チート無し男の異世界生活

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第1章

1-21魔族領への道中その1

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「腹を下す夢を見た」

「いきなり何言っとんじゃぁぁ!己はぁぁぁ!」

「ぐほっ…」

朝食の準備をしているマーヤに夢の内容を伝えた所殴られた。

「ナイスツッコミ!」

「ナイスツッコミ!じゃないわぁ!ご飯の前にそんな話聞きたくなかったわ!」

「まぁまぁ、落ち着きなってほらっ!これ上げるから」

マーヤの手の上にを置く。

「小さいから近づけてみてね?」

「こう?」

掌を外すとそこには…

「きゃぁぁ!!カエルじゃんか!!」

「くっくっく…」

笑いをこらえるアキト。

「我、無垢な魔法の使い手、汝…」

「落ち着こう…な?詠唱はさ、流石にまずいよ?それ絶対覚えたての強力なヤツだよね?」

辺り一面が曇り出した。気のせいか雷の音も聞こえる。

雷光ライトニング

一気に地面に向かって閃光の如き雷が俺を目掛けて向かってくる。

「危ねぇ、この聖剣で受け流さなかったら死んでたぞ…どんだけ、キレてんだアイツ…」

「避けたわね…」

「えっ?」

「避けちゃったら、もう1発強力なの行かなきゃね?」

「待て待て待て!」

雷光の嵐ストーム・オブ・ライトニング

数的にはそんなに多く無かったライトニングがグレードアップして数百の雷が迫ってくる。

「折角魔力が回復していたがしょうがねぇ、身体強化(実際は体全体に魔力を覆っただけ、ただカッコイイから身体強化と見栄を張って言っている)」

次々向かって来る雷を斬り続ける。

「マーヤ、まだ怒ってる?」

「当たり前よ!私アキト様…いや、アキトがそんな人だとは思わなかった」

と言いつつも、攻撃の手を緩めないマーヤ。

「そうだなぁ、じゃあ1回だけ何でも言う事聞くってのでどう?」

「何でも!?何でもって言った今!?」

「え?あぁ…うん、そうだけど?」

途端に顔を赤らめるマーヤ、なんでそんなに嬉しそうなんだか俺にはよく分からんぞ。

「じゃあ、ギューってして欲しいかな?//」

「ハグで許してくれるなら、はいギューっ…」

俺の胸の中でマーヤが思いっきり抱きついてくる。正直、肋の何本かは逝くと、思っていたけど意外と無事で尚且つ柔らかかった。何がとは言わないが。

「はい、終わり!んじゃ、作業に戻って…って」

「ごめん、離れたくないもっとギューってしてたい…」

「そろそろ、怒るよ?良いよね?」

寝ていたはずのクロコが横に立っていた、しかもめっちゃ笑顔超怖い…。

「いや、違うんだよ!これはアキトが悪いんだよ!」

「そうなの?」

この質問にどう答えるかでこの後の結末が大きく変わる。

「…。」

「無言と言うことは、肯定と受け取っていいのかな?」

何も言わないと言う選択をとったら矛先がコチラに向きました。ただ、事実なので何も言えないですけど…。

「なんて言ったの?大方、お兄ちゃんがマーヤをからかって、怒らせたんでしょ?んで、何でもするから許して的なこと言ったんでしょ?」

何こいつエスパーかよ…。

「よ、よく分かったな…」

「そりゃお兄ちゃん顔に出やすいからねー…」

とりあえず和解できたみたいだ。

「今日の朝ご飯は何かなマーヤ?」

「今日は、魔獣豚の野菜炒めだよ?」

真顔でマーヤが答える。

「え…また野菜炒め…、うちのパーティは何でこんなに健康意識高い人が多いんだよ!?野菜炒めこの世界の定番なの!?」

「当たり前じゃん!寧ろ何だと思ったの?栄養素偏るからこれが一番いいんだって!!」

折角作って貰ったので渋々食べる。大丈夫、毎日同じ味付けの、同じものでも飽きずに頑張って食べれるから。たぶん。

「ふぅ…、ご馳走様でした…」

「お粗末さまでしたー、どうでした?」

「うん、普通…(毎日同じものは飽きたけど、飽きたと言えないです)。クロコは?」

「うん、美味しかったよ!毎日食べても飽きないよ!」

「ですわね?私もそう思っていましたの!」

「初めて意見があったね?」

「そうですわね?」

「「ふふっふっ…」」

最悪だぁぁ!この2人恐ろしいこと言いやがった!マーヤが間に受けたらどうする!!

「じゃあ、毎日作るね?」

詰んだ…、さらば俺の食生活。
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