68 / 75
愛しい奏で
②
しおりを挟む
『どこにいても何をしていてもクレッシェンドの、西君を応援してるよ。頑張ってね』
優しく、残酷な別れの言葉を残し、彼女達は彼から通りすぎていった。
どんなに心を尽くしてその子を思っても、自分は『ただひとりの人』に選ばれる
ことはない――
そう悟った時から、自分の中での恋愛に対する姿勢が変わった。
――ひと時の甘い思いや快感を楽しめれば良い。永遠に続くわけがないのだから――
と。
度々ファンに手を出してはすぐに別れる西本祐樹に、メンバーは呆れていたし、マネージャーの綾波も彼に散々釘を刺していた。
「祐樹。円満に別れてるなら結構だが、ファンにこれ以上手をつけるのはマズいぞ。執念深い女だったら血を見るからな。お前は一般人ではないんだ。メンバーやバンドのイメージ、レーベルにもお前の一挙手一投足が影響を及ぼす事を常に頭に入れておけ。
女が欲しいなら適当なのを見繕うぞ。どんな女がいいんだ?あ?」
ライブ後の楽屋で説教する綾波に、カッとなり胸倉を掴んだ時、スタッフの呼ぶ声がした。
「サインお願いしまーす」
「――はい」
西本は綾波から手を離し、反射的に返事をする。
「サインか?俺も行ってやろうか」
「お前みたいな悪人面が居たらファンが怖がる。絶対来るな」
凄むと、綾波は肩を竦めニヤリと笑った。
――クレッシェンドは、世間的には爽やかなイメージで認知されている。
可愛くてドリーミーな歌詞、華やかなメロディー。
若くて爽やかで元気なメンバーが揃っていて、女子中高校生を中心に大人気――らしい。
背を向け乱暴にドアを閉めて、西本はフッと笑った。
――何が爽やかだ。俺の考えている事も、している事もちっとも爽やかなんかじゃない。ごく当たり前の男の行動パターンを繰り返しているに過ぎないのに。
鏡の前に向き直り笑ってみる。
とりあえず今は、世間のイメージ通りの
『爽やかな西君』としてファンに接してひと時の夢を見て貰えばいい。
自分にそう言い聞かせ、ファンが待つ奥の楽屋へ向かう。
そこに彼女、ほなみが居た。
優しく、残酷な別れの言葉を残し、彼女達は彼から通りすぎていった。
どんなに心を尽くしてその子を思っても、自分は『ただひとりの人』に選ばれる
ことはない――
そう悟った時から、自分の中での恋愛に対する姿勢が変わった。
――ひと時の甘い思いや快感を楽しめれば良い。永遠に続くわけがないのだから――
と。
度々ファンに手を出してはすぐに別れる西本祐樹に、メンバーは呆れていたし、マネージャーの綾波も彼に散々釘を刺していた。
「祐樹。円満に別れてるなら結構だが、ファンにこれ以上手をつけるのはマズいぞ。執念深い女だったら血を見るからな。お前は一般人ではないんだ。メンバーやバンドのイメージ、レーベルにもお前の一挙手一投足が影響を及ぼす事を常に頭に入れておけ。
女が欲しいなら適当なのを見繕うぞ。どんな女がいいんだ?あ?」
ライブ後の楽屋で説教する綾波に、カッとなり胸倉を掴んだ時、スタッフの呼ぶ声がした。
「サインお願いしまーす」
「――はい」
西本は綾波から手を離し、反射的に返事をする。
「サインか?俺も行ってやろうか」
「お前みたいな悪人面が居たらファンが怖がる。絶対来るな」
凄むと、綾波は肩を竦めニヤリと笑った。
――クレッシェンドは、世間的には爽やかなイメージで認知されている。
可愛くてドリーミーな歌詞、華やかなメロディー。
若くて爽やかで元気なメンバーが揃っていて、女子中高校生を中心に大人気――らしい。
背を向け乱暴にドアを閉めて、西本はフッと笑った。
――何が爽やかだ。俺の考えている事も、している事もちっとも爽やかなんかじゃない。ごく当たり前の男の行動パターンを繰り返しているに過ぎないのに。
鏡の前に向き直り笑ってみる。
とりあえず今は、世間のイメージ通りの
『爽やかな西君』としてファンに接してひと時の夢を見て貰えばいい。
自分にそう言い聞かせ、ファンが待つ奥の楽屋へ向かう。
そこに彼女、ほなみが居た。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)
MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。
しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。
母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。
その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。
純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。
交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる