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悪夢再び
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「──ねえ、瀬名さん遅くない?」
私がここに到着してから早数時間。
兄はそれより前からいて「遅かったな」と私に挨拶したくらいなので、その時点でも相応の時間が経っていたはずだった。
正面入り口から出入りするなら必ず通る待合室で、兄とふたり観察しているというのに、それらしき人は一度も見ていない。
来院する人はご高齢の方が圧倒的に多く、その中にちらほらと私や兄と同年代がいる。瀬名さんや藤倉さんあたりの若者は目立つはずだが、会社の健康診断などもあるらしく、意外にも病院着やスーツ(※出入りの業者も含まれているかもしれない)で歩いている姿を見かけたりもする。
私が来るまで兄は読書をしていたようだが、兄のことだ、読書に集中して周りが全く見えないということもないだろう。
ちなみに、服装を変えたり、何かしらのトリックで体型を変えたりと、瀬名さん自身が積極的に私たちを欺こうとした場合には、おそらくまんまと騙されてしまうに違いないが。
兄は腕時計をチラリと見ると、惰性で開いたままだった本をパタリと閉じて、徐に立ち上がった。
「……どこ行くの」
「探しに行くさ。お前はまず、藤倉さんに連絡したほうがいい」
「あっ、そういえば……!」
藤倉さんは私と同じ時間に合流するはずだったのだ。それなのに、まだ姿を見せていない。
私は慌ててスマートフォンを取り出した。
打ち合わせの際、いつも電源を切る癖が災い──というより次の行き先が病院だったのであえて急いで電源を入れることもなかった──して、私のスマートフォンは暗く沈黙したままだった。
電源を入れるも、藤倉さんからの着信やメッセージはない。これまでの彼女とのやり取りから鑑みるに、遅れるなどの連絡をしないほど不義理な人とは思えない。
私はスマートフォン使用可の場所で、藤倉さんに連絡を試みるが、今度は彼女のスマートフォンに電源が入っていない旨の、例のメッセージが流れた。
兄は精神科に限らず外来を一回りしてくると言っていた。かかりつけ医を紹介した兄ならば、瀬名さんが診断を受けたかどうかくらいは聞けるかもしれないが、兄はおそらくそういう確認の仕方はしないだろう。
当初、兄は瀬名さんの記憶喪失に関して加害者の可能性もあるとまで考えていたはずだった。仮に瀬名さんが加害者だったとして、兄がそれでも本当に見過ごそうとしていたかは私にもわからない。
とはいえ、前述したように兄の「なんとなく」の勘は結構当たる。警察に怯える瀬名さんの様子を──それも昨夜の一度見ただけで──『可能性があったとしても加害者ではなさそう』というところまで勘づいてしまったことも十分に考えられる。
しかしながら現時点で、瀬名さんが脅されている可能性が最有力となり、兄の見て見ぬ振り作戦を後押しできる環境ではなくなった。
一刻も早く瀬名さんを見つけたほうがいい。
結論として、病院内を探したものの瀬名さんは見つけられなかった。病棟もあるにはあるが、私たちのいた待合室より上階にある病棟に行っても逃げ場はない為、捜索の範囲からは除外した。
瀬名さんの置かれた状況を考えても、既に外に出てしまったと見るのが妥当だろう。
私は兄と共に車に乗り、とりあえず藤倉さんの住所に向かうことにした。
「藤倉さんは知ってるのかな、脅されてる理由とか」
「どうかな。そもそも瀬名さんが脅されてる理由をはっきり覚えているかにもよるね」
「警察に怯えてるんだから、覚えてるんじゃないの」
「『警察はダメ』ってことだけ記憶している場合もある。もちろん、瀬名さんが理由まではっきり覚えているもしくは、瀬名さんが記憶喪失のふりをしている場合、藤倉さんには全て話したってことも考えられるけど──」
「……兄さんはそうは思ってないのね」
「まあね。もしそうだとしたら、今まで藤倉さんに連絡を取らなかった意味がわからない。言えるんだったら言ってしまったほうが楽だし、言えないってことがはっきりわかるんだったら藤倉さんにはそもそも接触しないほうが良いに決まってる。少なくともふりってことはないだろうね」
