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君は残酷な愛の天使
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先程までシーツを掴んでいた指が、悩ましく腰に絡み付く。
もう何度目だろうか。
欲情のまま、欲しがるままに二人は抱き合った。
ただ、ほなみは今の智也を見ていなかった。
抱かれながら他の幻を夢見ているのだ。
高校生の頃の智也なのか、西本祐樹なのか――
初めてほなみを抱いた夜の記憶を辿れば、様々な想いや情景が今でも甦る。
あの夜、確かにほなみはいつもと様子が違っていた。
涙を溜めて、見つめる瞳には熱がこもっていた。
あの瞬間だけは、ほなみの心は智也にあったのかも知れない。
だが突き放したのは、他ならぬ智也だ。
それは悔やんでも取り戻せない。
「もっと……突いてっ……」
しがみつき、淫らにねだるほなみに口付けながら、際限なく沸き上がる欲望を腰に打ち付けた。
蕾はトロトロに蕩けながら智也の幹を包み込み、千切れんばかりに締め上げて来る。
「くっ……奴に……こんな風に変えられたのか……お前は……っ」
今まで見た事もない程の甘く妖艶に乱れる姿に魅了されながら、一方では西本祐樹に激しい憎しみが沸き上がる。
――奴は何度この身体を抱いたのだ。
何度ほなみを甘く叫ばせたのだ。
怒りと嫉妬と共に強烈な情欲で身体中が苛まれ、堪らず智也はそれを目の前の愛しいほなみにぶつける。
「ああっ智也……!」
「――ほなみっ」
ほなみは、意識が混濁していて、智也と西本の名前を交互に呼んだりした。
智也、とその唇から漏れる度に涙が出そうな幸福を感じたが、西本の名前を叫ばれた時は心が地獄に突き落とされる。
だがもう一度、もう一度だけ呼んで欲しいと狂おしく願い、何度も彼女の身体を貪った。
――いつか、これは終わる事なのに。
終わらせたくなかった。
幼い頃からずっと焦がれ、欲しかった。
今腕の中に抱き締めて居るのに、甘く喘がせているのに、行為を繰り返せば繰り返すほどほなみが遠くなる気がした。
――けれと、今こうせずに居られない。
まるで地獄だ。
突然ほなみが身体を起こし、智也の頭を掴み唇を塞いだ。
「――っ」
「ん……んっ」
「ほなみっ……」
智也もほなみの舌の動きに応え、お互いに狂ったように唇や咥内を貪り合った。
「何……考え……てるの?ともや……」
唇が離れた時、潤む目でほなみは聞いた。
「……ほなみの事しか……考えてない……」
「ともや……」
智也は、濡れた蕾と熱い幹を繋げたまま、微笑むその唇を塞ぎながら動きを繰り返す。
寄せては返す波の様に快感が押し寄せ、何もかもが浚われそうだ。
「愛して……る」
「あっ……はっ……やんっ」
揺れる膨らみを掴み揉みしだくとほなみは逝きかけた。
「誰にも……やるものか……っ」
脚をぐいと拡げ、大きく激しく打ち付ける度に水音が部屋に響く。
「あっ……あっ……凄い……っ」
「――渡さない!西本には……っ」
昂る気持ちと、快感が同時に昇り詰め、獣は更に中で大きく熱くなり限界を迎えようとしていた。
それはほなみもだった。
だが、その目に違う色が一瞬宿る。
「にし……くん……」
ほなみの呟きに、智也はカッと熱くなり一層激しく腰を動かした。
「西本の事は……言うな――!」
「んっ……
に、し、く……ん……?」
「――くっ!」
獣はほなみの中で激しく爆ぜ、ドクドクと流れ出す。
「くっ……はっ……」
その快感に震えながら、頬に口付けようとするが、ほなみの表情が一変していた。
「智也……」
とろんと潤み、うつろだった目には光が戻り、その奥底には恐怖が宿っている。
視線をさ迷わせ、ホテルの部屋を見渡し、また智也に視線を戻すとほなみは微かに震え始めた。
「……ここは……?」
ほなみは明らかに狼狽していた。
――ああ、もう、あの夜の君は何処かへ行ってしまった。
