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ヒロインを助けるのは、ダレ?

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 玉子は涼やかに笑い貴也の頬に素早くキスすると、真っ赤になって跳び蹴りしてくる彼をかわし、魂の抜けたかの様なゆうみに向き直り、呼び掛けた。


「ゆうみ……僕だよ……玉子だよ……さあ、起きて……目眩く恋と快感のパラダイスに行こう」


 ゆうみの瞳は虚ろなまま、瞬きひとつしない。


「たっまっごーー!お前、またそんなふざけた事をーー!」


 貴也は目を吊り上げ、玉子の頭をポカスカ叩くが、玉子は平然と続ける。


「ゆうみの望む事をなんでもしてあげるからね……君の好きなシチュエーションを、幾らでもしてあげるーー駅の改札で待ち合わせて、やってきた君を抱き上げてクルクル回ったりとか」

「はああーー?ベッタベタだなーー!そんなの、昭和のトレンデイドラマで終わってるだろーー!」

「貴ぴー、ちょっと黙って」


 玉子は静かに微笑むが、妙な迫力があり、貴也は黙った。


 





 玉子はまるで天使の溜め息かのような(いや、そんなもん見たことないが)小さく愛らしい呼吸をひとつすると、ゆうみの左手の薬指にそっと触れた。すると、細い光の環が現れ、それは回転しながら徐々に具体的な形となっていきーー

 貴也はその不思議な光景を口を開け暫しぼおっと眺めていたが、はたと我にかえって叫ぶ。



「たっ!玉子!お前、ゆうみに指輪嵌めようとしてんのかよっ!」

「あ、バレちゃった?婚約指環……っていうんだよね、こういうの」

「こ、こんにゃくーー?じゃないっ!こんやくだってーーっ!」

「貴ぴー、だからちょっと静かに……今大事なとこだから」

「これが静かにしてられるか!なんでお前がゆうみと婚約するんだよーー!」

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