異世界転生は突然に

水晶

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 僕らはラクダの、ラッテラの背中の上で一晩をあかした。

 落ちあう地点が決めてあるらしく、迷うことなくラッテラは進んでいく。

 朝焼けが地平線を染めている。

 じわじわと昇ってきた太陽が半分くらいになったとき、ふいに横から声がした。

主人あるじぃぃぃ!!」

「兄ちゃーーん!!」

「シェル!? コーマ!?」

うつらうつらしていた状態から一気に覚醒する。ぱっと横を見た瞬間、2人が飛び込んできた。

「あるじぃぃ・・・」

シェルは泣いていた。コーマは泣いてはおらずともうるっとした目で俺にしがみついている。

 てかラクダの背中に飛び上がるとかどんだけ脚力あるんだ。さすが動物。

 あとからとことことスルバがやってきた。

「ひさ「お前こいつらにどんな教育したんだよ?」

久しぶり、ありがとうと言おうとしたのに、いきなり怒られた。何でだ。

「どういうこと?」

「こいつらお前を呼んで泣きすぎて大変だったんだよ。お前は後から来るから先に逃げるっつーのに騒ぐし」

それはそれは・・・申し訳ない。

「ごめん、少なくとも僕は人化教えるくらいしか教育してないよ」

「嫌味だっての・・・」

スルバがぼそっと呟きため息をついた。

「あんまりリョウで遊んじゃだめよ? 怒らせたら世界破壊されるかもしれないんだから」

ラッテラがだいぶまじなトーンで言った。僕魔法知らないっての。剣とか武器も持ってないし。

「どういうことだよ?」

ラッテラにつられたのか、スルバの声が真剣味を帯びた。

「後で話すわ。とりあえず行くわよ。この人の雰囲気が怖いことになってるから」

前に向き直るとジュークさんがじっとこっちを見ていた。

「あ、はい、すみません」

「いや、いいが。お前こいつらと話せるのか?」

「はい」

「ふうん・・・まあ後で聞く、お前と兎と虎はスルバに乗れ」

「はい」

乗り移るのは思ったより大変だった。2人がくっついたまま離れようとしなかったからだ。最終的には地面に降りるのは諦めて、スルバがラッテラにくっつくことでどうにか移った。最初からそうしたらもっと早かったんだが。




 数十分後。

 しくしく泣いていたシェルがちょうど眠ったくらいのとき、地平線の先に影が見えた。

「お、ついたな」

ジュークさんが呟く。

「あれ何ですか?」

「俺の家・・・というか小屋だ。里にいられないとき用に作った。最近はここにいる時間の方が長いかもしれないな」

「へぇ・・・」

近づくにつれてシルエットがどんどんはっきりしてくる。太陽の方向に進んでいるせいで形しか分からないが。どうやら丸太組みの小屋のようだ。屋根のボコボコ感がそれを物語っている。

「ほら、着いたぞ。そいつら起こして降りろ」

予想通りと言うべきか、丸太組みの割と大きめの小屋だった。遠くから見たときは小さいのかなって感じだったが、思ったより大きい。ドアノブや煙突、そこかしこについている窓も木のようだった。ぱかぱか開ける窓はまあ煙など通っても無事としても、煙突は火の粉が通ったら危ないのではないだろうか。

