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第2章 さよならのない別れ
2-3 記憶の渚で(後)
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家を出ると、夕日に染まった美しい海岸が広がっていた。波は穏やかで、優しく砂浜に寄せては返している。空はオレンジとピンクの絵の具を混ぜたように美しく、まさに理想的な夕暮れだった。
「この光景⋯⋯」
佐伯さんが呟いた。
「何度も夢に見ました。でも、いつも途中で津波の夢に変わってしまって」
「今日は大丈夫です」
僕は確信を込めて言った。
「今日の海は、愛の記憶でできています」
美咲ちゃんの記憶が砂浜を楽しそうに走り回っている。
「パパ、見て見て!ここにも綺麗な貝殻があるよ!」
千鶴さんの記憶が佐伯さんの隣にそっと立った。
「美咲は本当に貝殻が好きね。あの子のコレクション、どんどん増えていく」
「君も、この海が好きだったね」
佐伯さんが千鶴さんの記憶を愛しそうに見つめた。
「ええ。この海が、私たちの思い出の場所だから。美咲を妊娠中も、よく二人で散歩したでしょう?」
「覚えています」
佐伯さんの顔に優しい笑みが浮かんだ。
「君は、お腹を撫でながら『きっと海が好きな子になるわね』って言ってました」
美咲ちゃんの記憶が特別に美しい巻き貝を手に戻ってきた。
「パパ、これあげる!今日見つけた中で一番綺麗な貝殻」
佐伯さんは震える手で、その貝殻を受け取った。螺旋の模様が美しい、小さな巻き貝。記憶の中の贈り物なのに、確かに手の中に重さと温かさがあった。
「ありがとう、美咲。本当に美しいね」
「約束だよ、パパ」
美咲ちゃんの記憶が可愛く微笑んだ。
「ずっと、ずっと大切にしてね」
「約束します」
佐伯さんは貝殻を胸に大切に抱いた。
その時、僕は記憶の奥で新たな波動を感じ取った。時間の流れが変わろうとしている。避けては通れない記憶が近づいてくる。
「佐伯さん」
僕は言った。
「最後の段階です。あの日を思い出してください」
佐伯さんの顔が青ざめた。
「震災の日を⋯⋯」
「はい。でも、今度は一人ではありません。千鶴さんも美咲ちゃんも一緒です。そして、きちんとお別れができます」
記憶の風景がゆっくりと変わっていく。朝の光が差し込む家のリビング。千鶴さんがピアノで『雨だれ』を弾いている。美咲ちゃんが隣で楽しそうに聞いている。平和な、いつもの朝だった。
「あの日も、こんな風に穏やかな朝でした」
佐伯さんが懐かしそうに言った。
「そうね」
千鶴さんの記憶が優しく答えた。
「あなたは早朝の新幹線で東京に向かったのよね」
「出張を断ればよかった」
佐伯さんの声に後悔がにじんだ。
「そんなこと言わないで」
千鶴さんの記憶が首を振った。
「あなたは家族のために頑張ってくれていたのよ」
「パパは、いつも私たちのためにお仕事頑張ってくれたね」
美咲ちゃんの記憶が佐伯さんを見上げて言った。
突然、大きな揺れが家を襲った。でも、記憶の渚では恐怖ではなく、運命の始まりとして優しく描かれた。
「美咲、大丈夫?」
千鶴さんの記憶が美咲をしっかりと抱きしめる。
「うん、怖くない。ママがいるから」
美咲ちゃんの記憶が安心したように言った。
「パパは大丈夫?」
最後のボイスメールの場面が、今度は恐怖ではなく愛として再現される。
『哲也、津波警報が出てるから、美咲を連れて学校に避難するわね。心配しないで。夕方には家に戻れると思うから』
『パパ、お仕事頑張ってね!今日海で拾った貝殻、帰ってきたら見せるからね!』
『それじゃあ、また後で連絡するから』
「また後で⋯⋯」
佐伯さんが呟いた。
「その『後で』が、十五年後になるなんて」
記憶の渚の海が、ゆっくりと変化し始めた。荒い波ではなく、時間の境界を表すような、神秘的で美しい波だった。
千鶴さんと美咲ちゃんの記憶が、佐伯さんの前に立った。
「あの時、私たちはあなたのことを心配していたのよ」
千鶴さんの記憶が言った。
「一人で東京にいるあなたのことを」
「パパが悲しまないように、私たち頑張ったんだ」
美咲ちゃんの記憶が言った。
「最後まで、パパのこと想ってた」
佐伯さんは涙を流していた。
「すまない⋯⋯守ってあげられなくて」
「あなたは悪くないの」
千鶴さんの記憶が優しく言った。
「運命だったのよ」
「そうだよ、パパ」
美咲ちゃんの記憶が頷いた。
「パパは、ずっと私たちを愛してくれてた。それで十分」
僕は、この愛の交換を見ていて、胸がじんわりと熱くなった。愛することの深さ、美しさ。そして、別れることの本当の意味。人間の感情って、こんなにも深くて美しいものなんだ。
何かが僕の頬をそっと伝った。冷たくて、少しとろりとした液体。
涙だった。
僕が、初めて流した涙。
「悲しくて⋯⋯でも、美しくて」
自分の声が震えていた。
「こんなに深い愛があるなんて。十五年という時間も、愛の前では意味がないなんて」
佐伯さんが二人の記憶をじっと見つめた。
「言わせてください。毎日言い続けてきた言葉を」
「私たちも、ずっと言いたかった言葉があるの」
千鶴さんの記憶が微笑んだ。
「愛しています」
佐伯さんがはっきりと言った。
「千鶴、美咲、二人とも心から愛しています。毎日、毎日、愛していました」
「私たちも愛してる」
千鶴さんの記憶が答えた。
「十五年間、ずっと愛し続けてた」
「パパ、大好き!」
美咲ちゃんの記憶が満面の笑顔で言った。
「世界で一番大好きなパパ」
「ごめんなさい」
佐伯さんが続けた。
「もっと『愛している』と言えばよかった。もっと一緒に時間を過ごせばよかった」
「十分よ」
千鶴さんの記憶が答えた。
「あなたの愛情、ちゃんと伝わっていたから」
「それに」
美咲ちゃんの記憶が言った。
「パパはこれからも生きるんでしょ?私たちの分まで」
「そのことで、お願いがあるの」
千鶴さんの記憶が真剣な表情になった。
「なんでも聞きます」
佐伯さんが答えた。
「前を向いて生きて」
千鶴さんの記憶が言った。
「私たちのことを忘れろとは言わない。でも、新しい幸せも見つけて」
「新しい幸せ⋯⋯」
佐伯さんが呟いた。
「いつか、素敵な人と出会ったら、恋をしてもいいのよ」
千鶴さんの記憶が優しく微笑んだ。
「私は嫉妬なんてしない。あなたが幸せになることが、私の幸せだから」
「パパが笑顔でいることが、私たちの一番の願い」
美咲ちゃんの記憶が言った。
美咲ちゃんの記憶が最後の貝殻を差し出した。
「これ、パパの新しい人生のお守り。大切にしてね」
佐伯さんは特別に美しい貝殻を受け取った。手の中で、それは温かく光っていた。
「さよならを言わせてください」
佐伯さんが言った。
「きちんと、お別れを」
「私たちからも、さよならを言わせて」
千鶴さんの記憶が答えた。
「さよなら、千鶴。君と結婚できて、本当に幸せでした」
「さよなら、哲也。あなたの妻になれて、本当に幸せだったわ」
「さよなら、美咲。君の父親になれて、誇らしかった」
「バイバイ、パパ。パパの娘に生まれてきて、とっても嬉しかった」
「愛しています」
佐伯さんが最後に言った。
「私たちも愛してる」
「ずっと、ずっと愛してる」
二人の記憶が光となって空に美しく舞い上がっていく。でも、その光は消えるのではなく、佐伯さんの胸の中に温かく吸い込まれていった。もう失われることはない。記憶として、愛として、佐伯さんの中で永遠に生き続ける。
美咲ちゃんからもらった貝殻も、光となって温かさだけを残した。
海は静かになり、美しい夕暮れの海に戻った。もう恐怖の象徴ではない。愛の記憶の海だった。
記憶の渚が静かに消えて、僕たちは現実の奥の部屋に戻った。
佐伯さんは静かに涙を流していた。でも、その顔には十五年間なかった平安が宿っていた。
