呼んで無いのに現れて――嵐を呼ぶ変態魔法使い~夢を叶えて?ペコリーヌ。△。)⊃ー☆

ペコリーヌ☆パフェ

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君は旋律(恋)を奏でた 君は旋律(戦慄)を撒いた

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Callingの前にある自販機のコーラのボタンを押すと、賑やかな電子音が鳴った。



「うわっ!当たった!当たったよ勇人君!凄――い!初めて見た――!」


茜が跳び跳ねて喜ぶ。


「∪。△。)むむ!?何だかチカチカピカピカしているぞ!何だこれは!何か飛び出すのか!?」


「まあ……自販機はジュースが飛び出て来る機械だから」



「つまりボタンを押すと何か飛び出すのか!。△。)。△。)素晴らしいぬら!」



「ハヤト!サッサトボタン押セ!このグズメ――!」


ジャムが僕の頭をバシバシ叩いて喚く。



「いたいっいたい!何でこんな痛いの!?」



茜が背伸びして僕の頭を見て目を輝かせた。



「ジャムちゃん、スコップ持ってる~!小ちゃくて可愛い~!欲しいなあ~何処で売ってるの?」



「可愛くない!痛いの!」


僕は絶叫した。




「∪。△。)早くボタンを押せ勇人!」



「うう……何にしようっ」


「。△。)。△。)そんなに悩む事なのか?すっぱり決めちゃいなYO☆
決断力のない男には人生の春は永遠に訪れないぞ――!グズめ!」



「ソーダソーダ!時間ノムダムダムダ―!オ前の人生八割が迷ッテイルムダナ時間ダロウ!GUZU!」



「そ、そこまで言わなくてもいいじゃないか――!」




「。△。)⊃ええい!お前が押さないならわたくしが押してやる――!スイッチオン!」



ペコリーヌはスティッキで何かのボタンをバシッと押した。




「ちょ……よりによってホット汁粉――!?」



熱々の缶を手に叫ぶ僕をよそに、コーラのペットボトルをちゃっかりペコリーヌは開けている。




「ちょ――!僕のコーラ!」


「。△。)おお!何だこの何とも言えぬ清涼感と飲むと同時に沸き上がるパッション!」


ジャムはペットボトルの中に入り込みゴクゴク飲んでいる。


呆然とする僕に、茜がニッコリ笑った。



「勇人君、私奢るからもう一本買お?」



「えっ……えっそんな悪いよっ」



「楽屋招待当ててくれたお礼!……て、安すぎだね」


茜がコーラを買って手渡して来る。



「いや、いやそんな事ないよ!あ、あありがとっ……ヒイッ」



受け取る時、微かに手に触れてしまった。




「あ……ゴメンね触っちゃった」



茜が僅かに頬を赤らめて笑った。





ちゅど――ん!!


エレクトリカルパレードどころの騒ぎじゃない!第九交響曲がフルオーケストラで鳴り始めた!

青春万歳!
生きてて良かった――!