 2人を起こして滑り降りる。降り立った地面は砂地だった。いつの間にか砂漠っぽい風景になってたことに今気づく。

「先、入ってろ。つないだらすぐ行く」

ジュークさんの言葉に頷き、僕らは家の方へ歩みを進めた。

「お邪魔しまーす・・・」

扉は押して開ける感じだった。ドアノブの木が凄くさらりとしていて、手に溶け込むように馴染む。こんなにすべすべの木に触ったのは初めてだ。

 中はシンプルなものだった。真ん中に丸いテーブルが1つ。椅子は1脚しか置いていなかった。まあジュークさんの小屋だしな。逃げるとき用なら1つだろう。

 奥の左隅には、ベッド。この世界にもあるんだな。なかなかふかふかそうだ。飛び込みたい。

 1歩踏み出して気づいた。扉とベッドの間だけ開けて、ぐるりと本棚が置かれている。数えられないほどの本がぎちぎちに詰めてあった。傷まないのだろうか。

「何入り口で止まってんだ、早く入れ」

ジュークさんに笑われてしまった。シェルとコーマも僕のことを不思議そうに見上げている。

「すみません・・・お邪魔します」

ジュークさんに対してもう一度言い、僕らは中に入った。

「汝  我らに涼を与え  熱を遮り  快適さを与えよ  風神クラメスの名によって命令す  発生せよ  第1ソティオン"涼やかなる風"」

ジュークさんが呟くように唱えた呪文はまだ僕の知らないものだった。部屋の温度が一気に下がったのが分かる。使えそうだな。覚えとこ。

 ジュークさんが椅子に腰掛ける。座ってろ、とジェスチャーで示された。手で床の埃を払い、座り込む。

「じゃあ、話してもらおうか」

「どこからですか?」

「全部だ。俺と会う前のことから。全て。お前が転生した経緯もできたら知りたい」

「分かりました」

僕は全てを話した。本当に全てを。一切を包み隠さずに。




 長い長い時間が経った。気がつくとシェルとコーマは床に倒れ込んで寝ていた。外は薄暗くなりつつあり、夕焼けのオレンジが床に照り映えていた。

「・・・それでさっき、ジュークさんに助けてもらうに至ります」

「ふーむ・・・」

ジュークさんは何やら考えているようだった。僕は別に変なこと言ってない。本当に。

「お前は【転生者】の中でも【異世界人】の中でも初めてのタイプだな・・・異端なのか?」

「そんなこと聞かれましても・・・」

「いや、そうだよな、すまん。分かるわけがないよな」

「いえ、こちらこそすみません」

謝られたら謝り返してしまうのは日本人の性だ。

「なに大事なとこ抜かしてんのよ!!」

 さっきの流れで思わず床を見下ろす。が、いない。

「あれ?」

「こっちよ!!!」

きょろきょろする僕に呆れた声がかかる。部屋をくるりと見回すと窓から鼻面が押し付けられていた。

「うわっ、びっくりした・・・」

「扉閉まってるんだから開けられるわけないでしょ!!? さすがにこの隙間は通り抜けられないし!!! この人の首輪抜けるのは簡単だけど!!!」

「そういえばそうか」

「というか開けて!!? いい加減喉がしんどいの!!」

不意に立ち上がった僕の視線を追ったジュークさんは眉をひそめた。

「勝手に抜けてくるなと言っているのに・・・」

「たぶん僕が説明不足なことを見越してたんだと思います」

苦笑しつつ僕が言うと、

「たぶんじゃなくてその通りよ。よく分かってるじゃない」

ラッテラからもれなく肯定が入った。

「何が不足なんだ?」

「・・・何だっけ?」

とことこ床を歩いてくる彼女に視線を投げかけると、呆れたを通り越してもう諦めたような目をされた。

「自覚ないのね・・・省略詠唱よ」

「あ」

「何だ?」

ジュークさんが僕とラッテラを見比べて問う。

「えっと・・・ジュークさんと僕らを捕まえたおじさんが今にも戦闘に入ろうとしていた時に、僕魔法使ったじゃないですか?」

「そうだな。というかあれはどうやったんだ? 普通できることじゃない」

「それは僕も分からないんですが・・・あれ、省略詠唱? だったらしいんですよ」

「は?」

ジュークさんはぽかんと口を開けた。初めて見るな、こんな顔。

「省略詠唱って・・・大昔の偉人たちしか使えなかった技術だぞ? 現在は使える人はいないはずだ・・・最後の1人はこの前亡くなったと聞いたが」

「実際使えてたから驚くのよね・・・」

ぐったりと顔を前足の間に埋めるラッテラ。ちっちゃい姿でやられると可愛いな・・・いや僕のせいか。

「俺が会ってきた【転生者】・【異世界人】でも使えるやつはいなかった・・・ふむ・・・」

「これは大変なことになるやつよ、もう・・・問題児ね」

・・・僕のせいか?

