41 / 50
第3章
第12夜 初恋銀河網(5)
しおりを挟む
「蛍くんには話したけど……ここは、もう地球じゃないの」
その声には、今まで聞いたことのない重みがあった。俺たちは息を呑んで先輩を見つめた。未来は目を丸くして、哲は眉をひそめていた。
「えっ? どういうこと?」
未来の肩がガクッと落ちるのが見えた。哲の目が少し大きくなる。先輩は深呼吸をして、話を続けた。
「ここは系外惑星『永遠の眠り』」
「でも、外の風景は……」
未来が窓の外を指さした。その指が少し震えていた。
「そう、わざと地球に似せてあるの」
先輩は小さく頷いた。哲は窓の外を眺めながら、感心したように何度も頷いていた。
「なるほど。地球から来た人たちが違和感なく暮らせるようにってことか」
「さすが哲くん。理解が早くて助かる」
先輩に褒められて、哲は少し照れたように頬を赤らめた。
俺の頭の中では、さっきからずっと、ある疑問がぐるぐる回っていた。心臓がドキドキして、耳まで響いてくる。
「あの、先輩……黒石って人が言っていた『キャリア』っていうのは、本当なんですか?」
俺は慎重に言葉を選びながら尋ねた。先輩はゆっくりと俺たちの方を向いた。その目には、今まで見たことのない強い決意が光っていた。まるで、宇宙の底を見つめているみたいだった。
「キャリア?」
哲が眉をひそめた。その声には、疑いと好奇心が混ざっていた。
「ええ、本当よ」
先輩は頷いた。その動きには、大事な秘密を話す人特有の緊張感があふれていた。
「私が、データを運ぶの。この星と地球の間をね」
俺は息を呑んだ。先輩の言葉の重みが、だんだん分かってきた。同時に、俺たちが巻き込まれている事態がどれだけヤバいか、痛いほど感じた。
「つまり、地球に送られる先輩の脳と体のデータに、他のデータをくっつけるってことですか?」
哲が真剣な顔で尋ねた。
「うーん、くっつけるっていうより、私の脳の情報の中に、送りたいデータが埋め込まれるって感じかな」
「じゃあ……内調がひかり先輩を追いかけてたのは、異星人だからじゃなくて、その能力が欲しかったからなんですね」
先輩は重々しく頷いた。その様子には、思いもよらない重荷を背負わされた人の苦しみが見えた。
「他の星との通信が軍事的に重要なのは簡単に想像できる。きっと国の安全のために独り占めしたいんだろうな」
哲が静かに言った。未来は怖そうに自分の肩を抱きしめた。
「怖い……。ひかり先輩を戦争の道具にしようとしてるってこと?」
「まだそうなるって決まったわけじゃないよ。それに、地球とこの星じゃ技術のレベルが全然違いすぎて、戦争にならないと思う」
哲が眼鏡を直しながら答えるのを、先輩は満足そうに見ていた。
「でも、なんか変だよね?」
未来が首を傾げた。
「何かって何が?」
「なんか、直感的に……」
こういうときの未来の直感は、なんとなくだけど、大体当たる気がする。
「ねぇ、ひかり先輩。地球とこの星の通信って、どうしてそんなに大事なの?」
未来が身を乗り出すようにして尋ねた。その目には、怖さと知りたい気持ちが混ざっていた。哲は腕を組んで、鋭い目つきで先輩を見つめていた。
「もしかして……」
俺の言葉が途切れた。なんて言っていいか分からないくらい、重い気持ちになっていた。
「先輩が地球に運ぶデータに、何か秘密が?」
窓の外を見つめていた先輩は、何かを決意したみたいに頷いてから振り返った。長い髪がさらりと柔らかな音を立てる。
「——地球の運命が、かかってるの」
先輩の声は、宇宙の秘密を明かすみたいに、静かだけど力強かった。
その声には、今まで聞いたことのない重みがあった。俺たちは息を呑んで先輩を見つめた。未来は目を丸くして、哲は眉をひそめていた。
「えっ? どういうこと?」
未来の肩がガクッと落ちるのが見えた。哲の目が少し大きくなる。先輩は深呼吸をして、話を続けた。
「ここは系外惑星『永遠の眠り』」
「でも、外の風景は……」
未来が窓の外を指さした。その指が少し震えていた。
「そう、わざと地球に似せてあるの」
先輩は小さく頷いた。哲は窓の外を眺めながら、感心したように何度も頷いていた。
「なるほど。地球から来た人たちが違和感なく暮らせるようにってことか」
「さすが哲くん。理解が早くて助かる」
先輩に褒められて、哲は少し照れたように頬を赤らめた。
俺の頭の中では、さっきからずっと、ある疑問がぐるぐる回っていた。心臓がドキドキして、耳まで響いてくる。
