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貴也参上!
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しおりを挟むそういや、さっき電話したらゆうみの奴、出もしなかったな……
この貴也様を無視するとは見上げた根性だ。
まったくあいつは、マジか?と叫びたくなる位鈍いし、ちょっと迫ると頭突きやらキックを股間に仕掛けてくるし……
それも、なんの躊躇もなしにだぜ?
あり得ないだろ。普通。いや、あいつは普通の女じゃ無いからな。
八頭身という、日本人には奇跡的なスタイルを持つこの貴也様の何が不満なんだよ。
親同士だって仲が良くて、ゆうみだって俺のオカンになついているじゃないか。
もし、もし、け……けけけケコーン……結婚だ入籍だ、てなったとしても、ありがちな嫁VS姑問題なんか起こらないしさ……
……こんな完璧でお買い得な俺を、あいつは一体いつまで無視する気なんだよ……
「あ――腹立つ……むちゃくちゃムカッ腹……
あり得ねえ……マジで……」
貴也は無意識に呟いていたが、目の前で黒崎に咳払いをされてハッと我にかえった。
貴也は、ビジネスバッグからクリアファイルに入った書類を取り出し黒崎のデスクに広げ掌を突いて、史上最強のどや顔を向ける。
「……契約、取って来ましたよ」
その報告に、黒崎は口角を上げてニンマリ笑い、貴也の手をガッチリと握った。
他の営業マン達も振り向き拍手する。
「おめでとうございます!」
「おめでとう萩原くん!」
「お陰さまで、なんとかオッケーを貰えました」
貴也は完璧な笑顔を皆に向けてお辞儀をする。
黒崎は嬉しそうに高らかな笑い声をあげて貴也の背中を叩いた。
「いや――流石第一営業のエースだね!
これで、今月は……目標売上げダブル達成かな?」
「いえ、五億の契約ですから、10倍達成です」
さらり、と答える貴也に皆が「おおお……」
とどよめきの声をあげた。
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