熱く蕩ける眼差しで見つめていた色はもう跡形も無く消え去り、只怯えて智也を見ていた。
つい先程まで首や背中に甘くまとわりつき、時にはたぎる幹を愛したその手は、自分の身体を隠すように、智也から逃れるように胸を覆っている。
智也が手を伸ばすと、ほなみは弾かれたようにビクリと震え、顔を逸らした。
「――そんなに、それ程までに俺が怖いのか……?」
「……っ……こ、来ない……でっ」
ほなみは一杯にその目に涙を溜め、ベッドの上を後ずさり、シーツを掴み身体を隠した。
智也の胸に大きく風穴が開き、耐え難い痛みで胸が潰れそうになる。
「……離さない……」
智也は低く呟くと、ほなみの身体を覆うシーツを剥ぎ取り、布を裂く様なほなみの悲鳴を聞きながら、智也は彼女を組み敷いた。
顎を掴み、こちらを無理矢理向かせると、紅い唇が震えている。
「……何故俺を見ない」
小刻みに震える睫毛から覗く瞳からは涙が溢れそうになっていた。
「今まで俺と何をしていたか……
わかるか?」
「あんっ!」
乳房を強く掴むと、幹がむくむくと狂暴に反り勃ってくる。
「やめ……やめて」
ほなみは泣きながら首を振るが、智也は巧みに膨らみを揉みしだきながら、舌を這わせ、再びその身体に突き刺してやろうと獣をたぎらせた。
「何度も俺にイカされた癖に……
何が……止めて、なんだ……え?」
「知らない……
そんなのっ……わからな……あんっ」
ほなみの耳朶に舌を遊ばせると、白い太股には淫らな蜜が伝う。
智也はそれを指で掬い、太股に押し広げた。
「こんなに溢れてるだろ……
奴にヤられてる時にも……こうなるのか?」
「――っ」
顔を背けていたほなみは、弾かれた様に智也を振り返り、唇を噛み締めて睨む。
その唇を摘まみ、そっとなぶりながら智也は顔を近付けた。
「奴にも……俺にも……
こんな風になるなんて……
淫乱な女だな」
ほなみは手を振り上げ、智也の頬を叩こうとするが、素早くその手を掴む。
「まだ震えてるぞ……」
「ひっ……く」
「……泣くな」
智也は、しゃくり上げ出したほなみの頬に口付けた。
「私……っ」
抵抗するように細い腕で胸を押し、途切れ途切れに何か言おうとする。
別れの意思を伝えようとしているのだろうか。
「――言わせるものか……!」
唇を激しく吸い、長く長く咥内を掻き回した。
ほなみが息が出来ない程に強く抱き締めながら。
「んっ……んっ!」
苦しいのだろう。
僅かに動かせるのは指先だけだ。
このまま腕の中でバラバラに砕いてしまおうかとさえ、智也は思った。
「智……やっ」
耳元の小さな叫びが、また智也に火を点けた。
首筋に噛みつくように吸い付き、徴をいくつも刻むと、ほなみは身を捩らせて泣いた。
「やめ……やめて」
「お前は俺の物のだ……
好きに抱く」
「やあっ」
「さっきまで散々よがっていたじゃないか……え?」
「――!」
ほなみは絶望的な表情をしていた。
その顔を見て又、胸がズタズタに裂かれる。
「こんなに苦しいのは……
お前のせいだ……
お前の――!」
智也が叫び、白い太股を乱暴に掴み一気に開かせると、ほなみは悲痛な声を上げたが、言葉や態度とはうらはらに濡れた蕾や花弁が強烈に誘っていた。
「ダメ……!おねが……い」
「狂うまで抱いてやる」
「やだっ……!」
智也は顔を埋め、蕾の中へと舌を差し入れた。
ほなみは弾かれるようにビクリと身体じゅうを震わせ、太股をさする智也の腕を、白い指でぎゅっと掴んだ。
白い滑らかな肌を愛撫しながら、蕾を舐め廻すと途端に甘い蜜が溢れ出す。
「やあっ……智也っ……いやっ!やめて……!」
言葉で拒否する毎に蕾はピクピクと動き、蜜の甘さが増す。
太股を撫でていた指をつつ、と移動して舌と共に溢れる蕾の中へと割り込ませた。
「ひっ――!」
絶頂の時の様な叫びを上げたほなみは、いつの間にかシーツを両手で掴み、抵抗を忘れている。
思わず智也はニヤリと笑っていた。
……もっと狂え。
このまま跡形もなく快感に呑み込まれて、西本の事など消してやる――
