね。
命の危険を伴う行為をしていたから………。
これは、俗に言うつり橋効果ってやつね。
それもあって、日常なら口にしないコト(誰かをひとりを選ぶなんて出来ないから、誰も選びたくないとかって)を、聖女ものりで口にしたんでしょうねぇ~………。
それを、きらきらした王子様、魔法使い、神官、護衛の近衛騎士、色々と役に立つ冒険者とかが、口を揃えて………。
『この国の法律に従うなら、何もおかしいことは無い。貴女を愛する俺達すべてと婚姻すれば良いんだから………』
って、言ったんだろうなぁ~………容易に想像できるわ。
それで、エロいコトを複数の男達に、あーんなコトやそーんなコトをされまくって、快楽に流されて、結婚に持ち込まれたってコトよね。
この国の婚姻に関する法律って、どうなっているのかな?
なんて、色々と考えていた私は、何時の間にかハルト君とジーク君に、抱き込まれた状態になっていた。
えっとぉ~…これは、囲い込みなんですか?
自分達のモノだって、宣言ですか?
私ってば、思考が変になってきているわ………。
落ち着け私。
「僕達、勇者は?」
ジーク君も、切実に勇者のその後(冒険者や武官や文官の仕事についた後の勇者の生活)に、興味があったのね。
そんなジーク君に、淡々と答えるマリウスさんだった。
まるで、目の前にある本を朗読しているかのように………。
ただ、記されていた事実のみを口にしているように見える。
9
あなたにおすすめの小説
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
家出を決行した結果
棗
恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。
デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。
自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。
※なろうさんにも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる