異世界食レポ!~現地の料理店を冒険しながら紹介~

めしめし

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1店目「ギルドの酒場 中編」

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無事にウメーディの街に入った僕たち。

ギルド近くまで馬車で送ってくれるとのことだ。



馬車から見えるウメーディの街は、活気に溢れる大きな街だ。

様々な種族が集まる街のようで、街を歩く人々の衣装や顔つきも様々である。

モルジーやミトラのような華奢な体格の者もいれば、鎧に身を包んだ2mを超す筋骨隆々の大男・猫の様な耳を持った可愛らしい女の子など。

人間観察をしているだけでも飽きそうもない。



建物も特徴的だ。

白を基調にした美しい白壁の中世ヨーロッパ風の建物が立ち並んでいるかと思えば、中国の寺院を思わせる東洋的な建物まで混在している。

商業施設はより特徴的だ。

商業施設には大きな建物は無く、こじんまりとした小規模の建物が通りに一列に並んでいる。

それぞれの店の前に、その店の特徴を現すような凝ったオブジェクトが飾られている。

様々な文化が合わさった街であることは間違いない。



道幅も広く、路面もきれいに整備されている。

馬車同士がすれ違えるスペースも十分あるようだ。

ゴミや汚物が散乱してはおらず、この街の人は衛生的な暮らしを送れているのだろう。



街を馬車で進むこと約10分。

馬車は、大きな建物の前で止まった。



「ミツルさん、ここが冒険者ギルドです。ここで登録を済ますと、ギルドからの依頼を受けることが出来ます」



モルジーはそう言うと、僕に袋を手渡した。



「これは護衛料になります。助けて頂いたので少し色を付けさせてもらいました」



袋を開くと金貨が数枚入っている。

この世界の貨幣価値についてまだ分からないが、かなり破格の報酬であることは間違いないだろう。

僕はモルジーにお礼を伝えると、



「いえ、こちらこそありがとうございました。それでは私は護衛の彼を治療院に連れて行きます」



モルジーは僕に頭を下げると、娘のミトラに視線を送る。



「ミトラ、ミツルさんの登録をサポートして差し上げるんだ」

「はい、お父様。もちろんですわ」



これは心強い。

右も左も知らない世界で、僕だけでギルド登録するにはとても不安だったのだ。

モルジーさんの優しさが僕の胸にスーッと染み渡る。

ただ、どうしてここまで僕にしてくれるのだろう?



「それでは、ミツルさん。私も後ほど合流しますね。ギルドの酒場で一杯いきましょう!」



モルジーは業者に指示をして、馬車を走らせた。



「それではミツルさん、ギルドへ参りましょう」







冒険者ギルド、いわゆるハローワークもしくは人材紹介会社だ。

依頼者から受注したタスクを、掲示板に貼り付けて希望者をつのる。

タスクを受けられるのは、ギルドに登録した者のみ。

成功するとそのタスクごとの報酬を受け取れ、失敗もしくは中途キャンセルをすると違約金を支払う必要がある。

冒険者にはランクがあり、ランクごとに受けられるタスクの難易度が異なるという。

ランクはS~Gまであり、大抵の冒険者はランクGから始めるようだ。



予習はこれくらいでいいだろう。

ありがとうチャットGOTさん!





ギルドの扉を開けると、ガヤガヤとした人の声と同時にお酒の匂いが漂う。

ギルドの中には木製で頑丈そうなスタンディングテーブルがいくつも置かれ、冒険者風の男女がテーブルを囲んでお酒を片手に話に花を咲かせているようだ。

ギルド内は薄暗く、ロウソクの明かりでギルド内を照らしている。

昼間というのにこの盛況ぶり。ギルドというよりイギリスのバーというような印象だ。



カウンターは2箇所。

右奥のカウンターはアンティーク調の造り。

それぞれ色の違うステッカーのようなものが貼られた小樽が陳列されており、どうやらお酒はここで買うらしい。



左奥はシンプルな木製のカウンターだ。

制服を着た3名の女性が立っており、テキパキと仕事をこなしている。

どうやらここがギルドカウンターだろう。



「ミツルさん、ギルドの登録は一番左のようです」



ミトラは左奥のカウンターを指さすと、受付嬢も僕たちに気づいたのか二コリと微笑んでくれた。







「こんにちは!本日はご登録でしょうか?あら、ミトラちゃんいらっしゃい」

「あっ、エリーさんこんにちは!いつもお綺麗ですよね」

「あら、またそんなことばっかり言って!今日はそちらの方がご登録ですか?こ、個性的な片のようですね……」



ミトラは、エリーと呼ばれる受付嬢と知り合いらしい。

エリーは銀髪のスレンダー美女で、20歳代前半くらいだろうか?

笑うと口元にえくぼが出来るのが、可愛らしい。

僕のマスクを見て、個性的と言葉を濁す正直な女性のようだ。



「はい、こちらミツル様です。ワイルドウルフに襲われているところを助けて頂きました」

「えっ、ワイルドウルフですか!?」



エリーが上ずった声をあげると、視線が一気に僕らに集まる。

ザワザワザワ…



「あの噂は本当だったんだ」

「最近討伐失敗例が多いのはそのせいか……」

「あの人何者なの?」



「ワーウルフについては後ほど父が説明に伺います」

「承知しました。それではその件は、ギルドマスターにご報告をお願いします」

「わかりました」



どうやらワイルドウルフが発生したのは、よほどの出来事だったらしい。

ギルド内のざわめきがその異常さを物語っている。

まさか僕に討伐依頼なんて来ないよね?



「それではミツル様、何かご身分を証明するものをお持ちですか?」

「あっ、はい」



僕はカバンの中から財布を取り出し、運転免許証をエリーに差し出した。

僕は車を運転することはほとんどないが、IDとして免許証を常に持参している。

ペーパードライバーであるが、ゴールド免許保持者である。

って、ここは異世界だった!

IDとして使える訳がないでしょ!



「エリーさん、ごめん間違え……」



僕は免許証を改修しようとした瞬間、エリーはさっとカードを持ち上げた。



「これは……ゴールドカード!私、初めて見ました!」

「へっ?」



エリーが声を荒げると同時にフロアが再度ざわめき始める。



「あいつ、ゴールドライセンス持ってるってよ」

「それって、使徒ってこと?」

「本当に何者なの?」



そんなに騒がれると恥ずかしいんですけど。

そこに書かれているのって日本語だよね?

何でこの世界で使えているの?



「失礼しました、まさかゴールドライセンスをお持ちの方とは思いませんでした。こちらの件に関しましては、一度ギルドマスターに報告させていただきます」



何か大事になって来たけど。

どうしよう、ミトラ?



ミトラの方を振り返ると、キラキラした目で僕を見てる。

これはアカンやつだ。

僕が持っているアイテムのそれぞれが、マジックアイテムになっているのかもしれない。



「じゃあギルドに登録は出来ないの?」

「いえ、登録に関しては問題ありません。ゴールドライセンスを所持されている時点で身元は保証されているのと同義ですから」



それなら良かった。取りあえずお金は稼がないと。



「この後ギルドマスターに報告しますので、明日ギルドカードを取りに来ていただいてもよろしいでしょうか?」

「わかりました、明日ですね」

「はい、本日はこの後に初心者講習を受けてもらいます。ギルドに初登録した人は義務として受けていただいております」



運転免許証の更新講習みたいだ。



「ではこちらにどうぞ、あっ、ミトラちゃんも一緒にね」



僕たちはギルドの奥の部屋へと案内された。
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