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005★自己紹介と異世界対策? 男性編?

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 CAのオバサンとの俺の会話をしっかりと聞いていたらしく、ツアー客の男達が座席を離れて、並んで座る俺と飛鳥のもとにやって来た。
 最初に俺に話しかけてきたのは、身体を鍛えている男達の1人だった。
 
 「このツアーに参加しているのに
  自己紹介がまだだったね

  非常事態だからね
  とりあえず、自己紹介だけでも………

  私は東谷 将司(あずまや まさし)
  仕事は地方公務員の一般市民だ

  ただし、予備役の自衛官だけどね」

 そう言って、一緒に来た男達を振り返り、東谷 将司(あずまや まさし)と名乗った男は、手のひらで示しながら紹介を続ける。

 「一緒にいる彼らも、地方公務員で
  予備役の自衛官だよ、陸自ね

  だから、サバイバルの訓練は
  一応受けているよ

  普通の人間相手なら
  少しは役に立つと思うよ

  私の隣りから
  西谷 将也(にしたに まさや)
  南谷 将司(みなみや まさし)
  北谷 将人(きたや まさと)
  っていうんだ、よろしくね

  ところで、ここはあの2つの月を
  見て判るように異世界のようだねぇ

  ということは、本名は《真名》に
  通じるからねぇ………

  ここでは隠しておいた方が
  良いと思うんだよねぇ

  というコトで……私は、苗字の
  イーストから取って
  イーさんと呼んでくれないか

  残りは、そうだねぇ………
  サウスの、サーさんに
  ウェストの、ウーさん

  ノースでノーさん……はちょっと
  アレだから、スーさんでどうかな?
  変かな?」

 自己紹介して来たオジサン達に、俺と飛鳥は顔を見合わせて笑った。
 そう、少しだけほっとしたんだ。
 だって、オバサン達やCAの人達は、どうやったって戦闘の役にはたたないって思っていたから………。

 それなのに、戦闘能力がある程度あって、戦う覚悟のある大人の自衛官(たとえそれが予備役でも)は、マジでこころ強いって思ったんだ。
 その上で用心深くて、ちょいオタクでお茶目な感じだな。
 流石は、陸自だなって思った。
 だから、俺も挨拶する。

 「大和 暁竜(やまと たける)
  っていいます

  古武術と乗馬と、ちょっとした
  そっち系の術が使えます
  いわゆる視える人家系です

  趣味は料理です
  そして、医大生になるはずでした
  よろしくお願いします

  あっ…と、日本武尊の故事から
  白い鳥の白鳥で、シロで………」

 俺の自己紹介を聞いていた飛鳥は、ちょっと苦笑いを浮かべて続ける。

 「村主 飛鳥(すぐり あすか)
  やまと親戚で幼馴染みです
  一緒に修行していました

  同じく、医大生です
  僕は、料理よりも
  裁縫が好きでしたね

  これからは、仲間として
  よろしくお願いします

  ちなみに、飛鳥時代の建築物
  法隆寺から…竜ってとこで
  リューと呼んで下さい」

 俺と飛鳥の自己紹介の後に、話しだしたのは、やっぱり側に寄って来ていたオッサン2人組だった。

 「俺達は、大工だ
  だから、家を作るのは慣れているし
  家具もある程度のモノは作れる

  それと、趣味で上総掘り保存会に
  参加していたし………

  日本刀作りにも興味があって
  一時期、刀鍛冶に
  弟子入りしていたんだ

  刃物全般は作れるし
  ある程度の設備と材料があれば
  色々と作れると思うぜ

  鈴木 鉄也(すずき てつや)だ
  よろしくな

  んで、隣りに居るのは
  佐藤 達也(さとう たつや)だ

  コイツは、ガラス細工が趣味だ
  それも吹きガラスな

  鋳物もちっと齧っていたし
  俺と仲間達で
  タマハガネも作ったことがある

  まっなんにしても
  材料と設備があれば
  ってコトだけどな

  預けてある荷物の中に
  一部の大工道具が入っているから
  任せとけよ

  何かの役には立つと思うぞ
  よろしくな

  つーコトで、俺は上総からカズで
  コイツは、ガラス細工が得意だから
  ガスって呼んでくれ」

 その自己紹介を聞いた俺達は、思わず顔を見合わせる。
 そう、ドワーフか?って、そう思った。
 パーティを組むなら、オッサン達は、前衛の盾持ちの力自慢のドワーフで、武器はハンマー?

 そして、先に自己紹介したあの自衛官達は、冒険者か傭兵かって思ってしまう。
 ついでにパーティーでいうなら、オールラウンダーだと思う。

 サバイバル訓練も受けたなら、接近戦ならナイフで暗殺、ライフル銃や弓で長距離攻撃、銃剣も習っているだろうから、槍も使えそうだし、でも、魔法はダメかもなんてついつい思ってしまう。

 そうすると俺達は、魔術師系の魔法剣士辺りかな?
 ある程度の手当てが出来るから、回復職も有りかな?
 なんて考えていると………。

 今回のツアー客男性組み最後の男達がにっこりと笑いながら話しに混じって来た。
 そう、最後に自己紹介を始めたのは、外人2人組み(金髪薄い蒼眼と赤髪碧眼の白人の結構なハンサムさんで、銀河の皇帝様コンビを思い出した)だった。

 そして、会話を始めたのは、案の定赤髪の方だった………クスッ。

 「それじゃ最後はボク達だね

  ボク達は、日本の国土と
  文化と料理を愛する………
  まあ、オタクだね

  だから、故国に未練は無いよ

  自分達で選んだ日本に
  めっきり執着しているからね

  でも、なんの偶然か
  異世界に転移してしまったのなら
  ショウガナイって思っている

  だからこそ、ボク達は
  君達と行動を共にしたい

  ボク達の父親も親友でね
  ハンティングが趣味だったから

  ボク達も付き合わされて
  色々な動物を狩ったコトがある

  皮を剥いで解体することもできるよ
  一応、皮をなめすことも経験している

  猟銃のほかに、弓でも
  ハンティングした経験があるから
  それなりの役には立つと思う

  ボクは、ジャスティー・エム・ドールトン
  彼は、セドリック・アール・ランズベルト
  よろしく

  で、ボクはジークで
  ジャスは、ラインでどうかな?」
 
 その自己紹介を聞いた時、俺はチラッと飛鳥を見てしまった。
 だって、これは、銀河の歴史が………のあの2人をもじっているよなぁ……って、思ったから。

 だぁ~………二次元オタクかよ。
 この容姿で、なんか、物凄く残念な気がするなぁ。
 もしかしたら、俺達の代わりに色々とバカをやってくれそうだな。

 でも、このツアーに参加している男達は、色々な技能?趣味を持っているらしい。
 文化レベルが中世並みなら、これだけでちょっとしたチートになりそうだなぁ~って、俺は思った。

 もしかしたら、オバサン達も色々と使える趣味を持っていそうだな。
 なんて思っている俺達とは別に、オバサン達も自己紹介を始めようとしていた。 









 


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