Love adventure[改稿版]

ペコリーヌ☆パフェ

文字の大きさ
12 / 75
秘めておくべき想い

しおりを挟む
「よかったら皆さんでどうぞ」

 ほなみは、三広に包みを渡す。

「すげー!手作りっぽい!」

  三広が目を輝かせ小躍りすると、亮介も寄って来た。

「おお……ほなみちゃん、ありがとう!……大、お前もちゃんと礼を言えよ?」

 野村はよほど眠いのか、壁にもたれて動かない。
 西本がまた寄ってきて強引に肩を抱き寄せ、ほなみの心臓が跳ね上がった。

「……は、はなして」

 抗議するが、ドキドキし過ぎてつぶやくようにしか声が出ない。
 伝わってくる彼の体温や、繊細な指に肩を抱き締められている感触が、思考回路と脳神経の伝達を狂わせているのだろうか。
 自分の意志で身体を動かすことができない。

「ほなみ」

 名前を呼ばれ頭の中が真っ白になる。

「昨日のチョコ、すっげーうまかった」
「そ、そうですか?良かった」
「良くない」
「えっ?」

 西本は、ほなみの顎をつかみ、顔を近づけて拗ねたように「……大嫌いって言われちゃったしな……」と消え入るようにささやき、ほなみの胸に顔をぽすん、と埋めた。

「きゃっ」
「お――い!祐樹――!セクハラの度が過ぎてるぞ!」

 三広が両手で顔を覆いわめいた。

「そうだそうだ。本当にいい加減にしとけ!ほなみちゃんが怖がってライブに来てくれなくなるぞ!」

 亮介が西本を引っぺがしてくれて、ほなみはようやく自由になる。
 思わず大きく息を吐き出すと、既にチョコレートをもぐもぐ食べていた浜田が突然叫ぶ。

「はっ!?そういえば、これは本命チョコを含むのかい!?」

 その場に居た全員に一斉に注目され、ほなみは逃げ出したくなった。

「俺らの中の推しメンは誰なん?ねえねえ!」

 三広が大きな目を輝かせた。

「……つまり本命チョコは、この中の誰か宛てという事だよね?……俺もそれは聞きたいな」

 亮介が、真剣な眼差しでほなみを見る。


 野村も半分寝ぼけた顔でほなみを見ている。
 西本はニヤニヤしながら、見せ付けるように自分の唇を指でなぞる。
 昨日のキスを思い出せ――とでも言いたいのだろうか?
 頬が真っ赤になっている様な気がしてほなみは頬を押さえた。
 彼の顔をまともに見れそうにない。

「ほなみちゃーん!俺はダメだよ!一応奥さんがいるからね!?……いやあ……参るなあ……俺に惚れても何にもならないよ?
 ほなみちゃんは若いし、もっと相応しい男がいる!若くて、将来性のある美しい男……
そう、クレッシェンドのメンバーのように!
 さあっ!誰が好きなのかなっ!?打ち明けてごらんっ」

 浜田はひとりで盛り上がり感極まり、ひと通り喋ると、最後に無茶振りをしてきた。

「えっと……その」

 口から心臓が飛び出そうにドキドキしながら、ちらりと西本を見ると目が合ってしまい、慌てて顔を逸らした。

「私……」

 ――西君が好きです。西君へのチョコが本命なんです。

 心の中でそう叫びながら、ほなみの口からは、こんな言葉が出ていた。





「……秘密、です」





 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...