6 / 28
5 パーティーの夜1
失敗したー!
バチェラーパーティーには既婚者のカーリンは参加できないではないか!
恥を忍んで親友だけに打ち明けた処女喪失作戦は、今夜単独遂行を余儀なくされてしまい、いきなり見通しが悪くなってリスベスは綺麗にセットした頭を抱える。
カーリンは侯爵家の馬車で王城まで送ってくれた。車内では「くれぐれも無理はするな」「くれぐれも自棄を起こすな」と「くれぐれも」がゲシュタルト崩壊を起こしそうなほど心配していたが、リスベスは到着当初は独りでパーティーに参加することをそんなに重大に考えていなかった。
今夜のリスベスは所々に真珠をあしらったマーメイド・ブルーが下に向かってマリンブルーにグラデーションしていくマーメイドラインのホルターネックのドレスを着て、マーメイド・ブルーのイブニング・グローブをはめている。渚のはいから人魚♪である。
コルセットをせずにウエストニッパーのみで美しいSラインを作れるのは、社交界広しといえどもリスベスくらいだろう。「幼女趣味の男なんてお断りだ!」というリスベスの無言のメッセージがビシビシと伝わる大人っぽい装いだ。
しかし、パーティー開始から一時間以上経っても友人知人は見つからないし、だれも声をかけて来ない。二・三人連れの女性たちには次々と同数の男性組から声を掛けられているのは目にしたが、独りぽつんと壁の花になってワインを飲んでいるリスベスには声を懸け難いらしく、チラチラとこちらを見ている視線は感じるが、それだけだ。
すっごく空しくなってきた。やっぱり私は異性に選ばれない人間なんだ。
予想はしていたけど、改めて突きつけられるとは……。
胸がつまって苦しくなって涙が出そうになる。しかしここで泣いたらいい笑い者だ。
「帰ろう……」帰りの馬車はないが、まだ宵の口だし王宮だから侍従に泣きつけば屋敷に送ってくれるだろう。カーリンの屋敷でもいい。きっと心配しているだろう。
空になったグラスを、ワインを配っていたメイドに渡すと出口に向かって歩き出す。
すると背後から「帰っちゃうの?」という声がかかったような気がした。立ち止まって振り返ったら、自分の後ろに誰もいなかったら、惨めすぎて立ち直れない。
聞こえなかったフリしよう、そうしよう。歩調は変えずに歩き続ける。
「ねぇ、ブルネットのご令嬢、帰っちゃうの?」今度は近くで聞こえた。そして周りにはリスベス以外ブルネットの女性はいない。振り返ると黒髪に綺麗なサファイヤの瞳に笑みを湛えた美しい青年が立っていた。
「ご令嬢、独りなの? 僕も独りなんだ、少しどこかでおしゃべりしない?」
イイ男キター!
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
姉の引き立て役の私は
ぴぴみ
恋愛
アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。
「どうしたら、お姉様のようになれるの?」
「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」
姉は優しい。でもあるとき気づいて─
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
すれ違いのその先に
ごろごろみかん。
恋愛
転がり込んできた政略結婚ではあるが初恋の人と結婚することができたリーフェリアはとても幸せだった。
彼の、血を吐くような本音を聞くまでは。
ほかの女を愛しているーーーそれを聞いたリーフェリアは、彼のために身を引く決意をする。
*愛が重すぎるためそれを隠そうとする王太子と愛されていないと勘違いしてしまった王太子妃のお話
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。