一気に百花繚乱の春が訪れた錯覚を起こした時、ジャムに口からブシューとコーラを浴びせられ鼻や気管に入り込み僕は激しく咳き込んだ。





「ぶへえ――!な、何すんだ――!」



「ダッテコンナニ飲ミキレナイ――!」



「限度を考えて飲まなきゃダメでしょ――!もうっ!」



茜がタオルで顔を拭いてくれて、僕はへどもどする。




「あ、あ、あありがと」



「風邪引いたら大変だもんね」



「ヒューヒュー。△。)」


「ヒューヒュー!」



ペコリーヌとジャムが緑に目を光らせて冷やかしてくる。




「だ――っ!うるさ――い!」


「∪。△。)⊃ヒャヒャヒャ――勇人が怒った――」
「コワイコワイ――キャハハハ」


ペコリーヌとジャムは僕の頭上を飛び回る。



「……」



怒る気力を無くし顔をひきつらせていると、スタッフが整理番号を呼び始めた。




「えっもうそんな時間!?」


「うわあ~いよいよだね!」


「∪。△。)いよいよだな勇人!頑張れよ!」



「ガンバレヨハヤト――!」



別に頑張る事なんかないだろう……



曖昧に笑い返すと、僕達の番号が呼ばれた。




ジャムはシャツの胸ポケットに入って澄ました顔をしている。
まるで縫いぐるみみたいだ。
いや、縫いぐるみだけど……




ドリンクを受け取った僕らは前のセンターを陣取る。


割と若い整理番号だった為、かなり近い場所を取れた。



「きゃあ~手を伸ばしたら触れちゃうね!……私、さっき握手したけど、また触りたい~!」



「ハハハ……だよね」



「∪。△。)そうぬらね!」



「――!?」


当たり前の様に隣に居るペコリーヌにギョッとする。



「ペ子ちゃん!楽しみだよね~!ペ子ちゃんはメンバーの誰が好き~?」




「∪。△。)⊃そうぬらね……わたくしはドラムの小さい奴にする。つついたら脅えて泣き出しそうな小鹿みたいな弱さが良いのう☆遊ぶには持って来いの生け贄ぬら」



「生け贄違う――!て!ペコリーヌ!お前チケットは!?」



「。△。)ふふふ。このペコリーヌには出来ぬ事は無いかも知れないのら。いや、出来ぬ事は滅多にないのら――!ほーっほほほ」



「うふふふ!ペ子ちゃんて面白い~」




僕は絶句するが、ペコリーヌと茜は楽しそうにキャピキャピ笑っている。




「い、痛え――っ」



突然ビーチクに鋭い痛みを覚え悲鳴を上げる。



ジャムが、噛みついているし!




「い、いてイテイテ――!離せ――!」



ジャムはつまらなそうに突然口を離した。



「ナンダ。ハヤトの乳はドンナ味ガスルカト思ッタラ……タダノ乳ジャナイカ。ケっ」




「ケっ!じゃねえよ!お前は頭の毛を抜いたり睫毛を抜いた上に乳も搾り取ろうとするのか――!
本当に怒るからねっ!」




ジャムは上目遣いでうるうると僕を見つめる。



「うっ……その顔はやめろ――!」



「゜▽゜)勇人。ジャムを泣かせるとまた大変だぞ」


「ひいっ!ジャム、泣かないで泣かないで――!」



小さな頭を指で撫でると、ジャムの目が突然緑の閃光を放つ。




「ぎゃあっ何!?」




「ハヤト!オ前ニ訪レル試練ガ判明シタゾ!」



「ええっ?」



突然会場の明かりが落とされ、観客は狂喜する。
ステージが明るく照らされてドラムの根本が現れると、黄色い声と拍手が起こる。



「。△。)⊃現れたな!生け贄――!」


「止めなさいペコリーヌっ!メンバーは生け贄違う!!」



「キャア――!」



ジャムに耳元で叫ばれた。
止めてよっ!




手拍子の中、ギター、ベースのメンバーが登場して前奏を掻き鳴らす。


普段ノリの悪い僕でも流石にテンションが上がってきた。



「そうだ!ジャム!試練て何さ――?」



肩に乗るジャムに話し掛けた時、会場中から凄まじい黄色い歓声が上がった。



「キャアアアアア!西く――ん!」

「西くん――!」

「西くんカッコイイ――!」



ステージ中央に『クレッシェンド』ピアノボーカルの爽やかイケメン、西本祐樹(にしもとゆうき)が現れたのだ。




「西くん」は客席に向かい優雅に、恭しく礼をするとニコッと笑って見せた。




その瞬間、身体中が熱くなった。



「――!?なんだ?今……」



「西くん」がピアノの前に立ち、華やかなアルペジオを奏で始めると会場の客の沢山の手がステージに向かって突き出される。


茜もペコリーヌも楽しそうに手を突き出してノリノリだ。



「西くん」は鍵盤から一瞬目を離してこちら側を向くと一言

「ようこそ!」と言い放ち、歌い始める。



バクバクバクバク


さっきから、身体の中から音がするし、汗が半端ないんだが。何なんだこれは!?




「西くん」は鮮やかにリズミックに鍵盤を鳴らしながら歌う。




「西くん」を見ていると苦しい!?
何故だ――!



顔がこっちを向くと心臓が跳ねて、嬉しくて切ない……
ちょ待て……これじゃまるで……



ジャムが、つつつ、と耳元に口を寄せてきた。



「試練ハ恋ノ試練ダヨ。許サレナイ恋~ヒヒヒ~!」



「な――――っ!?」



すっとん狂な叫びに驚いたのか「西くん」が目を丸くしてこっちを見た。



どっきーん!!!




『君は恋(旋律)を奏でた  君は恋(旋律)を撒いた』




恋……恋……恋……て

ウッソだろ――!


僕はストレートなんだ――!

誰か、嘘だと言ってくれえ――っ








勇人の叫びは、ライヴの轟音に掻き消されたのであった……
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