「ありがとうございました」
佐伯さんが深々と頭を下げた。
「やっと、お別れが言えました」
僕は初めて体験した涙の意味を噛みしめていた。悲しみだけじゃない。愛と美しさに触れた時にも、人は涙を流すのだ。
「この光景⋯⋯」
佐伯さんが呟いた。
「何度も夢に見ました。でも、いつも途中で津波の夢に変わってしまって」
「今日は大丈夫です」
僕は確信を込めて言った。
「今日の海は、愛の記憶でできています」
美咲ちゃんの記憶が砂浜を楽しそうに走り回っている。
「パパ、見て見て!ここにも綺麗な貝殻があるよ!」
千鶴さんの記憶が佐伯さんの隣にそっと立った。
「美咲は本当に貝殻が好きね。あの子のコレクション、どんどん増えていく」
「君も、この海が好きだったね」
佐伯さんが千鶴さんの記憶を愛しそうに見つめた。
「ええ。この海が、私たちの思い出の場所だから。美咲を妊娠中も、よく二人で散歩したでしょう?」
「覚えています」
佐伯さんの顔に優しい笑みが浮かんだ。
「君は、お腹を撫でながら『きっと海が好きな子になるわね』って言ってました」
美咲ちゃんの記憶が特別に美しい巻き貝を手に戻ってきた。
「パパ、これあげる!今日見つけた中で一番綺麗な貝殻」
佐伯さんは震える手で、その貝殻を受け取った。螺旋の模様が美しい、小さな巻き貝。記憶の中の贈り物なのに、確かに手の中に重さと温かさがあった。
「ありがとう、美咲。本当に美しいね」
「約束だよ、パパ」
美咲ちゃんの記憶が可愛く微笑んだ。
「ずっと、ずっと大切にしてね」
「約束します」
佐伯さんは貝殻を胸に大切に抱いた。
その時、僕は記憶の奥で新たな波動を感じ取った。時間の流れが変わろうとしている。避けては通れない記憶が近づいてくる。
「佐伯さん」
僕は言った。
「最後の段階です。あの日を思い出してください」
佐伯さんの顔が青ざめた。
「震災の日を⋯⋯」
「はい。でも、今度は一人ではありません。千鶴さんも美咲ちゃんも一緒です。そして、きちんとお別れができます」
記憶の風景がゆっくりと変わっていく。朝の光が差し込む家のリビング。千鶴さんがピアノで『雨だれ』を弾いている。美咲ちゃんが隣で楽しそうに聞いている。平和な、いつもの朝だった。
「あの日も、こんな風に穏やかな朝でした」
佐伯さんが懐かしそうに言った。
「そうね」
千鶴さんの記憶が優しく答えた。
「あなたは早朝の新幹線で東京に向かったのよね」
「出張を断ればよかった」
佐伯さんの声に後悔がにじんだ。
「そんなこと言わないで」
千鶴さんの記憶が首を振った。
「あなたは家族のために頑張ってくれていたのよ」
「パパは、いつも私たちのためにお仕事頑張ってくれたね」
美咲ちゃんの記憶が佐伯さんを見上げて言った。
突然、大きな揺れが家を襲った。でも、記憶の渚では恐怖ではなく、運命の始まりとして優しく描かれた。
「美咲、大丈夫?」
千鶴さんの記憶が美咲をしっかりと抱きしめる。
「うん、怖くない。ママがいるから」
美咲ちゃんの記憶が安心したように言った。
「パパは大丈夫?」
最後のボイスメールの場面が、今度は恐怖ではなく愛として再現される。
『哲也、津波警報が出てるから、美咲を連れて学校に避難するわね。心配しないで。夕方には家に戻れると思うから』
『パパ、お仕事頑張ってね!今日海で拾った貝殻、帰ってきたら見せるからね!』
『それじゃあ、また後で連絡するから』
「また後で⋯⋯」
佐伯さんが呟いた。
「その『後で』が、十五年後になるなんて」
記憶の渚の海が、ゆっくりと変化し始めた。荒い波ではなく、時間の境界を表すような、神秘的で美しい波だった。
千鶴さんと美咲ちゃんの記憶が、佐伯さんの前に立った。
「あの時、私たちはあなたのことを心配していたのよ」
千鶴さんの記憶が言った。
「一人で東京にいるあなたのことを」
