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ミュージックスタイル②
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ほなみ達がスタジオ入りしたのは、既に収録が始まっている時間だった。
朝から晩まで、都内各所で着ぐるみでキャンペーンに奔走し、ダッシュでスタジオに向かったのだ。
テレビ局には何と
「はまじろう様」
「はま子様」と、
一人ずつ楽屋が用意されていて、ほなみは驚愕する。
「ギり間に合ったな……
さて、衣裳替えだ」
綾波は、溜め息を吐く。
「じゃあ、また後で~」
浜田は、自分の楽屋へ入った。
「衣裳替え?」
既にはま子の扮装をしているのに、まだ着替えるのだろうか。
綾波は、戸惑うほなみにキラキラ光る布を渡した。
もう嫌な予感しかしない。
「はま子のスペシャルバージョンスーツだ。
さっさと着替えて化粧を直してこい」
「スペシャル……てあの、私、本当にテレビに出るんですか?」
「最初からそういう事だったろう。
まあ、ちょっと当初の予定とは違うが」
「……」
「さっさと行ってこい。
祐樹に早く会いたいだろう?」
綾波に楽屋に押し込まれて、ほなみは鏡の前ではま子スーツを脱ぐ。
鏡に映る自分の身体じゅうに、智也に付けられた徴が目に入り、ドキリとすると同時に、激しい行為を思い出し、抵抗しきれずに智也の好きにさせてしまったどころか快感に酔ってしまった自分に、改めて嫌悪を感じた。
そして首筋の赤みは、綾波の唇の徴だろうか――
また、ゾクリと震えてしまう。
『心がふらついたら俺に掴まれ』
綾波の言葉が甘く脳内に響き、振り切る様にほなみは目を瞑る。
(――とりあえず、今は考えてはいけない)
煌めく布を頭から被り、鏡で見ると、その派手さに目が点になる。
先程まで着ていたピンクのスーツの比較にならない位のど派手さだ。
頭の部分には金色の大きなリボンが付いていて、尻尾もあるのだがそれも金色だった。
(こ、これは目立つ……)
ほなみは大いに戸惑いながら身支度を調えようとするが、このスーツは背中ボタンだった。
ボタンまで金色という派手さと懲りようだ。
途中までは嵌められたが、背中の真ん中辺りでつまづいた。
困って、そっとドアを開けて顔を出す。
「あの……綾波さん」
「なんだ」
綾波は、廊下の壁に凭れ鋭い目を向け、ほなみはつい身を縮めてしまう。
「背中の……ボタンが……」
ゴニョゴニョ言うほなみに、綾波は盛大に溜め息を吐き、中へ入って来て背中に回り込むと呆れた声を出した。
「おい……
全部かけ違えてるぞ」
「えっ!?」
「どこまでも世話の焼ける女だな」
綾波の長い指がボタンを素早く全部外していく。
背中からお尻の辺りがスースーすると同時に強烈な恥ずかしさが込み上げる。
ほなみの頬が紅くなっているのが鏡に映っている。
綾波は、また溜め息を吐きボタンを嵌め始めた。
「全く……何かの拷問みたいだな」
「……?」
「服くらい自分でちゃんと着れるようになれ。
お前は子供かっ」
ボタンを嵌め終えた綾波は、ほなみの頬を引っ張る。
「イタタタ……す、すいません」
綾波の表情がふっと優しく甘くなり、ほなみは後ろから抱き締められた。
「あああ綾波さんっ」
「……名字呼びは堅いな。剛でいいぞ」
「っ!……て……無理です無理です無理です」
動揺して叫ぶと、くるりと前を向けさせられ、見つめあう態勢になり、綾波は小さく笑った。
ドキドキしてほなみが目を逸らすと、顎を掴まれた。
思わず目を瞑ると、唇にくすぐったい感触。
「……?」
薄目を開けると、綾波が真剣な表情で口紅を塗っていた。
至近距離に長い睫毛があり、ほなみは見とれてしまった。
「ちょっと赤すぎるな」
綾波は呟き、チュッと音を立てて唇を啄み、ほなみの全身の体温が急上昇した。
「綾波……さんっ」
「これで丁度いい色になった」
綾波は、優美な笑みを浮かべているが、ほなみは真っ赤になり怒る。
「も、もうっ……困りますっ!」
「困ってるか?
……俺に取ってはいい傾向だな」
「!」
頭のフード部分を軽く被せられ、頭をポンと叩かれた。
「さて……行くぞ。
今日は浜田さんとアクションがあるからな」
「あ、アクション?」
「浜田さんに任せていれば大丈夫だ」
「ぶっつけ本番でですか!?」
「クレッシェンドの演奏の大サビからお前と浜田さんの出番だ。頑張れよ」
「頑張れよって……簡単に」
「大丈夫だから」
おでこをコツンとぶつけられ、頬を撫でられてドキドキする。
テレビの緊張なのか、綾波にドキドキしているのか、もはや訳がわからないほなみだった。
「本番が終わったら……
本格的に口説いてやろうか」
壁に押し付けられ妖しい目で見つめられ、ほなみは首を振る。
「だっ……
だって今日は色々と……だからっ……」
綾波は、頭を軽く小突く。
「本気になったら、あんなモノじゃ済まないぞ」
ドクン、とほなみの心臓が限界まで跳ねた瞬間、
「じゃじゃじゃーん!」
と叫びながら浜田が楽屋から飛び出して来て、ほなみは慌てて綾波から離れる。
浜田も、キラキラの衣裳だった。
頭には金色のハットに、やはり尻尾が付いているが何故か二股に分かれている。
「ふっふっふ……
はまじろうを考案して五年……
ようやく日の目を見る事になったよ~!
ほなみちゃん、頑張ろうね!」
浜田はウキウキと跳び跳ねている。
「……あくまでクレッシェンドを引き立てる演出ですからね?……頼みますよ」
綾波は、釘を刺す様に冷静に言ったが、浜田のテンションはヒートアップが止まらないようだ。
「うんうん!勿論!クレッシェの復活を華々しく応援させてもらうよ!
さあ――暴れるぞ――フォーっ!」
「はまじろう&はま子さん!
出番間近です!スタジオへお越しください!」
スタッフが走って呼びに来た。
「は、はい!」
三人はスタジオに小走りして向かった。
スタッフに誘導され、スタジオの重いドアを開けると、テレビでしか見た事の無いミュージックスタイルの世界が直ぐそこにある。
そうそうたるミュージシャン達の顔ぶれの中でも、ほなみは直ぐに西本祐樹を見つけた。
丸二日近く振りにその姿を見て、一気に心が踊る。
彼は何が可笑しいのか、少し俯いてくつくつ笑っている。
隣りの三広と何か言葉を交わすと、溜め息をふうと吐き、真剣な目に戻り、そして魅惑的に微笑んだ。
それを見たほなみの全身が総毛立つ。
まるで、初めてテレビで彼を見た時の様な感覚だった。
(……私はやっぱり、西君にどうしようも無く奪われている。
理屈など飛び越えて、無条件に彼に囚われてしまっている……
西君が好き――)
今日のメンバーは皆、濃紺のスーツで決めていた。
西君はスーツの中に縦ストライプのシャツを合わせていて、良く似合っている。
ほなみは、単なるいちファンの様にドキドキしていた。
「CM90秒入りま――す」
スタッフが叫んだ。
何気なく観覧席の方を見ると、あぐりが跳び跳ねてこちらに手を振っている。
彼女は涙ぐんでいるように見えた。
きっと、心配してくれていたのだろう。
ほなみは笑顔で手を振り返した。
クレッシェンドのメンバーはセットでスタンバイし、スタッフやヤモリと何か話している。
真剣な鋭い目の西君に、ミュージシャンとしての色気を感じ、ほなみはぼうっと見つめてしまった。
不意に、頭のフードを綾波にグイッと取られる。
「――!?」
綾波はまた額を付けてきて囁いた。
「俺も、そんな熱い目で見つめて貰いたいものだな……」
「あ、綾波さんったら!」
ドギマギして離れようとするが、綾波は楽しそうに微笑してほなみを離さない。
「もう、祐樹に遠慮はしないと決めた」
「そ、そんな……」
そんな二人をよそに、浜田はウキウキ準備体操をしていた。
朝から晩まで、都内各所で着ぐるみでキャンペーンに奔走し、ダッシュでスタジオに向かったのだ。
テレビ局には何と
「はまじろう様」
「はま子様」と、
一人ずつ楽屋が用意されていて、ほなみは驚愕する。
「ギり間に合ったな……
さて、衣裳替えだ」
綾波は、溜め息を吐く。
「じゃあ、また後で~」
浜田は、自分の楽屋へ入った。
「衣裳替え?」
既にはま子の扮装をしているのに、まだ着替えるのだろうか。
綾波は、戸惑うほなみにキラキラ光る布を渡した。
もう嫌な予感しかしない。
「はま子のスペシャルバージョンスーツだ。
さっさと着替えて化粧を直してこい」
「スペシャル……てあの、私、本当にテレビに出るんですか?」
「最初からそういう事だったろう。
まあ、ちょっと当初の予定とは違うが」
「……」
「さっさと行ってこい。
祐樹に早く会いたいだろう?」
綾波に楽屋に押し込まれて、ほなみは鏡の前ではま子スーツを脱ぐ。
鏡に映る自分の身体じゅうに、智也に付けられた徴が目に入り、ドキリとすると同時に、激しい行為を思い出し、抵抗しきれずに智也の好きにさせてしまったどころか快感に酔ってしまった自分に、改めて嫌悪を感じた。
そして首筋の赤みは、綾波の唇の徴だろうか――
また、ゾクリと震えてしまう。
『心がふらついたら俺に掴まれ』
綾波の言葉が甘く脳内に響き、振り切る様にほなみは目を瞑る。
(――とりあえず、今は考えてはいけない)
煌めく布を頭から被り、鏡で見ると、その派手さに目が点になる。
先程まで着ていたピンクのスーツの比較にならない位のど派手さだ。
頭の部分には金色の大きなリボンが付いていて、尻尾もあるのだがそれも金色だった。
(こ、これは目立つ……)
ほなみは大いに戸惑いながら身支度を調えようとするが、このスーツは背中ボタンだった。
ボタンまで金色という派手さと懲りようだ。
途中までは嵌められたが、背中の真ん中辺りでつまづいた。
困って、そっとドアを開けて顔を出す。
「あの……綾波さん」
「なんだ」
綾波は、廊下の壁に凭れ鋭い目を向け、ほなみはつい身を縮めてしまう。
「背中の……ボタンが……」
ゴニョゴニョ言うほなみに、綾波は盛大に溜め息を吐き、中へ入って来て背中に回り込むと呆れた声を出した。
「おい……
全部かけ違えてるぞ」
「えっ!?」
「どこまでも世話の焼ける女だな」
綾波の長い指がボタンを素早く全部外していく。
背中からお尻の辺りがスースーすると同時に強烈な恥ずかしさが込み上げる。
ほなみの頬が紅くなっているのが鏡に映っている。
綾波は、また溜め息を吐きボタンを嵌め始めた。
「全く……何かの拷問みたいだな」
「……?」
「服くらい自分でちゃんと着れるようになれ。
お前は子供かっ」
ボタンを嵌め終えた綾波は、ほなみの頬を引っ張る。
「イタタタ……す、すいません」
綾波の表情がふっと優しく甘くなり、ほなみは後ろから抱き締められた。
「あああ綾波さんっ」
「……名字呼びは堅いな。剛でいいぞ」
「っ!……て……無理です無理です無理です」
動揺して叫ぶと、くるりと前を向けさせられ、見つめあう態勢になり、綾波は小さく笑った。
ドキドキしてほなみが目を逸らすと、顎を掴まれた。
思わず目を瞑ると、唇にくすぐったい感触。
「……?」
薄目を開けると、綾波が真剣な表情で口紅を塗っていた。
至近距離に長い睫毛があり、ほなみは見とれてしまった。
「ちょっと赤すぎるな」
綾波は呟き、チュッと音を立てて唇を啄み、ほなみの全身の体温が急上昇した。
「綾波……さんっ」
「これで丁度いい色になった」
綾波は、優美な笑みを浮かべているが、ほなみは真っ赤になり怒る。
「も、もうっ……困りますっ!」
「困ってるか?
……俺に取ってはいい傾向だな」
「!」
頭のフード部分を軽く被せられ、頭をポンと叩かれた。
「さて……行くぞ。
今日は浜田さんとアクションがあるからな」
「あ、アクション?」
「浜田さんに任せていれば大丈夫だ」
「ぶっつけ本番でですか!?」
「クレッシェンドの演奏の大サビからお前と浜田さんの出番だ。頑張れよ」
「頑張れよって……簡単に」
「大丈夫だから」
おでこをコツンとぶつけられ、頬を撫でられてドキドキする。
テレビの緊張なのか、綾波にドキドキしているのか、もはや訳がわからないほなみだった。
「本番が終わったら……
本格的に口説いてやろうか」
壁に押し付けられ妖しい目で見つめられ、ほなみは首を振る。
「だっ……
だって今日は色々と……だからっ……」
綾波は、頭を軽く小突く。
「本気になったら、あんなモノじゃ済まないぞ」
ドクン、とほなみの心臓が限界まで跳ねた瞬間、
「じゃじゃじゃーん!」
と叫びながら浜田が楽屋から飛び出して来て、ほなみは慌てて綾波から離れる。
浜田も、キラキラの衣裳だった。
頭には金色のハットに、やはり尻尾が付いているが何故か二股に分かれている。
「ふっふっふ……
はまじろうを考案して五年……
ようやく日の目を見る事になったよ~!
ほなみちゃん、頑張ろうね!」
浜田はウキウキと跳び跳ねている。
「……あくまでクレッシェンドを引き立てる演出ですからね?……頼みますよ」
綾波は、釘を刺す様に冷静に言ったが、浜田のテンションはヒートアップが止まらないようだ。
「うんうん!勿論!クレッシェの復活を華々しく応援させてもらうよ!
さあ――暴れるぞ――フォーっ!」
「はまじろう&はま子さん!
出番間近です!スタジオへお越しください!」
スタッフが走って呼びに来た。
「は、はい!」
三人はスタジオに小走りして向かった。
スタッフに誘導され、スタジオの重いドアを開けると、テレビでしか見た事の無いミュージックスタイルの世界が直ぐそこにある。
そうそうたるミュージシャン達の顔ぶれの中でも、ほなみは直ぐに西本祐樹を見つけた。
丸二日近く振りにその姿を見て、一気に心が踊る。
彼は何が可笑しいのか、少し俯いてくつくつ笑っている。
隣りの三広と何か言葉を交わすと、溜め息をふうと吐き、真剣な目に戻り、そして魅惑的に微笑んだ。
それを見たほなみの全身が総毛立つ。
まるで、初めてテレビで彼を見た時の様な感覚だった。
(……私はやっぱり、西君にどうしようも無く奪われている。
理屈など飛び越えて、無条件に彼に囚われてしまっている……
西君が好き――)
今日のメンバーは皆、濃紺のスーツで決めていた。
西君はスーツの中に縦ストライプのシャツを合わせていて、良く似合っている。
ほなみは、単なるいちファンの様にドキドキしていた。
「CM90秒入りま――す」
スタッフが叫んだ。
何気なく観覧席の方を見ると、あぐりが跳び跳ねてこちらに手を振っている。
彼女は涙ぐんでいるように見えた。
きっと、心配してくれていたのだろう。
ほなみは笑顔で手を振り返した。
クレッシェンドのメンバーはセットでスタンバイし、スタッフやヤモリと何か話している。
真剣な鋭い目の西君に、ミュージシャンとしての色気を感じ、ほなみはぼうっと見つめてしまった。
不意に、頭のフードを綾波にグイッと取られる。
「――!?」
綾波はまた額を付けてきて囁いた。
「俺も、そんな熱い目で見つめて貰いたいものだな……」
「あ、綾波さんったら!」
ドギマギして離れようとするが、綾波は楽しそうに微笑してほなみを離さない。
「もう、祐樹に遠慮はしないと決めた」
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そんな二人をよそに、浜田はウキウキ準備体操をしていた。
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