「あ、あああ!」
舌と指の動きを速めると、止めどなく蜜は溢れて智也の指を濡らす。
指を引き抜き、それをほなみに見せつけてやる。
ほなみは息を乱し身体を震わせ、まだ愛撫が欲しいとでも言うように、腰を僅かに動かしていた。
「……またこんなに溢れさせて……
厭らしい身体だ……」
「……もう……赦し……て」
ほなみは涙を流し懇願して、脚を閉じようとする。
「――まだだ」
智也は再び脚を開かせ、猛った幹を蕾の入口に宛がった。
ほなみは悲鳴を上げるが、その場所は侵入を待ち望んでいたかの様に吸い付いて来て、智也は快感で息を止めた。
「くっ……凄い……」
「やああっ」
「……存分に叫べ……」
「んあっ!」
「うっ……くっ」
一気に奥まで突き刺すと、ぎゅうっとほなみに締め付けられ、爆ぜそうになる。
イきそうになるのをこらえて何秒間か動きを止め、ほなみに深い口付けをする。
動かしていないのに更に締められて、口付けながら智也は呻いた。
「ふ……くっ……」
「……ん……んん」
動かずに居るのが耐えきれなくなり、激しくほなみを揺らし始めると、ギシギシと音を立てるベッドの上の白い美しい乳房が波を打ち、智也の欲望を更に煽った。
指で円を描く様にまさぐりながら突起も摘まむ。
その度に溢れて締め上げられ、ほなみが叫ぶと同時に、智也の口から溜め息が漏れた。
「智也っ……私……もう」
「……なんだ……」
動きを緩やかにし、優しく口付けるか、ほなみの瞳が快感に酔いながらも強い光を宿している。
また何かを言おうとしている、と感じた智也は途端に動きを速めた。
「あっ!」
「ほなみ……っ」
速く、激しい動きにほなみは翻弄されて息が絶え絶えになる。
「……て……」
「……」
必死に喋ろうとするほなみが、何を言いたいのかはわかるが、聞く気はなかった。
片脚をぐいと思いきり上げさせ、更に深く突き刺すと、先程とは違う快感に苛まれる。
ほなみも堪えきれないとばかりに甘く叫んだ。
「……ああっ」
「愛してる……っ」
「とも……や……私は」
「――」
言いかけるその唇を塞ぎ喋れないようにする。
腰の動きは止めないまま。
ほなみは喘ぎながらも、胸を腕で必死に押しているが、力では敵わず、好きなだけ唇と身体を貪られる。
鈍い痛みが唇に走り、智也は思わず顔を上げた。
鉄の味が咥内に拡がる。
ほなみの唇は、智也の血で紅く染まっていた。
「……別れて……下さい……」
「――っ」
震える唇がその言葉を発したと同時に、智也は一層花園を壊れろと言わんばかりに打ち付けた。
「いやあっ……やめて」
「この間の電話のように……叫んでみろ」
ほなみが息を呑む。
智也は僅かに動きを緩め、顔を逸らそうとするほなみの顎を掴み向かせた。
「なんなら……
こうしてヤってる所を撮って……
西本に送り付けてやろうか……?」
「――!」
「奴も喜ぶだろうよ……ふふ」
ほなみに頬を打たれ、智也は動きを止めた。
その瞳には怒りと哀しみと、他には何の感情が籠められているのだろうか。
涙を溢れさせながらキッと睨んでいる――
「酷い……!」
「何とでも言え!」
智也はほなみを押さえつけ、再び貫いた。
「いやああっ」
「離さない……っ絶対に……くっ……」
「あっ……いやっ……」
細腰を掴み、色んな方向から突き刺すと、蕾から溢れる蜜は止まらず、智也をますます猛らせた。
「いやっ……あっ……西く……んっ」
譫言のように呟くその唇を、智也は指で塞ぐ。
「んっ……西く……助け……っ」
「――お前は俺の物だ!」
「いやあ――っ」
ほなみの絶叫を聞きながら、獣は爆ぜた。
「酷い……酷い……っ
智也なんて……大嫌い……」
ほなみは、智也の胸を叩きながらしゃくり上げる。
欲望を蕾の中へと吐き出す快感に狂いそうになりながら、智也の心は再び堕ちていった。
「酷いのはどっちだ……」
――君は、愛で俺をズタズタに切り裂いた。
一番残酷な愛という刃で俺を殺したんだ――
もう何度目だろうか。