「パパが悲しまないように、私たち頑張ったんだ」
美咲ちゃんの記憶が言った。
「最後まで、パパのこと想ってた」
佐伯さんは涙を流していた。
「すまない⋯⋯守ってあげられなくて」
「あなたは悪くないの」
千鶴さんの記憶が優しく言った。
「運命だったのよ」
「そうだよ、パパ」
美咲ちゃんの記憶が頷いた。
「パパは、ずっと私たちを愛してくれてた。それで十分」
僕は、この愛の交換を見ていて、胸がじんわりと熱くなった。愛することの深さ、美しさ。そして、別れることの本当の意味。人間の感情って、こんなにも深くて美しいものなんだ。
何かが僕の頬をそっと伝った。冷たくて、少しとろりとした液体。
涙だった。
僕が、初めて流した涙。
「悲しくて⋯⋯でも、美しくて」
自分の声が震えていた。
「こんなに深い愛があるなんて。十五年という時間も、愛の前では意味がないなんて」
佐伯さんが二人の記憶をじっと見つめた。
「言わせてください。毎日言い続けてきた言葉を」
「私たちも、ずっと言いたかった言葉があるの」
千鶴さんの記憶が微笑んだ。
「愛しています」
佐伯さんがはっきりと言った。
「千鶴、美咲、二人とも心から愛しています。毎日、毎日、愛していました」
「私たちも愛してる」
千鶴さんの記憶が答えた。
「十五年間、ずっと愛し続けてた」
「パパ、大好き!」
美咲ちゃんの記憶が満面の笑顔で言った。
「世界で一番大好きなパパ」
「ごめんなさい」
佐伯さんが続けた。
「もっと『愛している』と言えばよかった。もっと一緒に時間を過ごせばよかった」
「十分よ」
千鶴さんの記憶が答えた。
「あなたの愛情、ちゃんと伝わっていたから」
「それに」
美咲ちゃんの記憶が言った。
「パパはこれからも生きるんでしょ?私たちの分まで」
「そのことで、お願いがあるの」
千鶴さんの記憶が真剣な表情になった。
「なんでも聞きます」
佐伯さんが答えた。
「前を向いて生きて」
千鶴さんの記憶が言った。
「私たちのことを忘れろとは言わない。でも、新しい幸せも見つけて」
「新しい幸せ⋯⋯」
佐伯さんが呟いた。
「いつか、素敵な人と出会ったら、恋をしてもいいのよ」
千鶴さんの記憶が優しく微笑んだ。
「私は嫉妬なんてしない。あなたが幸せになることが、私の幸せだから」
「パパが笑顔でいることが、私たちの一番の願い」
美咲ちゃんの記憶が言った。
美咲ちゃんの記憶が最後の貝殻を差し出した。
「これ、パパの新しい人生のお守り。大切にしてね」
佐伯さんは特別に美しい貝殻を受け取った。手の中で、それは温かく光っていた。
「さよならを言わせてください」
佐伯さんが言った。
「きちんと、お別れを」
「私たちからも、さよならを言わせて」
千鶴さんの記憶が答えた。
「さよなら、千鶴。君と結婚できて、本当に幸せでした」
「さよなら、哲也。あなたの妻になれて、本当に幸せだったわ」
「さよなら、美咲。君の父親になれて、誇らしかった」
「バイバイ、パパ。パパの娘に生まれてきて、とっても嬉しかった」
「愛しています」
佐伯さんが最後に言った。
「私たちも愛してる」
「ずっと、ずっと愛してる」
二人の記憶が光となって空に美しく舞い上がっていく。でも、その光は消えるのではなく、佐伯さんの胸の中に温かく吸い込まれていった。もう失われることはない。記憶として、愛として、佐伯さんの中で永遠に生き続ける。
美咲ちゃんからもらった貝殻も、光となって温かさだけを残した。
海は静かになり、美しい夕暮れの海に戻った。もう恐怖の象徴ではない。愛の記憶の海だった。
記憶の渚が静かに消えて、僕たちは現実の奥の部屋に戻った。
佐伯さんは静かに涙を流していた。でも、その顔には十五年間なかった平安が宿っていた。
「ありがとうございました」
佐伯さんが深々と頭を下げた。
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