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一日目
♯9
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「リビングに案内します。親住んでないんで。今は同居人と三人暮らしです」
最初、家族との間が同居人と呼ぶ程に冷めているかと思った。
けれど、中に入って何となくそれが本当に保護者がいない意味だと理解した。
親の香りみたいのがしないのだ。
各家庭にある香り。
この家は若い女性の香りしかしなかった。
「お酒飲みますか?」
「リカさんは駄目だぞ」
台所で冷蔵庫に顔を突っ込む彼女に声を掛ける。
こうしてソファーに座り見る女性の後ろ姿が、何故だか艶やかに感じるのは自分だけだろうか。
「えー。まぁ、従いましょう」
「ありがとう」
「じゃあ、島田さんはさん付け止めてくださいね」
「何故?」
「なんでも」
彼女は手に缶チューハイを二つ持ち隣に座った。
「結局飲むのか」
「よく見てください。一つはノンアルコールです」
「・・・確かに」
「じゃあ乾杯」
缶を合わせる。
乾いた音を皮切りに夜会が始まった。
最初の一缶の後から、冷凍食品を交えた彼女の手料理がテーブルを彩った。
交わした会話はやはりとりとめの無いものが殆どで。
彼女の言葉に俺が応える形で進んでいった。
時刻が九時を回ろうとするまで、延々とそれを繰り返した。
詳しく言うと、帰宅を切り出し、ソファーに押し倒されるまでだ。
最初、家族との間が同居人と呼ぶ程に冷めているかと思った。
けれど、中に入って何となくそれが本当に保護者がいない意味だと理解した。
親の香りみたいのがしないのだ。
各家庭にある香り。
この家は若い女性の香りしかしなかった。
「お酒飲みますか?」
「リカさんは駄目だぞ」
台所で冷蔵庫に顔を突っ込む彼女に声を掛ける。
こうしてソファーに座り見る女性の後ろ姿が、何故だか艶やかに感じるのは自分だけだろうか。
「えー。まぁ、従いましょう」
「ありがとう」
「じゃあ、島田さんはさん付け止めてくださいね」
「何故?」
「なんでも」
彼女は手に缶チューハイを二つ持ち隣に座った。
「結局飲むのか」
「よく見てください。一つはノンアルコールです」
「・・・確かに」
「じゃあ乾杯」
缶を合わせる。
乾いた音を皮切りに夜会が始まった。
最初の一缶の後から、冷凍食品を交えた彼女の手料理がテーブルを彩った。
交わした会話はやはりとりとめの無いものが殆どで。
彼女の言葉に俺が応える形で進んでいった。
時刻が九時を回ろうとするまで、延々とそれを繰り返した。
詳しく言うと、帰宅を切り出し、ソファーに押し倒されるまでだ。
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