Love adventure[改稿版]

ペコリーヌ☆パフェ

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変わったのは

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 その夜は、普段飲まないワインを開けて酔っ払て、ベッドにも入らず眠ってしまい、クレッシェンドのライヴの長い夢を見た。
 ホールには、ほなみだけ。
 ステージの上の西本祐樹は、彼女を見つめ、ピアノを奏で歌っていた。
 何曲か演奏をすると、彼はステージをひらりと飛び降り、手を差し出す。

「おいで……僕と踊ろう」

 ほなみは、ときめきを隠せないまま、頬を熱くして右手を差し出す。
 彼はほほ笑み、ほなみの手を優しく取り、ホールの真ん中まで連れていく。
 天井のミラーボールがまわり、無数の光の粒子がふたりをキラキラと照らしている。
 メンバーが演奏する中、西本にリードされ、ほなみはステップを踏む。
 慣れないほなみはよろめき、彼の腕に支えられた。


 「……ごめんなさい」
「……しっかり僕につかまって」

 西本が、ぐいっと腰を引き寄せ、ふたりの身体が密着する。
 すぐ目の前に彼の唇があり、ほなみは知らず知らずのうちに緊張していたようだ。
 ほなみの足がもつれてしまい、タイミングが合わなくなり今度は西本がよろめく。
 慌てて彼を支えると、息がかかる程の距離まで近付いた。
 ふたりは暫し見つめ合った。
 われに返り、ほなみは離れようとするが、再び引き寄せられる。顎をつかまれ上を向かせられ、西本のサラサラした前髪が頬にかかった。
 思わず目を閉じた時。



「ほなみ。お前は誰の妻なんだ?」

 智也の声が聞こえ、ほなみは弾かれるように西本から離れる。
 いつの間にか、西本の姿は智也その人に変わっていた。
 ゆっくり近づいてくる智也を、ほなみは心臓がバクバク音を立てているのを感じながら見つめる。

「……もう一度聞く。お前は誰の妻だ」

 ほなみは後ずさる。
 智也は、相変わらず表情を変えない。

「お前は、俺の女(妻)だ!!」

 智也が鋭い声を放ったその時、ほなみは夢から醒めた。
 俯せになったまま眠っていたため、床に散乱した自分の脱ぎ捨てた服や、転がったワインのボトルが視界に入り、うんざりしてため息を吐いた。


 
 服を拾い集め洗濯機に放り込み、部屋のブラインドを開ける。

 「よいお天気……」

 ぽつり、とひとりごちたが、ほなみは浮かない顔だ。
 大通りには車やバイクが行き交い、歩道では人々が忙しそうに歩いている。いつもの特別でもなんでもない光景だが、今日はいつもと違うような気がする。
 部屋の時計を見ると10時を過ぎていて一瞬慌てたが、寝坊したとしても、特に困るような事などない、と気付き、渇いた笑いをこぼした。
 窓を拭きながら、マンションの筋向かいの"calling"をちらりと見た。
 今夜、他のミュージシャンがライヴをするのだろうか。
 もう"クレッシェンド"がそこに居ないと思うと、胸に穴が空いたような気持ちになる。
 パソコンを開くと珍しく智也からメールが届いていた。
 今朝おかしな夢を見たせいか、このタイミングだと何だか後ろめたい。

 "お元気ですか。昨日は、記念日だったのにメールも出来なくてすみません。
 近いうちに日本へ少し帰ります。また連絡します。  智也より"

 2月14日が記念日だという事を覚えていたのも驚きだが"近いうちに日本へ帰る"という事にさらに驚いた。

 智也の言う"近いうち""もうすぐ"は当てにならないが。
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