欲情のまま、欲しがるままに二人は抱き合った。
ただ、ほなみは今の智也を見ていなかった。
抱かれながら他の幻を夢見ているのだ。
高校生の頃の智也なのか、西本祐樹なのか――
初めてほなみを抱いた夜の記憶を辿れば、様々な想いや情景が今でも甦る。
あの夜、確かにほなみはいつもと様子が違っていた。
涙を溜めて、見つめる瞳には熱がこもっていた。
あの瞬間だけは、ほなみの心は智也にあったのかも知れない。
だが突き放したのは、他ならぬ智也だ。
それは悔やんでも取り戻せない。
「もっと……突いてっ……」
しがみつき、淫らにねだるほなみに口付けながら、際限なく沸き上がる欲望を腰に打ち付けた。
蕾はトロトロに蕩けながら智也の幹を包み込み、千切れんばかりに締め上げて来る。
「くっ……奴に……こんな風に変えられたのか……お前は……っ」
今まで見た事もない程の甘く妖艶に乱れる姿に魅了されながら、一方では西本祐樹に激しい憎しみが沸き上がる。
――奴は何度この身体を抱いたのだ。
何度ほなみを甘く叫ばせたのだ。
怒りと嫉妬と共に強烈な情欲で身体中が苛まれ、堪らず智也はそれを目の前の愛しいほなみにぶつける。
「ああっ智也……!」
「――ほなみっ」
ほなみは、意識が混濁していて、智也と西本の名前を交互に呼んだりした。
智也、とその唇から漏れる度に涙が出そうな幸福を感じたが、西本の名前を叫ばれた時は心が地獄に突き落とされる。
だがもう一度、もう一度だけ呼んで欲しいと狂おしく願い、何度も彼女の身体を貪った。
――いつか、これは終わる事なのに。
終わらせたくなかった。
幼い頃からずっと焦がれ、欲しかった。
今腕の中に抱き締めて居るのに、甘く喘がせているのに、行為を繰り返せば繰り返すほどほなみが遠くなる気がした。
――けれと、今こうせずに居られない。
まるで地獄だ。
突然ほなみが身体を起こし、智也の頭を掴み唇を塞いだ。
「――っ」
「ん……んっ」
「ほなみっ……」
智也もほなみの舌の動きに応え、お互いに狂ったように唇や咥内を貪り合った。
「何……考え……てるの?ともや……」
唇が離れた時、潤む目でほなみは聞いた。
「……ほなみの事しか……考えてない……」
「ともや……」
智也は、濡れた蕾と熱い幹を繋げたまま、微笑むその唇を塞ぎながら動きを繰り返す。
寄せては返す波の様に快感が押し寄せ、何もかもが浚われそうだ。
「愛して……る」
「あっ……はっ……やんっ」
揺れる膨らみを掴み揉みしだくとほなみは逝きかけた。
「誰にも……やるものか……っ」
脚をぐいと拡げ、大きく激しく打ち付ける度に水音が部屋に響く。
「あっ……あっ……凄い……っ」
「――渡さない!西本には……っ」
昂る気持ちと、快感が同時に昇り詰め、獣は更に中で大きく熱くなり限界を迎えようとしていた。
それはほなみもだった。
だが、その目に違う色が一瞬宿る。
「にし……くん……」
ほなみの呟きに、智也はカッと熱くなり一層激しく腰を動かした。
「西本の事は……言うな――!」
「んっ……
に、し、く……ん……?」
「――くっ!」
獣はほなみの中で激しく爆ぜ、ドクドクと流れ出す。
「くっ……はっ……」
その快感に震えながら、頬に口付けようとするが、ほなみの表情が一変していた。
「智也……」
とろんと潤み、うつろだった目には光が戻り、その奥底には恐怖が宿っている。
視線をさ迷わせ、ホテルの部屋を見渡し、また智也に視線を戻すとほなみは微かに震え始めた。
「……ここは……?」
ほなみは明らかに狼狽していた。
――ああ、もう、あの夜の君は何処かへ行ってしまった。
熱く蕩ける眼差しで見つめていた色はもう跡形も無く消え去り、只怯えて智也を見ていた。
つい先程まで首や背中に甘くまとわりつき、時にはたぎる幹を愛したその手は、自分の身体を隠すように、智也から逃れるように胸を覆っている。
智也が手を伸ばすと、ほなみは弾かれたようにビクリと震え、顔を逸らした。
「――そんなに、それ程までに俺が怖いのか……?」
「……っ……こ、来ない……でっ」
ほなみは一杯にその目に涙を溜め、ベッドの上を後ずさり、シーツを掴み身体を隠した。
智也の胸に大きく風穴が開き、耐え難い痛みで胸が潰れそうになる。
「……離さない……」
智也は低く呟くと、ほなみの身体を覆うシーツを剥ぎ取り、布を裂く様なほなみの悲鳴を聞きながら、智也は彼女を組み敷いた。
顎を掴み、こちらを無理矢理向かせると、紅い唇が震えている。
「……何故俺を見ない」
小刻みに震える睫毛から覗く瞳からは涙が溢れそうになっていた。
「今まで俺と何をしていたか……
わかるか?」
「あんっ!」
乳房を強く掴むと、幹がむくむくと狂暴に反り勃ってくる。
「やめ……やめて」
ほなみは泣きながら首を振るが、智也は巧みに膨らみを揉みしだきながら、舌を這わせ、再びその身体に突き刺してやろうと獣をたぎらせた。
「何度も俺にイカされた癖に……
何が……止めて、なんだ……え?」
「知らない……
そんなのっ……わからな……あんっ」
ほなみの耳朶に舌を遊ばせると、白い太股には淫らな蜜が伝う。
智也はそれを指で掬い、太股に押し広げた。
「こんなに溢れてるだろ……
奴にヤられてる時にも……こうなるのか?」
「――っ」
顔を背けていたほなみは、弾かれた様に智也を振り返り、唇を噛み締めて睨む。
その唇を摘まみ、そっとなぶりながら智也は顔を近付けた。
「奴にも……俺にも……
こんな風になるなんて……
淫乱な女だな」
ほなみは手を振り上げ、智也の頬を叩こうとするが、素早くその手を掴む。
「まだ震えてるぞ……」
「ひっ……く」
「……泣くな」
智也は、しゃくり上げ出したほなみの頬に口付けた。
「私……っ」
抵抗するように細い腕で胸を押し、途切れ途切れに何か言おうとする。
別れの意思を伝えようとしているのだろうか。
「――言わせるものか……!」
唇を激しく吸い、長く長く咥内を掻き回した。
ほなみが息が出来ない程に強く抱き締めながら。
「んっ……んっ!」
苦しいのだろう。
僅かに動かせるのは指先だけだ。
このまま腕の中でバラバラに砕いてしまおうかとさえ、智也は思った。
「智……やっ」
耳元の小さな叫びが、また智也に火を点けた。
首筋に噛みつくように吸い付き、徴をいくつも刻むと、ほなみは身を捩らせて泣いた。
「やめ……やめて」
「お前は俺の物のだ……
好きに抱く」
「やあっ」
「さっきまで散々よがっていたじゃないか……え?」
「――!」
ほなみは絶望的な表情をしていた。
その顔を見て又、胸がズタズタに裂かれる。
「こんなに苦しいのは……
お前のせいだ……
お前の――!」
智也が叫び、白い太股を乱暴に掴み一気に開かせると、ほなみは悲痛な声を上げたが、言葉や態度とはうらはらに濡れた蕾や花弁が強烈に誘っていた。
「ダメ……!おねが……い」
「狂うまで抱いてやる」
「やだっ……!」
智也は顔を埋め、蕾の中へと舌を差し入れた。
ほなみは弾かれるようにビクリと身体じゅうを震わせ、太股をさする智也の腕を、白い指でぎゅっと掴んだ。
白い滑らかな肌を愛撫しながら、蕾を舐め廻すと途端に甘い蜜が溢れ出す。
「やあっ……智也っ……いやっ!やめて……!」
言葉で拒否する毎に蕾はピクピクと動き、蜜の甘さが増す。
太股を撫でていた指をつつ、と移動して舌と共に溢れる蕾の中へと割り込ませた。
「ひっ――!」
絶頂の時の様な叫びを上げたほなみは、いつの間にかシーツを両手で掴み、抵抗を忘れている。
思わず智也はニヤリと笑っていた。
……もっと狂え。
このまま跡形もなく快感に呑み込まれて、西本の事など消してやる――
「あ、あああ!」
舌と指の動きを速めると、止めどなく蜜は溢れて智也の指を濡らす。
指を引き抜き、それをほなみに見せつけてやる。
ほなみは息を乱し身体を震わせ、まだ愛撫が欲しいとでも言うように、腰を僅かに動かしていた。
「……またこんなに溢れさせて……
厭らしい身体だ……」
「……もう……赦し……て」
ほなみは涙を流し懇願して、脚を閉じようとする。
「――まだだ」
智也は再び脚を開かせ、猛った幹を蕾の入口に宛がった。
ほなみは悲鳴を上げるが、その場所は侵入を待ち望んでいたかの様に吸い付いて来て、智也は快感で息を止めた。
「くっ……凄い……」
「やああっ」
「……存分に叫べ……」
「んあっ!」
「うっ……くっ」
一気に奥まで突き刺すと、ぎゅうっとほなみに締め付けられ、爆ぜそうになる。
イきそうになるのをこらえて何秒間か動きを止め、ほなみに深い口付けをする。
動かしていないのに更に締められて、口付けながら智也は呻いた。
「ふ……くっ……」
「……ん……んん」
動かずに居るのが耐えきれなくなり、激しくほなみを揺らし始めると、ギシギシと音を立てるベッドの上の白い美しい乳房が波を打ち、智也の欲望を更に煽った。
指で円を描く様にまさぐりながら突起も摘まむ。
その度に溢れて締め上げられ、ほなみが叫ぶと同時に、智也の口から溜め息が漏れた。
「智也っ……私……もう」
「……なんだ……」
動きを緩やかにし、優しく口付けるか、ほなみの瞳が快感に酔いながらも強い光を宿している。
また何かを言おうとしている、と感じた智也は途端に動きを速めた。
「あっ!」
「ほなみ……っ」
速く、激しい動きにほなみは翻弄されて息が絶え絶えになる。
「……て……」
「……」
必死に喋ろうとするほなみが、何を言いたいのかはわかるが、聞く気はなかった。
片脚をぐいと思いきり上げさせ、更に深く突き刺すと、先程とは違う快感に苛まれる。
ほなみも堪えきれないとばかりに甘く叫んだ。
「……ああっ」
「愛してる……っ」
「とも……や……私は」
「――」
言いかけるその唇を塞ぎ喋れないようにする。
腰の動きは止めないまま。
ほなみは喘ぎながらも、胸を腕で必死に押しているが、力では敵わず、好きなだけ唇と身体を貪られる。
鈍い痛みが唇に走り、智也は思わず顔を上げた。
鉄の味が咥内に拡がる。
ほなみの唇は、智也の血で紅く染まっていた。
「……別れて……下さい……」
「――っ」
震える唇がその言葉を発したと同時に、智也は一層花園を壊れろと言わんばかりに打ち付けた。
「いやあっ……やめて」
「この間の電話のように……叫んでみろ」
ほなみが息を呑む。
智也は僅かに動きを緩め、顔を逸らそうとするほなみの顎を掴み向かせた。
「なんなら……
こうしてヤってる所を撮って……
西本に送り付けてやろうか……?」
「――!」
「奴も喜ぶだろうよ……ふふ」
ほなみに頬を打たれ、智也は動きを止めた。
その瞳には怒りと哀しみと、他には何の感情が籠められているのだろうか。
涙を溢れさせながらキッと睨んでいる――
「酷い……!」
「何とでも言え!」
智也はほなみを押さえつけ、再び貫いた。
「いやああっ」
「離さない……っ絶対に……くっ……」
「あっ……いやっ……」
細腰を掴み、色んな方向から突き刺すと、蕾から溢れる蜜は止まらず、智也をますます猛らせた。
「いやっ……あっ……西く……んっ」
譫言のように呟くその唇を、智也は指で塞ぐ。
「んっ……西く……助け……っ」
「――お前は俺の物だ!」
「いやあ――っ」
ほなみの絶叫を聞きながら、獣は爆ぜた。
「酷い……酷い……っ
智也なんて……大嫌い……」
ほなみは、智也の胸を叩きながらしゃくり上げる。
欲望を蕾の中へと吐き出す快感に狂いそうになりながら、智也の心は再び堕ちていった。
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――君は、愛で俺をズタズタに切り裂いた。
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最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
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