「じゃあ、藤倉さんは知らないってことだよね? 瀬名さんが誰かに脅されてることも、その理由も」
「たぶんね」
「じゃあ、どうして藤倉さんとも連絡が取れないんだろう」
「考えられるのは、藤倉さんが瀬名さんの『警察とは関わりたくない』っていう意思だけを、理由も聞かずに尊重した場合。それと藤倉さん自身が──」
「──瀬名さんを脅している場合、か……」
前を向いたまま、兄はこくりと頷く。
「まあ、それはないと思うけどね。それなら、わざわざお前に依頼してまで探す意味がわからない」
「……ネットカフェにいることを突き止められなくて、継続して脅しをできなくなったから──とか」
「……お前はたまに嫌なこと言うよね」
「兄さんだって考えたくせに」
「だとしたら、瀬名さん自身が本能的に遠ざけたくなると思う──っていうのが希望的観測なのは認めるよ」
私は不謹慎ながら、兄を言い負かした──もとい、兄より多角的な見方ができたことに少し高揚していたが、その感情も藤倉さんのアパートを訪れてすぐに萎んでしまった。
藤倉さんの部屋に着いた私たちはインターホンを鳴らす。オートロックではないものの、安普請一辺倒といったわけでもなく、女性が住むには平均的で特に問題のなさそうな、比較的賑やかな街にあるアパートだった。
何度かインターホンを押したが、応答は全くない。
「どうする?」
これだけではただ藤倉さんの意思による外出くらいにしか受け取られないだろうが、それでも警察に相談すべきなのは分かっていた。
ただし、瀬名さんのことを考えると、昨日と今日一緒にいた私や兄が関係者と見なされた場合、取り返しのつかない事態に発展する可能性は大いにある。
そこで一計を案じ、管理人に相談した。
藤倉さんの友人だが、少し前(※受け取り方は管理人に任せた)から、藤倉さんと連絡が取れない。何かないと良いのだが──。管理人さんからも連絡してみてもらえないだろうか。そんな不穏な物言いをしたからか、管理人は心配して藤倉さんに電話をしてくれた。しかし、やはり繋がらない。
これで、私の電話には出にくいというわけではなく、本当に出られない状況にあることがわかった。
部屋を調べたい気持ちは山々だったが、他人の私がそんなことできるはずもないので、できればご家族に連絡して、必要があらば警察に通報したほうが良いと進言するに留め、私と兄はまた車に乗り込んだ。
「どうする」
今度は兄の問いかけだった。
行き先に心当たりはもちろんない。
だが、私の頭にふっと湧いた考えは、本来藤倉さんと瀬名さんと約束していた、ネットカフェに話を聞きに行くことだった。
兄も、それがいい、と賛同してくれて、名前だけを聞いていたそのネットカフェへと車を走らせた。
「……藤倉さん、瀬名さんと一緒にいると思う?」
「わからない」
兄曰く、もし一緒にいるとすれば、瀬名さんの記憶が戻ったのかもしれないし、藤倉さんを巻き込んでしまったことを後悔して、それなら一緒にいるほうがまだ安全と考え、共に行動をしているのかもしれない。
逆に、瀬名さんが自ら病院で私や兄に気づかれないように姿を消したのだとすれば、事態はあまり良くない方向へ向かっていると言う。
「一度は俺と一緒に病院にかかろうとしたのに、それを土壇場でキャンセルしたってことは、病院で何かあった、誰かに会ったのかもしれない。その場合、藤倉さんと連絡が取れないのはまた別の事情によるものってことになるけど」
「その誰かって、脅しの犯人?」
「まあ、類する誰かではあるだろうね」
「……じゃあ、藤倉さんは瀬名さんの関係者と見なされて──」
その先はあまり想像したくなかった。
瀬名さんを記憶喪失にまで追いやったのだとしたら、無事に済むとは到底思えない。
「仮にそうだとしたら、脅しの犯人は、藤倉さんと瀬名さんが──少なくとも俺やお前とよりも──親密な関係にあることがわかる距離にいた、ってことになる」
確かに、同じ病院内にいて、しかも兄などはふたりきりで病院に送ったわけなので、はたから見れば藤倉さんとの親密度と大差ないようにも感じる。
