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召喚されちゃいました

365★ランドール様の憂鬱

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 私は、私の愛しい、唯一の番である、静香以外の異世界召還された花嫁に興味が無い。

 基本的に番を得た私達は、それ以外の異性に興味を持たない性質を持つ。
 そして、愛しい番の興味が、自分以外に向くコトを極端に厭う。

 子供を含む家族には、それなりに興味と愛情を持つが、一番は番だ。
 静香が、あの少女達を気にする度に、嫉妬してしまう。

 たぶん、静香の意識に同郷人である、あの少女達が存在しているコトが嫌いなのだろう。

 異世界召還された時に、静香に欠片も興味を持たず、振り返りもしなかった、冷たいあの少女達の態度に、私は、嫌悪感がある為だ。

 それなのに静香は、度々あの少女達を気にする発言をする。

 だというのに、下級メイド達からの情報では、あの少女達は静香のコトを一度も話題にしていないと………。

 異世界召還されたときに、一緒に居た存在である静香に、何の思い入れも無いとわかってしまう。

 下級メイド達から見て、どうやらあの少女達は、異世界でも仲の良い友人同士だったようだと報告もあがっている。

 だから、静香がどうなっていようと興味が無い。

 あの馬鹿達にちやほやされて、侍女達に世話されて、ドレスを着て宝石の付いた装飾品を身に飾って楽しんでいると………。

 この帝国の貴族女性達と変わらない、馬鹿な少女達としか思えない。
 それなのに、同郷人だと静香に気にしてもらえる………嗚呼イライラする。

 それでも、神が与えてくれた花嫁であるコトに変わりは無い。

 恋愛も婚姻も、ましてや子供を得るコトを、諦めている優秀な男達に、さっさと投げ与えたい。

 婚約者か夫を持ったなら、あの少女達を気にするのは、静香の役割では無いと言えるのだから………。

 あの少女達に、番が存在しなかったのは残念で仕様が無い。

 番が居たなら、あの少女達は、それらに囲い込まれて、二度と静香に会えなくなったのに………。

 あの馬鹿達は、謁見の為のドレスも作っていなかった。

 静香の言ったとおり、あの少女達を自分達で抱え込み、卵を産ませるつもりだったのだろう。

 既に、あの馬鹿達と関係を持っていると、下級メイド達が話していた。
 これは、静香に言えない情報だ。

 静香の貞操観念とは相容れない、あの少女達の行動だから………。

 そのコトを知ったら、あの馬鹿達に強要されて、可愛そうだと同情するのは確実だから………。

 私達にとっては、至極当然の行動なのだが………。

 卵を産めるという証明の為に、誰とでも関係を持つのは、貴族女性の嗜みでしか無いのだから………。

 番以外に、貞操観念など無い。

 ただし、皇帝や皇太子の妃は、夫以外と関係を持つコトを禁じられている。

 魔法で確認できるとは言え、夫以外と平気で関係を持つゆるい女は、皇妃や皇太子妃としての秘匿事項を守れないと判断されるから………。

 私の母は、どちらの父にとっても、唯一の番だったから、不問とされていた。
 これは、滅多に無い特例だった。

 もしも、皇妃や皇太子妃が、夫以外の男と関係を持ったと、疑われた時点で記憶消去の魔法を掛けられて離縁される。

 また、皇位継承権を持つ者と婚姻した妃達も、それに準じる。

 それ故に、あの少女達は、そのゆるい貞操観念の為に、複数の夫を持つコトになる。

 複数の夫達が、常時あの少女達を束縛して監視する為に………。
 そう、浮気をさせない為に………。

 護衛騎士達や近衛騎士達では、身分の都合でうまく浮気のけんせいが出来ないから………。

 あの少女達の婚姻関係は、以前に静香がブツブツと言っていた、逆ハーというものになるのだろう。

 静香は、そんな状態を精神的にも体力的にも、自分には無理だと言っていた。

 それに、逆ハーとはゲームとしてプレイしたり、物語として読んで楽しむものだと………現実には、存在しないものだと言っていた。

 静香にとって、この帝国の貴族女性のゆるさは、信じられないモノらしい。

 それでも、そのゆるさを利用される、危険性を考え付く賢さを持っている。

 本当に、静香は色々なコトが見えすぎる。

 それなのに、自分は一般小市民で、普通の人間だと何度も言うし、そう思い込んでいる。

 静香の家族が、静香の自己肯定の低さを作ったと思う。

 一緒に眠っていた時に突然起きて、『どうして、夜中に私を起こして、お風呂の用意をしろって言うの、スイッチ押せば、お湯が出るのに………』と言い出す。

 そして、私を見て『アラン様だ、良かった夢なんだぁ~』と言って笑うとまた眠ってしまう。

 他にも『なんで、こんな時間に、おつまみ用意しろって言うの、自分で用意すればって言えば、怒られるから我慢だわ』とか、家族に下級メイド扱いされていたのだろう。









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