異世界食レポ!~現地の料理店を冒険しながら紹介~

めしめし

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1店目「ギルドの酒場 前編」

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「O△、♪JO♡#」

聞きなれない言葉を話し、笑顔で僕の方へと走ってくる男性。
どうやらこの世界の言葉らしい。
何を言っているのか、まったく聞き取れない。

僕は翻訳アプリを起動すると、「メインシステムと連携しますか?」との質問があらわれた。
なんのことかよく分からなかったが、とりあえず「はい」を選択。

「メインシステムとの連携を確認。続いて同期します」

次の瞬間僕の頭に軽い頭痛が走る。
10秒ほどの頭痛の後、頭はクリアになったようだ。

そこへ男が駆け寄ってきた。
40歳半ばぐらいだろうか。日に焼けた精悍な顔つきをしている。
身なりはとても立派だ。
きっと偉い人に違いない。

「ご助勢ありがとうございます。それにしても不思議なスキルをお持ちですね、あのようなスキルを私は初めて見ました」

今度ははっきりと彼の言葉が分かる。
同期とは自動翻訳機能のことだろうか?

「いえ、お手伝いが出来て良かったです。困った時はお互い様ですからね」
「ご立派です!よろしければお名前をお伺いしてもいよろしいでしょうか?」
「えっ、名前ですか?名乗るほどの者じゃないですが。ミツルと言います」
「ミツル様、ありがとうございました。おかげさまで無事命や荷物を守ることが出来ました」

深々と頭を下げる男性。
よほど大事なものが入っていたのだろうか?

彼はモルジー・ヤストラ
ウメーディの商人ギルドに所属する商人。
隣町のナンペイから物資を輸送中に襲われたらしい。
護衛も雇っていたようだが、馬車が横転するほどの強烈な不意打ちを受けて意識を失ったとのこと。

幸いにも重傷者はいないようだ。
叫んだ女の子はモルジーさんの娘のミトラ。
15歳になったばかりの可愛らしい女の子だ。
ただ、僕が彼女の方を見ると、ビクッとした表情を見せる。
確かにトラ顔の覆面にスーツ姿。
ただの変態だ。
大阪にもいないよ、こんな変なやつ。
警戒してもおかしくはない。むしろ警戒すべきだ。

それにしても。誰も僕の覆面のことについては聞いてこない。
この世界では珍しくはないのだろうか?
いや、聞けないだけなのだろう。

「これからミツルさんはどうなさるおつもりですか?」

そうだった。
僕はウメーディに向かっていたところだ。
彼らと一緒に同行すれば、すんなりとウメーディに入れるかもしれない。

「僕はウメーディに行くつもりだ。ただ、行ったことが無い街なので入れるかどうか心配なんだ」
「それなら、我々と共に行きませんか?傷ついた護衛の代りとして街に入るまでお雇いしたいのです」

よし!予定通り。
僕は心の中で小さくガッツポーズをした。
これで街には入れるだろう。
護衛ならトラ顔の覆面はおかしくはない……はずだ。

「いえ、それは僕の方からお願いします。ぜひよろしくお願いします」

こうして僕たちはウメーディの街へと出発した。
道中の馬車の中で、モルジーは僕にウメーディのことを色々と教えてくれた。

ウメーディは、各国の有名料理店が集まるエリア最大の食の都らしい。
人間以外にも獣人族・エルフ族・ドワーフ族など様々な種族が集まるため、日夜いざこざが絶えないらしい。

モルジーは中央区に店を構える商人一家で、主に食品や輸入雑貨を扱っているとのこと。
娘のミトラは、モルジーの仕事を手伝いながら冒険者になるべく修行中だという。
僕が冒険者ギルドに登録したいと伝えると、後でギルドまで連れて行ってくれると話す。
彼女はいつの間にか僕に対する警戒心は取れてしまったようだ。

幸いにも魔獣と遭遇することなく、ウメーディの街へと着いた。

ウメーディの街は強固な壁に囲まれた巨大な都市のようだ。
街に入るには東西南北に設置された門を通らなければならない。
その門の前にはそれぞれ警備兵がいるというのだ。

門の前に到着すると、背の高い警備兵が僕たちが乗る馬車へと向かってきた。

馬車の窓から顔を出すモルジー。
通行許可書のようなものをカバンから取り出した。

「これはモルジーさん、いつもご苦労様です。本日も食材の搬入ですか?」

警備兵は親し気にモルジーさんに話しかける。
どうやらモルジーという男は、有名な商人らしい。

「では、簡単に馬車の中もチェックしますね。今回もお嬢さんと護衛の方かな?」

警備兵は馬車のドアをゆっくりと開けた。

「うぉっ!」

警備兵が驚くのも無理はない。
ドアを開けると見慣れない恰好をした、トラ顔マスクの男が座っているのだ。
動揺を隠せない警備兵、思わずその場に尻もちをついてしまった。

「モ、モルジーさん、彼?は一体……?」
倒れながらも、モルジーに質問する警備兵。
若干声も震えているようだ。

「彼は僕の護衛だ。いつもの護衛兵が倒れてしまったので、急遽彼に頼んだんだ」

僕はちらりと前の座席に横たわっている護衛に、視線を向けた。
彼はまだ意識を失っているようだ。早期に治療が必要だろう。

「冒険者ギルドで雇った護衛は、ワイルドウルフの攻撃を受けて意識不明の重大だ。一刻も早く治療を受けさせないと危ないんだよ」

「ワイルドウルフですって!?」

警備兵の声のトーンは急に高くなった。
驚いた顔をしながら警備兵は立ち上がった。

「そうなんだ。私はこの後、ギルドにも報告に行かなければならない。さっ、通してくれるかな?」
「い、いや、しかし……怪しいものを通すわけには……」

警備兵は通行許可を出すのを躊躇している。

「ダントン、私たちは今急いでるんだ。わかるね?」

モルジーはカバンから何かを取り出し、ダントンと呼ばれる警備兵の手に握らせた。

賄賂だ。
モルジーは金貨を彼の手に握らせたのだ。

手を開き、握らされた物を確認したダントン。
再びモルジーの方を向き直り、大きな声で一言。

「通ってよし!」

モルジーはダントンに一礼をし、再び馬車の窓を閉めた。
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