ぞくりと肌が粟立つ感覚がした。
私は両手の指を強く絡ませて、必死に願った。
どうか、ふたりが無事でありますように──。
兄の運転する車は、下界の事情などまるで他人事のように真っ青に晴れ渡る空の下を、ただ静かに走り続けていた。
私がここに到着してから早数時間。
兄はそれより前からいて「遅かったな」と私に挨拶したくらいなので、その時点でも相応の時間が経っていたはずだった。
正面入り口から出入りするなら必ず通る待合室で、兄とふたり観察しているというのに、それらしき人は一度も見ていない。
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私が来るまで兄は読書をしていたようだが、兄のことだ、読書に集中して周りが全く見えないということもないだろう。
ちなみに、服装を変えたり、何かしらのトリックで体型を変えたりと、瀬名さん自身が積極的に私たちを欺こうとした場合には、おそらくまんまと騙されてしまうに違いないが。
兄は腕時計をチラリと見ると、惰性で開いたままだった本をパタリと閉じて、徐に立ち上がった。
「……どこ行くの」
「探しに行くさ。お前はまず、藤倉さんに連絡したほうがいい」
「あっ、そういえば……!」
藤倉さんは私と同じ時間に合流するはずだったのだ。それなのに、まだ姿を見せていない。
私は慌ててスマートフォンを取り出した。
打ち合わせの際、いつも電源を切る癖が災い──というより次の行き先が病院だったのであえて急いで電源を入れることもなかった──して、私のスマートフォンは暗く沈黙したままだった。
電源を入れるも、藤倉さんからの着信やメッセージはない。これまでの彼女とのやり取りから鑑みるに、遅れるなどの連絡をしないほど不義理な人とは思えない。
私はスマートフォン使用可の場所で、藤倉さんに連絡を試みるが、今度は彼女のスマートフォンに電源が入っていない旨の、例のメッセージが流れた。
兄は精神科に限らず外来を一回りしてくると言っていた。かかりつけ医を紹介した兄ならば、瀬名さんが診断を受けたかどうかくらいは聞けるかもしれないが、兄はおそらくそういう確認の仕方はしないだろう。
当初、兄は瀬名さんの記憶喪失に関して加害者の可能性もあるとまで考えていたはずだった。仮に瀬名さんが加害者だったとして、兄がそれでも本当に見過ごそうとしていたかは私にもわからない。
とはいえ、前述したように兄の「なんとなく」の勘は結構当たる。警察に怯える瀬名さんの様子を──それも昨夜の一度見ただけで──『可能性があったとしても加害者ではなさそう』というところまで勘づいてしまったことも十分に考えられる。
しかしながら現時点で、瀬名さんが脅されている可能性が最有力となり、兄の見て見ぬ振り作戦を後押しできる環境ではなくなった。
一刻も早く瀬名さんを見つけたほうがいい。
結論として、病院内を探したものの瀬名さんは見つけられなかった。病棟もあるにはあるが、私たちのいた待合室より上階にある病棟に行っても逃げ場はない為、捜索の範囲からは除外した。
瀬名さんの置かれた状況を考えても、既に外に出てしまったと見るのが妥当だろう。
私は兄と共に車に乗り、とりあえず藤倉さんの住所に向かうことにした。
「藤倉さんは知ってるのかな、脅されてる理由とか」
「どうかな。そもそも瀬名さんが脅されてる理由をはっきり覚えているかにもよるね」
「警察に怯えてるんだから、覚えてるんじゃないの」
「『警察はダメ』ってことだけ記憶している場合もある。もちろん、瀬名さんが理由まではっきり覚えているもしくは、瀬名さんが記憶喪失のふりをしている場合、藤倉さんには全て話したってことも考えられるけど──」
「……兄さんはそうは思ってないのね」
「まあね。もしそうだとしたら、今まで藤倉さんに連絡を取らなかった意味がわからない。言えるんだったら言ってしまったほうが楽だし、言えないってことがはっきりわかるんだったら藤倉さんにはそもそも接触しないほうが良いに決まってる。少なくともふりってことはないだろうね」
「じゃあ、藤倉さんは知らないってことだよね? 瀬名さんが誰かに脅されてることも、その理由も」