「本当に異端だなお前は・・・」

「・・・どうも?」

「褒めてない」

あ、そうですか。

「あのね、分かってないみたいだから言っとくけどっ!!」

ラッテラが突然走ってきて僕の膝に飛び乗った。

「省略詠唱なんてできることわかったら、世界中から研究材料にしようって人たちが山ほど押し寄せるのよ!! それぐらい省略詠唱は希少なの!! 過去にできた人たちは偉いことした人たちばっかりだったから研究所も手が出せなかったけど、一般人でしかも【転生者】なんかのあんたができてみなさい!! 分かるでしょ!!?」

すごい剣幕で怒鳴られた。小さいのにやたら迫力がある。まあ怒鳴ってる途中にてしてし地団駄踏んでるのは可愛かった。くすぐったかったけど。大きい時よりこっちの方が好きかもしれない。

「聞いてんの!?」

「はいはい聞いてる聞いてるっ!」

思いっきり関係ないことに意識を飛ばしていたら耳元で怒鳴られた。キーンと高い音が聞こえる。耳大丈夫か・・・?

「まったくもう・・・自覚ないんだから・・・」

「僕のせい?」

「誰と会話してると思ってんのよ・・・」

「しかし本当にどうしようか」

ジュークさんが顎をさすった。

「さっきのやつにばれた可能性は?」

「聞かれてたかどうかはわからないわ。半々ってとこかしら。どこからかけられたかわかっていないかも」

ラッテラの言葉を通訳する。ふむ、とジュークさんは頷いた。

「ならとりあえずは静観でいけそうだな・・・念を押すがお前これ以上余計なことするなよ?」

今までもした覚えありません。・・・けど、ここで反抗してもいいことはないので頷いておく。

「よし。じゃあとりあえず夕飯にするか?ちび共も寝ちまってるしな」

相変わらずシェルとコーマは寄り添うようにしてすうすう眠っている。

「平和だなぁ・・・」

僕が呟くと、外に出ていこうとしていたジュークさんが振り向いて皮肉に笑った。

「何か起こるとしたらこれからだぞ。覚悟しておけ。何もなければいいが・・・」

最後は半ば願望のようだった。返し方もわからず、僕は目を逸らした。

 数分後、ジュークさんは外から既に調理された料理を持って帰ってきた。鍋に入っている。

「どこで作ったんですか?」

「外だ。普段はここで作るんだが、ちび共が寝てるからな。起こしたら悪いだろう」

「どうせご飯だから起こさないといけないんじゃないの?」

ラッテラが呆れたようにジュークさんを見上げた。

「今こいつなんか言ったか?」

僕が通訳するとジュークさんは笑った。

「そうだな。どっちみち起こしてしまうのは変わらないか」

「シェル、コーマ」

2人をそっと揺り起こす。

「んん…」

「なんや…」

「ご飯だよ」

この言葉で2人は飛び起きた。

「はやっ」

ラッテラが半ば呆れながら笑っている。

「よし、じゃあ食べるか」

その間によそっていたジュークさんが器を配ってくれた。リゾットみたいな物が入っている。

「これなんですか?」

「【メロル】という。間違ってもリゾットとか雑炊とか言うなよ」

読まれていた。

「はい。美味しそうですね」

「食べるぞ。ーー食事があることを神に感謝し、今ここに食することの許可を求める」

ジュークさんが唱えるとふわりと優しい風が僕らを包み込み、去っていった。

「『頂きます』じゃ駄目なんですね」

「ああ。勝手に食うと罰が当たるから気を付けろ」

神様の罰とか恐ろしそうだ。想像したくもない。

「おいしい~!」

「美味い!」

シェルとコーマが歓声を上げている。僕もスプーン(らしき物)ですくい、そっと口に入れた。

「美味しい・・・」

自然と声が漏れた。程よく芯が抜けて柔らかいご飯にほろほろと崩れる何かの肉。よくだしが効いている。ほんのりトマトのような風味も感じる。全体がよく調和している。本当にレストランで食べる料理のようだ。

「美味いか? よかった」

ジュークさんがふっと笑った。

「お前幸せそうな顔で食べるな」

「ほうでふか?」

口を止める間も惜しい。僕ら3人はかきこむように食べきった。

「まだおかわりもあるぞ」

鍋の中にはまだまだ残っている。僕らは夢中でおかわりし続け、あっという間に鍋を空にしてしまった。

「お前ら凄い食欲だな・・・」

ジュークさんはもう完全に呆れていた。少し恥ずかしくなってくる。

「ごちそうさまでした」

「食事を得られたことを神に感謝し、食せた恵みに相当する善行を誓う」

またふわりと優しい風がやってきた。くすぐられ、思わず笑ってしまう。

「お前この風に触られてるのか?」

ジュークさんが驚いた様子でこちらを見ている。

「え? そういう物じゃないんですか?」

「吹いているのは薄ら感じるがそこまでわからない」

「え」

「問題児め・・・」

ジュークさんは頭を抱えた。

「俺はもう胃が痛い」

「すみません・・・」

・・・僕のせいか?

 その後、もう一度僕はやらかす。

「洗浄」

そう唱えて自分と2人を順に綺麗にした時のことだ。

「なんだその呪文は?」

「『洗浄』ですけど・・・」

・・・嫌な予感。

「何その魔法? そんなの存在したの?」

「いや俺は知らないぞ?」

いつの間にか入ってきていたスルバとラッテラが言葉を交わしている。

「お前・・・魔法創ったのか?」

「いやこれは以前頭の中で唱えろと言われて唱えたらできちゃったアレです」

「意味がわからん・・・」

「あーあーもう・・・」

ラッテラが前足の間に顔を埋めている。可愛い。

「まあいい、諦めた。お前は規格外だ」

「え」

常識人だったはずなんだけど・・・。

「お前なら・・・」

「え、何ですって?」

「なんでもない」

ジュークさんの呟きは僕の耳まで届かなかった。

「主人、眠いです・・・」

シェルがつんつんと僕の服の裾を引っ張った。コーマはもう寝る寸前だ。

「あ、すみません、もう寝てもいいですか?」

「ああ。これを使うといい」

毛布と何やら大きな布を渡された。端にフックのような物がついている。

「あそこの壁の端に引っ掛けて仕切りにするのよ」

ラッテラが教えてくれる。

「なるほど、ありがとうございます。おやすみなさい」

「ああ」

「おやすみ、よく眠るのよ」

「おやすみ」

壁の突起は思ったより高く、僕の身長では当たり前だが届かない。小さな風をイメージして、フックを浮かせ、かける。思ったより上手くいった。すぐに仕切りが完成する。

 その様子が見られているとも知らず。

「主人・・・」

「はいはい」

2人にそれぞれ毛布をかけ、僕も毛布をかぶる。思ったより疲れていたのだろう、すぐに眠気が襲ってくる。抗えず、僕は暗闇に意識を落とした。








「どう思う?」

「あいつがこの世界の仕組みを壊せるかもしらん。それぐらいの希望だ」

「確かに見込みはあるよな」

「というかお前たちその姿は見せていないな?」

「そのままでも話せるからね、必要ないし見せていないわ」

「それがいい。うっかり触れ回られたら事だ」

「そんなことするか?」

「何があるかわからない、用心は大切よ」

「それもそうだな」

「それで、これからのあいつの扱いなんだが・・・」
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