トラップって強いよねぇ?

TURE 8

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2章

24話 エマとの再会

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 「ええと、久しぶりねカジ」

 兎の獣人であるエマがそこにいた。エマは身長が中肉中背の俺より低いが大きな赤い弓を携えていた。

 彼女は俺が冒険ギルドの訓練場にいたときに弓を教えてくれた獣人だ。……そういえば弓矢の回収の時にエマの放った矢が当たりかけたっけ。ちょっと抜けているような雰囲気を持っている。

「何々?あなたもこれ受けたいの?」

 エマはクエストの紙をひらひらと俺の前に振る。

「ちょっと受けようか考えてたんだ。もう少し待ってくれ」

「ん~、私取っちゃったからなぁ。カジにはこれ無理なんじゃな~い?少しはましになったけど弓の扱い方もまだまだだったし」

 そう言って俺を見ながらニヤニヤとしていた。

 こいつ……自分の的に当てずに俺の的にクリーンヒットさせたくせによく言えるなぁ。

 ちょっとムカッとして俺は言い返す。

「弓と罠と剣を使うから大丈夫だ。心配しなくていい」

 そう聞いたエマは驚いた顔をする。

「3つも武器使うんだ。でもそれって器用貧乏じゃない?」

「……いや、別に」

 少し痛いところを突かれてしまった。

 俺がインターネットでプレイヤーのスキル構成について調べた際、最初の5つのスキル決めでは剣術、斧術などの攻撃系スキルから1つと土魔法などの魔法スキルからも1つ。そして他は筋力上昇、鑑定などのステータスを上げる上昇スキル/補助スキルを3つ付けたほうが良いと書かれていた。なんでなのかと言えば単純にスキルのレベルを上げやすいからだ。

 剣術のスキルは剣を振ることで上げることができるが多くの攻撃系スキルを使う場合ではレベルの分散が起こってしまう。その点、上昇スキル/補助スキルなどはほぼ自然と冒険を重ねていくのみで上がっていく。やはりバランスというものが重要だということだ。

 俺のスキル構成は剣、弓、罠の3つの攻撃スキルとそれの補助であり、上昇スキル/補助スキルは鑑定のみでステータスを上げるスキルは一つも取っていない。バランスがものすごく悪いということだ。

 黙り込む俺を見てエマはしょうがないと言う。

「このクエストは譲るわ。ただし……力を私に証明したらね」

「……どうやって?」

「決まっているわ、摸擬戦よ」

 こうして俺は急遽として、エマとの対決を行うに至った。


 目の前にいるのは大きな赤色の弓を持つエマ。重くは感じてないらしい。俺たちの立つ訓練場の四角の白いリングを訓練に飽きたのであろう冒険者たちが囲んでいた。

「他の人から防御魔法をかけてもらったから3回まで全力で攻撃しても大丈夫よ」

「分かった」

 ふと、上を向くと空は快晴であり鳥たちが優雅に飛んでいるのが見えていた。飛ぶ鳥までこのゲームは作りこまれているのだろうか?

「じゃあ、はじめましょうか……。勝敗は相手より先に攻撃を3回当てること」

 エマの目からは自信の色が強く見えた。まるで俺には1%も勝つ確率が無いように目で訴えているかのようだ。だが俺も舐められたままじゃ終われない。

 鑑定をエマに対して行う。

『名前 エマ・ウルへイス

種族 獣人(兎)
レベル 12

能力値
HP 7
MP 15
力 9(+3) =12
防御 7
器用さ 7
速さ 10(+5) =15
魔力 9

スキル
弓術 10
筋力上昇 3
速度上昇 5
脱兎の法 5
光魔法 6

アーツ 
パワーショット (MP-1)
スプレットアロー (MP-2)
兎足 (MP-3)
クリアドレス (MP-4)』  

 強いな。アーツが4つもあり、なおかつスキルのバランスもいい。

 俺は剣を抜き深く握りしめた。

 俺たちが構えたことで静寂が数秒場を支配する。そこにやじ馬から審判に選ばれた獣人の声が響く。

「始め!」

 その声と同時に俺はエマに向かって駆け出した。

 エマの武器は弓だけであり、他の武器系のスキルがないことは確認済み。ここは距離を取られる前に速攻をかけるのが最善だ。

 向かってくる俺に対し、エマは余裕の表情でこちらを見たまま動かない。何か策があるのか?と思いながらも目前まで近づく。そしてエマに剣を横なぎに振った瞬間、最小限の動きでよけられる。

「甘いよ。『兎足』」

「!」
 
 アーツの発言と共にエマの足に黄色いエフェクトがかかり、俊敏な動きでリングを動き回り始める。その姿は完全に捉えられず、残像だけがかすかに映るのみで目で追えない。

「くそっ、見えない!」

 残像が近づいて来るタイミングに合わせて剣を振るうが、速度を維持した方向転換によりかすりもしない。

「遅い、遅い!さぁ、いくよ!『クリアドレス』」

 今でさえ追いつけないのにまたもアーツを発言される。だがエマが発言した直後、残像が宙を舞った。

 これはチャンス!空中ではその速さは活かせない!

 俺は咄嗟にエマがいるはずの空中を見やる。すると、

「えっ」

 空中にエマの姿は無く、快晴の空に鳥たちが宙を舞っていただけであった。


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