「あの、先輩……黒石って人が言っていた『キャリア』っていうのは、本当なんですか?」
俺は慎重に言葉を選びながら尋ねた。先輩はゆっくりと俺たちの方を向いた。その目には、今まで見たことのない強い決意が光っていた。まるで、宇宙の底を見つめているみたいだった。
「キャリア?」
哲が眉をひそめた。その声には、疑いと好奇心が混ざっていた。
「ええ、本当よ」
先輩は頷いた。その動きには、大事な秘密を話す人特有の緊張感があふれていた。
「私が、データを運ぶの。この星と地球の間をね」
俺は息を呑んだ。先輩の言葉の重みが、だんだん分かってきた。同時に、俺たちが巻き込まれている事態がどれだけヤバいか、痛いほど感じた。
「つまり、地球に送られる先輩の脳と体のデータに、他のデータをくっつけるってことですか?」
哲が真剣な顔で尋ねた。
「うーん、くっつけるっていうより、私の脳の情報の中に、送りたいデータが埋め込まれるって感じかな」
「じゃあ……内調がひかり先輩を追いかけてたのは、異星人だからじゃなくて、その能力が欲しかったからなんですね」
先輩は重々しく頷いた。その様子には、思いもよらない重荷を背負わされた人の苦しみが見えた。
「他の星との通信が軍事的に重要なのは簡単に想像できる。きっと国の安全のために独り占めしたいんだろうな」
哲が静かに言った。未来は怖そうに自分の肩を抱きしめた。
「怖い……。ひかり先輩を戦争の道具にしようとしてるってこと?」
「まだそうなるって決まったわけじゃないよ。それに、地球とこの星じゃ技術のレベルが全然違いすぎて、戦争にならないと思う」
哲が眼鏡を直しながら答えるのを、先輩は満足そうに見ていた。
「でも、なんか変だよね?」
未来が首を傾げた。
「何かって何が?」
「なんか、直感的に……」
こういうときの未来の直感は、なんとなくだけど、大体当たる気がする。
「ねぇ、ひかり先輩。地球とこの星の通信って、どうしてそんなに大事なの?」
未来が身を乗り出すようにして尋ねた。その目には、怖さと知りたい気持ちが混ざっていた。哲は腕を組んで、鋭い目つきで先輩を見つめていた。
「もしかして……」
俺の言葉が途切れた。なんて言っていいか分からないくらい、重い気持ちになっていた。
「先輩が地球に運ぶデータに、何か秘密が?」
窓の外を見つめていた先輩は、何かを決意したみたいに頷いてから振り返った。長い髪がさらりと柔らかな音を立てる。
「——地球の運命が、かかってるの」
先輩の声は、宇宙の秘密を明かすみたいに、静かだけど力強かった。
12
あなたにおすすめの小説
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
居酒屋で記憶をなくしてから、大学の美少女からやたらと飲みに誘われるようになった件について
古野ジョン
青春
記憶をなくすほど飲み過ぎた翌日、俺は二日酔いで慌てて駅を駆けていた。
すると、たまたまコンコースでぶつかった相手が――大学でも有名な美少女!?
「また飲みに誘ってくれれば」って……何の話だ?
俺、君と話したことも無いんだけど……?
カクヨム・小説家になろう・ハーメルンにも投稿しています。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~
root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。
そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。
すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。
それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。
やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」
美人生徒会長の頼み、断れるわけがない!
でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。
※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。
※他のサイトにも投稿しています。
イラスト:siroma様
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる