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異世界の入り口
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──X県某所。
私と兄は新幹線を降りた後、兄の運転するレンタカーで噂の心霊スポットへとやってきた。ちなみに所要時間は新幹線の駅から3時間以上だった。
山間の村だけあって、都会では湿った初夏の空気もここでは心なしか澄んでいるように感じられる。
トランクを開け準備を始める兄の隣で、私は肺いっぱいに空気を取り込み、これからの心霊スポット探索に備えていた。
この兄との心霊スポット探索にはいくつか約束ごとがある。拙著の読者諸氏にはもはやお馴染みかもしれないので、ここでは簡単に触れることとする。
前提として、自他共に認めるオカルトマニアの兄は、彼なりの理念とルールを持って、人ならざるものに触れようとしている。
この心霊スポット探索、前項では『役に立つから兄を同行させている』としたが、実はそうではなく、むしろ私が彼に同行させてもらっているのだ。それも、後述の約束ごとを破らないことを条件に──。
さて、いつも通り兄から渡されたのは、光源のそれほど強くない一般的なスリム型の懐中電灯、両手が空くように救急セットや少量の食料、飲み物などを入れた小ぶりのリュック、そして両端が輪っかになったヒモである。
ちなみにヒールの高いものなど、音の出る靴を履いていると激怒されるので、履き替え用の靴も常備するようになった。
今日は立地も立地なので、普段より動きやすい格好とスニーカーである。
兄曰く、心霊スポットはその名の通り『彼らの家』みたいなものだという。そこに勝手にお邪魔するのだから、何があっても文句は言えないし、それなりの配慮が必要だと──。
ただし、この世に現存している以上、いくら廃墟まがいの場所といえど、人間が生活する場でもあるわけなので、忌避ではなく共存を根底にすべきではないかという。
歳の離れた兄は、学生時代から幼い私にそういう類のことをずっと言い聞かせてきた。そのおかげとも言うべきか、私もその考え方には全面的に賛同している。(あえて悪く言えば洗脳ともいうのかもしれない。)
などと、独自の理論を掲げるわりに、私たち兄妹に霊感というものは全くなく、だからもしも彼らの姿が見えるとしたらそれは、私たちが近づきすぎたということに他ならない。
以下は、心霊スポットでの振る舞いに関する、兄との約束ごと5ヶ条だ。
①声を出してはいけない
②もし何かが見えても目を合わせてはいけない
③写真は絶対NG、動画は画面を見ないこと
④何があっても急に逃げ出してはいけない
⑤極力ものに触れてはいけない
この5ヶ条は前述の通り、共存をベースとしている。
声を出さない、目を合わせない──。
自分たちは何も見ていない、何も知らないふりをする。それだけで彼らに、自分の存在に私たちが気づいたことに気づかれないで済むからだ。
この5ヶ条の中でも特に質問をいただくのは、写真NGの理由。それはとてもシンプルで、必ずレンズを覗くから。レンズを覗いた瞬間、それは何かを捉えようという動作に他ならない。動画も画面を見れば、何が撮れているか確認することになる。被写体=彼らが成立してしまうのだ。あちらにそれらを悟られてはならない。(ちなみに、私は再三この手合いのことを兄から聞かされてきたので、彼らの失礼に当たるかと思い、極力避けている。ルポライターとしては失格かもしれない。)
秘密というのは、相手に秘密があること自体を知られなければ秘密とは言わない。私たちは『あなた(※幽霊など)が目的』だと彼らに決して知られてはならないのだ。
また、ものに触れてはいけないというのは、人の家のものを勝手に触るなという意味合いもあるが、どちらかと言えば、それに宿った念のようなものを持ち帰ってしまう可能性があるからだ。
それはつまり、彼らをここから引き離してしまうということでもある。兄はどんな性格や性質を持つモノであれ、私たち人と同じように彼らの心にはしっかり寄り添うべきだと主張する。それが良いか悪いかわからないうちは、安易にその場にあるものにも彼らの心にも触れてはならない。
ここまでを踏まえ、最後に、逃げ出してはならない、というルールを説明しよう。もちろん私たちが彼らの存在に気づいていることに気づかれないためでもあるが、それ以上に、兄曰く踏み荒らしていないだけで少なくとも土足で踏み込んだ責任として、彼らに真正面から向き合うべきだという。
たとえ、自分の身に危険が迫ったとしても──。
兄は自分の準備も整えると、ヒモの輪っかを自分の手首に引っ掛け、もう片方の輪っかの先を私に差し出した。私も同じように輪を手首に通す。
探索に最も必要なさそうなこのヒモだが、万が一にも迷子になったり、はぐれたりするのを防ぐためである。心霊スポットの中では声を出せないため、このヒモを引っ張り、危険や行きたい方向への合図に使うのだ。ちなみに長さは、パーソナルスペースを侵さない程度にはゆとりを持っている。
──時刻は昼過ぎ。
東京は夏日を連日記録しているが、この辺りは時折気持ちいい風も吹いて過ごしやすかった。
太陽はほとんどてっぺんに位置しているが、逢魔時は刻一刻と迫っている。
1回目の訪問なので、動画も撮らないし、それほど時間はかけないつもりだが、何があるかわからない。
兄は精神統一でもするように、探索の前には無口になる。レンタカーを降りてすぐ、彼は真剣な眼差しで淡々と準備を行っていた。
そして、いままさに噂の心霊スポットの入り口へと私たち兄妹は立ったのだった。
やはりこの瞬間は緊張する。
大きく息を吐く私を見て、兄は早速ヒモをくいくいと引いた。「早く行くぞ」と言いたいらしい。
人との距離感はいまいちよくわかっていなさそうなのだが、彼らと心を通わせる(?)のは、兄の性に合っているのか、楽しいらしい。
私は返事の代わりにヒモを引き返すと、二人揃って『必ず行方不明になる』と噂の心霊スポットに一歩を踏み出した。
そこは思った以上に広い場所だった。
一言で言うならやはり『廃墟』なのだが、静謐で厳かな雰囲気さえ漂っている。
ざりざりと微かに砂利の擦れる音がして、長い間手入れされていないことがわかる。
事前に私はここの登記を確認して来たが、所有はここを含む一帯を指す村の名前だった。だが、その村を調べると現在は存在していなかった。人口の著しい減少を主な理由とする市町村合併により、この村は通称としてだけ名前を残し、住所からも消え去っている。
定石で言えば、ここの管理は現在、市町村合併によってこの村を隣接の町ごと吸収した、そのまた隣の市だろうと思われる。登記簿上の名称は村のまま変わっていないようだが、空き家が増える一方の過疎地域では危険のため、所有者に取り壊しなどの提案もするという。
──何年、いや何十年もの間放置され続けたこの場所がその対象にならないとは思えない。私の予想通り、市町村などの自治体が管理しているのなら尚更である。
しかし、元は一体何の建物だったのだろうか。
コンクリート打ちっぱなしの、この辺りでは珍しく洗練されたスタイルの建造物だが、中はほとんど空で、どんな用途に使われていたのかも想像がつかない。
大雑把にわかりやすく表現するのなら『宗教施設』が一番近いが、そういった過去は少なくとも文献や書類上では見当たらなかった。
それにそういう独特の空気はあまり感じられない。
確かに私は『静謐で厳か』と表現したが、こちらを圧迫するような、それでいて静かな祈りのような、そういったものはないように思う。
経年によって薄れてしまったのか、それとも記録通り全くの別物だったのか──。
私は窓からさす日差しに目を細めた。埃で薄汚れてはいるが、南向きに位置する窓によって思いの外日当たりがよく、懐中電灯の出番はなさそうだった。
私はしばらく広々とした建物の中央で周りを見渡していたが、兄はゆっくりと時計回りに壁沿いを歩いている。
まるで動かない私を中心軸に、兄という針が時を刻んでいるかのようだった。
というのは詩的すぎるが、そういう表現が不思議と似合う場所に思えた。ここが本当にそんな曰くつきの建物だとは到底信じがたい。
ふと何気なく高い天井を見上げると、おそらくいまはつきもしないのだろうが、お洒落な照明が下がっていた。
ガラスはとっくに砕け散っていて、それが足元でざりざり音がする原因なのだとようやく思い当たる。
窓からの光によって埃の舞う姿はどこか幻想的で、私はなぜか遠い異国の世界にでも迷い込んだような気分になる。
そんなそこはかとない高揚感の中、奥のほうから突然物音が聞こえた。カサカサと何かが蠢く音だ。
思わず「ひっ」と高い声が出そうになる。
兄も気がついたのか、そちらのほうをじっと見つめてヒモをくいくいと引いてくる。
そちらに様子を見に行こうと言っているらしいが、私は逆に自分のほうにヒモをぐいぐいと引き寄せた。
慣れたものとはいえ、怖いものは怖い。
バランスを崩しながら、私の力──というより私の恐怖を悟っておそらくわざと負けてくれた兄は、私のほうへと歩み寄ってくる。
と思ったのも束の間、首を振って拒否する私を半ば引きずるように、兄は奥へ進もうとする。
観念して兄の背に隠れるようにしながら、私はついていったのだが、唐突に兄が立ち止まった。
彼の指がさす先には、大量の虫が動き回っていた。
それはそれでとてつもなく気持ち悪い光景ではあったが、放置された建物においての自然現象と思えば気持ちは落ち着いた。そう、これくらいはいままでも何度もあった。
安堵の息を吐いた時、背後に気配を感じた。
一言で表すなら、殺気だろうか──。
今度こそ息が止まりそうになる。
ゆっくり振り向くとそこには、黒い合羽を着た、得体の知れない何者かがひっそりと、しかし異様な存在感で佇んでいた──。
私と兄は新幹線を降りた後、兄の運転するレンタカーで噂の心霊スポットへとやってきた。ちなみに所要時間は新幹線の駅から3時間以上だった。
山間の村だけあって、都会では湿った初夏の空気もここでは心なしか澄んでいるように感じられる。
トランクを開け準備を始める兄の隣で、私は肺いっぱいに空気を取り込み、これからの心霊スポット探索に備えていた。
この兄との心霊スポット探索にはいくつか約束ごとがある。拙著の読者諸氏にはもはやお馴染みかもしれないので、ここでは簡単に触れることとする。
前提として、自他共に認めるオカルトマニアの兄は、彼なりの理念とルールを持って、人ならざるものに触れようとしている。
この心霊スポット探索、前項では『役に立つから兄を同行させている』としたが、実はそうではなく、むしろ私が彼に同行させてもらっているのだ。それも、後述の約束ごとを破らないことを条件に──。
さて、いつも通り兄から渡されたのは、光源のそれほど強くない一般的なスリム型の懐中電灯、両手が空くように救急セットや少量の食料、飲み物などを入れた小ぶりのリュック、そして両端が輪っかになったヒモである。
ちなみにヒールの高いものなど、音の出る靴を履いていると激怒されるので、履き替え用の靴も常備するようになった。
今日は立地も立地なので、普段より動きやすい格好とスニーカーである。
兄曰く、心霊スポットはその名の通り『彼らの家』みたいなものだという。そこに勝手にお邪魔するのだから、何があっても文句は言えないし、それなりの配慮が必要だと──。
ただし、この世に現存している以上、いくら廃墟まがいの場所といえど、人間が生活する場でもあるわけなので、忌避ではなく共存を根底にすべきではないかという。
歳の離れた兄は、学生時代から幼い私にそういう類のことをずっと言い聞かせてきた。そのおかげとも言うべきか、私もその考え方には全面的に賛同している。(あえて悪く言えば洗脳ともいうのかもしれない。)
などと、独自の理論を掲げるわりに、私たち兄妹に霊感というものは全くなく、だからもしも彼らの姿が見えるとしたらそれは、私たちが近づきすぎたということに他ならない。
以下は、心霊スポットでの振る舞いに関する、兄との約束ごと5ヶ条だ。
①声を出してはいけない
②もし何かが見えても目を合わせてはいけない
③写真は絶対NG、動画は画面を見ないこと
④何があっても急に逃げ出してはいけない
⑤極力ものに触れてはいけない
この5ヶ条は前述の通り、共存をベースとしている。
声を出さない、目を合わせない──。
自分たちは何も見ていない、何も知らないふりをする。それだけで彼らに、自分の存在に私たちが気づいたことに気づかれないで済むからだ。
この5ヶ条の中でも特に質問をいただくのは、写真NGの理由。それはとてもシンプルで、必ずレンズを覗くから。レンズを覗いた瞬間、それは何かを捉えようという動作に他ならない。動画も画面を見れば、何が撮れているか確認することになる。被写体=彼らが成立してしまうのだ。あちらにそれらを悟られてはならない。(ちなみに、私は再三この手合いのことを兄から聞かされてきたので、彼らの失礼に当たるかと思い、極力避けている。ルポライターとしては失格かもしれない。)
秘密というのは、相手に秘密があること自体を知られなければ秘密とは言わない。私たちは『あなた(※幽霊など)が目的』だと彼らに決して知られてはならないのだ。
また、ものに触れてはいけないというのは、人の家のものを勝手に触るなという意味合いもあるが、どちらかと言えば、それに宿った念のようなものを持ち帰ってしまう可能性があるからだ。
それはつまり、彼らをここから引き離してしまうということでもある。兄はどんな性格や性質を持つモノであれ、私たち人と同じように彼らの心にはしっかり寄り添うべきだと主張する。それが良いか悪いかわからないうちは、安易にその場にあるものにも彼らの心にも触れてはならない。
ここまでを踏まえ、最後に、逃げ出してはならない、というルールを説明しよう。もちろん私たちが彼らの存在に気づいていることに気づかれないためでもあるが、それ以上に、兄曰く踏み荒らしていないだけで少なくとも土足で踏み込んだ責任として、彼らに真正面から向き合うべきだという。
たとえ、自分の身に危険が迫ったとしても──。
兄は自分の準備も整えると、ヒモの輪っかを自分の手首に引っ掛け、もう片方の輪っかの先を私に差し出した。私も同じように輪を手首に通す。
探索に最も必要なさそうなこのヒモだが、万が一にも迷子になったり、はぐれたりするのを防ぐためである。心霊スポットの中では声を出せないため、このヒモを引っ張り、危険や行きたい方向への合図に使うのだ。ちなみに長さは、パーソナルスペースを侵さない程度にはゆとりを持っている。
──時刻は昼過ぎ。
東京は夏日を連日記録しているが、この辺りは時折気持ちいい風も吹いて過ごしやすかった。
太陽はほとんどてっぺんに位置しているが、逢魔時は刻一刻と迫っている。
1回目の訪問なので、動画も撮らないし、それほど時間はかけないつもりだが、何があるかわからない。
兄は精神統一でもするように、探索の前には無口になる。レンタカーを降りてすぐ、彼は真剣な眼差しで淡々と準備を行っていた。
そして、いままさに噂の心霊スポットの入り口へと私たち兄妹は立ったのだった。
やはりこの瞬間は緊張する。
大きく息を吐く私を見て、兄は早速ヒモをくいくいと引いた。「早く行くぞ」と言いたいらしい。
人との距離感はいまいちよくわかっていなさそうなのだが、彼らと心を通わせる(?)のは、兄の性に合っているのか、楽しいらしい。
私は返事の代わりにヒモを引き返すと、二人揃って『必ず行方不明になる』と噂の心霊スポットに一歩を踏み出した。
そこは思った以上に広い場所だった。
一言で言うならやはり『廃墟』なのだが、静謐で厳かな雰囲気さえ漂っている。
ざりざりと微かに砂利の擦れる音がして、長い間手入れされていないことがわかる。
事前に私はここの登記を確認して来たが、所有はここを含む一帯を指す村の名前だった。だが、その村を調べると現在は存在していなかった。人口の著しい減少を主な理由とする市町村合併により、この村は通称としてだけ名前を残し、住所からも消え去っている。
定石で言えば、ここの管理は現在、市町村合併によってこの村を隣接の町ごと吸収した、そのまた隣の市だろうと思われる。登記簿上の名称は村のまま変わっていないようだが、空き家が増える一方の過疎地域では危険のため、所有者に取り壊しなどの提案もするという。
──何年、いや何十年もの間放置され続けたこの場所がその対象にならないとは思えない。私の予想通り、市町村などの自治体が管理しているのなら尚更である。
しかし、元は一体何の建物だったのだろうか。
コンクリート打ちっぱなしの、この辺りでは珍しく洗練されたスタイルの建造物だが、中はほとんど空で、どんな用途に使われていたのかも想像がつかない。
大雑把にわかりやすく表現するのなら『宗教施設』が一番近いが、そういった過去は少なくとも文献や書類上では見当たらなかった。
それにそういう独特の空気はあまり感じられない。
確かに私は『静謐で厳か』と表現したが、こちらを圧迫するような、それでいて静かな祈りのような、そういったものはないように思う。
経年によって薄れてしまったのか、それとも記録通り全くの別物だったのか──。
私は窓からさす日差しに目を細めた。埃で薄汚れてはいるが、南向きに位置する窓によって思いの外日当たりがよく、懐中電灯の出番はなさそうだった。
私はしばらく広々とした建物の中央で周りを見渡していたが、兄はゆっくりと時計回りに壁沿いを歩いている。
まるで動かない私を中心軸に、兄という針が時を刻んでいるかのようだった。
というのは詩的すぎるが、そういう表現が不思議と似合う場所に思えた。ここが本当にそんな曰くつきの建物だとは到底信じがたい。
ふと何気なく高い天井を見上げると、おそらくいまはつきもしないのだろうが、お洒落な照明が下がっていた。
ガラスはとっくに砕け散っていて、それが足元でざりざり音がする原因なのだとようやく思い当たる。
窓からの光によって埃の舞う姿はどこか幻想的で、私はなぜか遠い異国の世界にでも迷い込んだような気分になる。
そんなそこはかとない高揚感の中、奥のほうから突然物音が聞こえた。カサカサと何かが蠢く音だ。
思わず「ひっ」と高い声が出そうになる。
兄も気がついたのか、そちらのほうをじっと見つめてヒモをくいくいと引いてくる。
そちらに様子を見に行こうと言っているらしいが、私は逆に自分のほうにヒモをぐいぐいと引き寄せた。
慣れたものとはいえ、怖いものは怖い。
バランスを崩しながら、私の力──というより私の恐怖を悟っておそらくわざと負けてくれた兄は、私のほうへと歩み寄ってくる。
と思ったのも束の間、首を振って拒否する私を半ば引きずるように、兄は奥へ進もうとする。
観念して兄の背に隠れるようにしながら、私はついていったのだが、唐突に兄が立ち止まった。
彼の指がさす先には、大量の虫が動き回っていた。
それはそれでとてつもなく気持ち悪い光景ではあったが、放置された建物においての自然現象と思えば気持ちは落ち着いた。そう、これくらいはいままでも何度もあった。
安堵の息を吐いた時、背後に気配を感じた。
一言で表すなら、殺気だろうか──。
今度こそ息が止まりそうになる。
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