僕の神様

なるみや

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美しすぎる世界

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帝国とエルフの国の仲は良好。
それでも、戦争は起きてしまった。
帝国とエルフの国が統合してまだ247年。
国としては歴史が浅く政治も確立していなかった。
その弱みに漬け込むように隣国が攻めてきた。
帝国の若者は戦争に駆り出され、帝国は守られたが犠牲者が数多く出た。
王族も王子まで戦場に向かった。
この帝国の王子は3人。
戦場に行ったのは王位継承者の第1王子と第3王子の2人だけ。
では、第2王子はどうしたのだろう。
第2王子は表向きでは病弱で陽の光にあたれない体という事になっている。
だが、実際は健康で陽の光にもあたれる。
なぜ、第2王子を隠すのか。
王族には特徴がある。
一つ目は、桃色の髪だ。
王族独特の色で桃色の髪は王族にしか現れない。
二つ目は、藍色に近い紫色の藍紫色の目。
エルフの初代皇帝と王妃の目の色が混ざったような目の色で王族の象徴と言われている。
このどちらかが王族には必ず現れる。
だが第2王子はどちらも持っていなかった。
透明なガラスのように透き通る白髪に片方はルビーのような深い赤い色の目。
もう片方の目は青い海に似たコバルトブルーの瞳を持っていた。
王族なのにどちらも持っていない。
その上、呪われた者と言われるオッドアイだった。
国民の前に出すわけにはいかなかった。
そのため、城の別邸に幽閉された。

外に出てみたい。

そんな思いが少しずつ増えていった。
暖かい昼、窓を開けてこっそり逃げ出した。
外の空気は暖かくてお日様の匂いがする気がした。
別邸の裏に広がる森を駆けて駆けて、疲れて止まった場所は見たこともない所。
しゃがんで休憩をしてると歌声が聞こえた。
透き通るような声は高くエルフの声のようだ。
好奇心のまま、美しい歌声の方に歩き出す。
少し歩くと、木の幹に座る人影が見えた。
こんなところに人がいる。
恐怖心と好奇心がせめぎ合って、好奇心が勝った。
ゆっくり、ゆっくり近づく。
木の影からそっと人影を覗く。

「...!?」

桃色のウェーブがかかった腰まで伸びた髪。
あの色は王族の色だ。
なんで、王族がここに?
僕がここにいるのがバレたら大変だ。

バキッ_____。

しまった。後ろずさるときに木の枝を踏んでしまった。

「...アル?」

泣きそうな表情で振り返った。
とても綺麗だった。
こんなに美しい人はこの世に存在するはずがないと思った。

「アル?アルなの?」

その人はキョロキョロと首を振るだけで僕には気づいていないようだった。
目が、見えないのか。

「アル?」

泣きそうな声で名前を呼ぶ。
無視をするには胸が締め付けられた。
僕がその人になれたらいいのに。

「申し訳ございません。アルという方ではないです。歌声が聞こえて、つい」

「...アルじゃないのか。ごめんね。俺、目が見えないんだ。君がどこにいるかも分からない。側に来てくれないかな」

それが僕と貴方の出会いだった。








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