「たぶんね」
「じゃあ、どうして藤倉さんとも連絡が取れないんだろう」
「考えられるのは、藤倉さんが瀬名さんの『警察とは関わりたくない』っていう意思だけを、理由も聞かずに尊重した場合。それと藤倉さん自身が──」
「──瀬名さんを脅している場合、か……」
前を向いたまま、兄はこくりと頷く。
「まあ、それはないと思うけどね。それなら、わざわざお前に依頼してまで探す意味がわからない」
「……ネットカフェにいることを突き止められなくて、継続して脅しをできなくなったから──とか」
「……お前はたまに嫌なこと言うよね」
「兄さんだって考えたくせに」
「だとしたら、瀬名さん自身が本能的に遠ざけたくなると思う──っていうのが希望的観測なのは認めるよ」
私は不謹慎ながら、兄を言い負かした──もとい、兄より多角的な見方ができたことに少し高揚していたが、その感情も藤倉さんのアパートを訪れてすぐに萎んでしまった。
藤倉さんの部屋に着いた私たちはインターホンを鳴らす。オートロックではないものの、安普請一辺倒といったわけでもなく、女性が住むには平均的で特に問題のなさそうな、比較的賑やかな街にあるアパートだった。
何度かインターホンを押したが、応答は全くない。
「どうする?」
これだけではただ藤倉さんの意思による外出くらいにしか受け取られないだろうが、それでも警察に相談すべきなのは分かっていた。
ただし、瀬名さんのことを考えると、昨日と今日一緒にいた私や兄が関係者と見なされた場合、取り返しのつかない事態に発展する可能性は大いにある。
そこで一計を案じ、管理人に相談した。
藤倉さんの友人だが、少し前(※受け取り方は管理人に任せた)から、藤倉さんと連絡が取れない。何かないと良いのだが──。管理人さんからも連絡してみてもらえないだろうか。そんな不穏な物言いをしたからか、管理人は心配して藤倉さんに電話をしてくれた。しかし、やはり繋がらない。
これで、私の電話には出にくいというわけではなく、本当に出られない状況にあることがわかった。
部屋を調べたい気持ちは山々だったが、他人の私がそんなことできるはずもないので、できればご家族に連絡して、必要があらば警察に通報したほうが良いと進言するに留め、私と兄はまた車に乗り込んだ。
「どうする」
今度は兄の問いかけだった。
行き先に心当たりはもちろんない。
だが、私の頭にふっと湧いた考えは、本来藤倉さんと瀬名さんと約束していた、ネットカフェに話を聞きに行くことだった。
兄も、それがいい、と賛同してくれて、名前だけを聞いていたそのネットカフェへと車を走らせた。
「……藤倉さん、瀬名さんと一緒にいると思う?」
「わからない」
兄曰く、もし一緒にいるとすれば、瀬名さんの記憶が戻ったのかもしれないし、藤倉さんを巻き込んでしまったことを後悔して、それなら一緒にいるほうがまだ安全と考え、共に行動をしているのかもしれない。
逆に、瀬名さんが自ら病院で私や兄に気づかれないように姿を消したのだとすれば、事態はあまり良くない方向へ向かっていると言う。
「一度は俺と一緒に病院にかかろうとしたのに、それを土壇場でキャンセルしたってことは、病院で何かあった、誰かに会ったのかもしれない。その場合、藤倉さんと連絡が取れないのはまた別の事情によるものってことになるけど」
「その誰かって、脅しの犯人?」
「まあ、類する誰かではあるだろうね」
「……じゃあ、藤倉さんは瀬名さんの関係者と見なされて──」
その先はあまり想像したくなかった。
瀬名さんを記憶喪失にまで追いやったのだとしたら、無事に済むとは到底思えない。
「仮にそうだとしたら、脅しの犯人は、藤倉さんと瀬名さんが──少なくとも俺やお前とよりも──親密な関係にあることがわかる距離にいた、ってことになる」
確かに、同じ病院内にいて、しかも兄などはふたりきりで病院に送ったわけなので、はたから見れば藤倉さんとの親密度と大差ないようにも感じる。
ぞくりと肌が粟立つ感覚がした。
私は両手の指を強く絡ませて、必死に願った。
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